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スーパーショートショートの世界1


小さい頃のこと、私は母親に連れられ新宿に買い物に行きました。その帰り道、大通りでトラックとすれ違いました。「ママ、バニラだって、アイスだよきっと買って!」「あれはアイスじゃないのよ。」「アイスだよ!バニラ凄い売れてるって!」「バニラで高収入ってそういうことじゃないのよ」




はじめに神は天と地とを創造された。

地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。神は「光あれ」と言われた。


「うわっ、めっちゃまぶしっ。いやいや。うわっ、まぶしっ、いやちょっと待って、ちょっとこれさすがに、うわっ、前見えないしうわっ」





トンネルを抜けたらそこは雪国だった。そしてその雪国はすごい寒くて、もうどうしようもないくらい冷たい感じがした。もう、そのトンネルの向こうがめちゃくちゃ寒いんだから、もっと向こうはどうなってしまうんだというくらい寒かった。もうめちゃくちゃ鼻水とか出てくるし尿意がすごい。






1992年9月4日23時頃、当時愛知県名古屋市でOLをしていたAは会社から帰宅途中ガソリンを体中に塗りたくったエゾシカ似の男Xに拉致された。XはAの口をパン粉で塞ぎ全身にポストイットを貼り付けて殺害し、遺体を胡麻油香る中華風マスタードソースを入れた壺に漬け込んだ。高裁で死刑が確定。





私メリーさん今あなたの家に向かってるの。


ヒェッ


私メリーさん今首都高に乗ったの。


ヒェッ


私メリーさん。今右車線を使用して西新宿ジャンクションを中央道方面に向かって進んでいるの。


ヒェッ


私メリーさん今なぜか高速降りてないのにナビが下道の案内始めたの。


ヒェッ




何もかもを広告収入に頼る国があった。そこでは、民家の壁、テストの答案用紙、ラブレター、いたる所に広告が踊った。この風潮に異議を唱える者は政府と大手広告会社の息のかかった暗殺集団に消されていった。彼らの墓石にはこう刻まれる「墓地をお探しの方、駅近12分75万より好評販売中」







自殺しようと思ったんですよ。で、樹海行こうと思って。朝起きて飯食ってこうとして。それで冷凍のピザがあったけどレンジ不可って書いてあったからフライパンで焼いたんです。そしたら焦げて。でね、僕その焦げた部分を避けて食べようとしたんです。だからまだ生きることにしました。






ハッと驚くワンボックスの運転手の顔。バックミラーに消えるバイク乗りの後ろ姿。等間隔に途切れ途切れの白線の上を踏みつけ、けたたましい爆音を上げて風に消える音速の安楽椅子。キラリと光る漆黒のフルフェイスの中でバイク乗りは呟いた。「なんじゃ。今日はワシ以外全員逆走してるのう。」






1969年は僕にとって大して意味をなさない時代だった。ラブアンドピースという狂ったチューニングの喧騒はただただ空虚という轟音をかき鳴らし時代に影を落とす。存在と価値にオルタナティブな幻想を抱く飽食という時代の狂気。つまり何がいいたいかと言うと、ぼくのちんちんすっごくおっきい。






ある資産家がいた。その資産家は自分の遺産を隠すための場所を探していた。金庫、シェルター、廃墟、洞穴、あらゆる所を探したがなかなか良い場所が見つからずたくさんの大きな水虫に食べられて死にました。残念。







1994年、アフリカ・タンザニア。「先生!メスがありません!」「メスだと?メスなんかいらん!アフリカでは手を使え!手刀で切るんだ!」「手・・・?」私は絶句した。そう、この男こそ後に世に名を轟かす手だけで全てのオペを行う天才外科医「ゴッドハンド伊藤」だったのだ。







洗面台に顔を突っ込んで嘔吐している少年。それを向こう側から見ている男の目はひどく充血していて真っ赤に染まっている。それがこの写真の全てだ。問題はこの写真が明らかに僕の家の洗面台で撮られていることだ。







「火葬パーティや。自分誰焼いた?」

「ワイ、おかん。」「ワイ、おとん。」「ワイ、近所のおっさん。」「ちょっと火葬って、その火葬じゃないですよ!仮装ですよ!」「なんやこいつガイコツの格好しとる。こいつも焼いたろ。」






青い景色に朝の香り。エアポートのアナウンスは風の色を告げる。息を吸えば空の上へ。無重力は水平線を超えて冷たい夜明けがスッと頬に触れる。音のない世界へ。窓に映るひこうき雲にそっと手を触れた。ひんやりと暖かい。





細胞は思った。この世界はどこまで続いているのだろう。彼はそれを知ることはないだろう。彼には科学とそれを操る能力がないのだ。人は思った。この世界はどこまで続いているのだろう。彼はそれを知ることはないだろう。彼には科学とそれを操る能力しか持っていないからだ。




雨が降っていた。夜の街灯はオレンジ色の光を水滴に反射させ暖かな幻想を浮かび上がらせていた。雨合羽を着た少女はパシャパシャと音を立ててガラス越しの風景を通り過ぎる。僕は彼女が主人公の映画の風景だ。





食卓に置いてあるコップに水滴がついている。この水滴はどこに消え、どこに行くのだろうか。それはこの水滴のみが知る。僕は目の前にある行き先知れずの水滴をコップごと舐めた。これで君は僕の一部になった。しかし水滴を吸収し、一体化した僕はどこに消え、どこに行く?それは僕自身も知らないのだ。







どこまでも伸びるパスタがあった。そのパスタは本当にどこまでも伸びていってしまったので、そのパスタがどこまで伸びたか把握している者は1人もいなくなってしまった。だからこのパスタが本当に「どこまでも伸びるパスタ」なのかは誰も知らない。







複雑化した思考をシンプルにする薬が開発された。早速飲んでみた男に尋ねた。「どうだい?思考はシンプルになったかい?」「シンプルって何?」







橋の向こう岸からこちら側にプリンがゆっくりとした足取りで渡ってきた。頭のてっぺんにカラメルがのっていなかったので指摘したら、「そういう見栄を張るのはやめたんだ。」と言われた。





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