表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/263

1話 エレン、追放される

新連載はじめました! よろしくお願いします!



「【エレン】。おまえはクビだ。パーティから出て行け」


 とあるダンジョンの、休憩スペースにて。


 ぼくにそう言い放ったのは、このSランクパーティのリーダー【ザック】さんだ。


「そ、そんな……どうして……?」


「決まってるだろ。てめえが戦闘に1ミリも使えないからだよ。この無能のゴミが」


「ちょっとザック! そんな言い方はないでしょ!?」


 ぼくをかばってくれたのは、パーティメンバーのひとり、魔法騎士の【アスナ】さんだ。


 純白の鎧に、長い亜麻色の髪がとても美しい女性ひと


「アスナ。てめえもわかってるだろ。エレンがこのパーティで、足手まといだってことを」


「戦闘以外の部分で役立ってくれてるじゃない! 理不尽すぎるわ!」 


 アスナさんはぼくに近づいて、ぎゅっ、と抱きしめてくれる。


 彼女の大きな胸はとても柔らかくて、良い匂いがして、気持ちが落ち着いてくる。


「エレンの【テイマー】としての能力は、索敵、荷物持ち、その他パーティを支える重要な役割を担ってくれてる。そんなこともわからないの?」


「はっ! 知らねー。おれさまが重要視するのは戦いに使えるかどうかだけだ。こいつの連れている【狼】が、いつ戦いに役に立ったんだよ? なぁ?」


 ぼくの職業はテイマー。

 動物と心を通わせる能力を持つ。


 相棒は狼の【ラン】だ。


「ランは……確かに、ただの狼です。けど、このはがんばってくれてます!」


「アオォーーーーーーーン!」


「うるせえんだよ犬っころ! おまえは毎回毎回よぉ!」


 ザックさんはランの頬に、蹴りを入れようとする。


 ぼくはすかさず立ち上がり、ランの前に立ち塞がる。


 バキィッ!


「うぎゃっ!」


 ドサッ、とぼくは倒れ込む。


「きゅーん……」

「大丈夫だよ、ラン。君が、威嚇して敵を追い払ってくれてること……わかってるから……」


 ランはただの狼にしては、【異常なほど】に気配に敏感だ。


 敵がやってくる前に、遠吠えスキルで威嚇して追い払ってくれている。


 不要な戦闘を避けてくれているんだけど、ザックさんは気付いてないようだ。


「ザック! 年下の子に手を上げるなんて最低よ!」


 アスナさんがぼくに近づいて、ぎゅっと抱きしめてくれる。


「うるせぇぇぇんだよ! てめえは毎回毎回! 気付けばエレンエレンってよぉ! ムカつくんだよ!」


「あなたって昔っからそう! ちょっと気に入らないことがあるとすぐに手を上げて!」


 ザックさんとアスナさんは、同じ村の出身で、幼馴染みだそうだ。


「おいアスナ。てめえ毎回そうやってエレンをかばうのは、そいつのこと好きだからか?」


「か、関係ないでしょ! あなたには!」


 ふんっ! とアスナさんがそっぽを向く。

 もし本当にそうなら、どれだけうれしいことだろう。


「こんな親もいないみなしごの、無能のガキのどこがいいんだよ!? おれさまのほうがすげえだろ!」


「エレンをバカにしないで。この子は、病気のおじいさんのお薬を買うために、ひとりで街を出て冒険者をやってる。凄い子なのよ?」


「はいはい、誰にも治せない奇病で、【不死鳥の羽】が必要なんだろ? そんな超レアアイテム、こんな貧乏人が買える訳ねえだろボケが!」


 ぺっ……! とザックさんがつばを吐く。


「ウゥ~~~~~……!」


 ランが殺気立ち、ザックさんに噛みつこうとする。


「ラン! お座り!」

「きゅ~~~ん……」


 耳をぺたんと下げるランに、ザックさんは不愉快そうに顔をしかめる。


「とにかく、おれさまのパーティにこんなガキは不要だ。この【S級ダンジョン】でのダンジョン探索が終わったら、即クビにするからな」


「そんなこと、わたしがさせない」


「おまえ本当にこいつを入れておくのか? かばったせいで、アスナ、てめえ足を怪我したくせによ?」


 先ほどのパーティ戦で、ぼくは敵に真っ先に狙われた。


 アスナさんはぼくを守ろうとして、右足を負傷したのだ。


「ただでさえ戦闘で使えないクズの癖に、【妙に敵に狙われやすい】ってマイナス要素まであるんだぜ? どんだけお荷物なんだよ?」


 そう、足を引っ張っているのは、確かなんだ……。


「落ち込んじゃダメよエレン。あなたはよくやってるわ」


「アスナさん……ごめんなさい……ぼく……もう……」


「ちっ、べそべそ泣くんじゃねえよ。ほら、さっさといくぞ。ダンジョンボスまでもうちょっとだからよ」


 ザックさんが立ち上がり、他のパーティメンバーさんたちがそれに続く。


 アスナさんに手を引かれて、ぼくはその後を追う。


「くそ……強く、なりたいよ……」


=========

定時になりました。【精霊使い】の魔力を、体内の【不死鳥の精霊核エレメンタル】に自動充填します。


【不死鳥の精霊核エレメンタル】孵化まで、あと480秒です。


ザックの【勇者の精霊核エレメンタル】を喪失させますか?

※精霊の加護を失うことになります。


==========


「うっ……」


「どうしたの、エレン? またいつもの頭痛?」


「はい。また聞こえてきました。精霊核エレメンタルがどうとかって」


「疲れてるのね。このダンジョン探索が終わったら、そうだ、一緒に温泉でもいかない? きっと元気になれるわ」


 ……正直、ぼくがこのパーティを出て行かないのは、アスナさんがいるからだ。


 行き場のないぼくをひろってくれた、優しい彼女がいるからこそ、頑張れる。


 いつか彼女を、守ってあげられるように、なれたら良いなって思うのだ。

【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】


少しでも、

「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!!!!


評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後も皆様に喜んでいただけるような、面白い物語を提供したいと思っています。

是非ともブックマークして、連載追いかけてくださいますと幸いです。


読者の皆さまのポイントが、ものすごく励みになります!


なにとぞ、よろしくお願いします!!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] エレン!やっちまえ!
[一言] このときの描写あまりうまくないな、それでも漫画化できる、おめてとう。
[一言] あまり似せるとチー○スレイ○ーみたいになるよ笑笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ