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5月13日土曜日 古城家 決意表明

古城ミフユ


 生徒自治会長選への立候補を決めてから私は図書室によく行った。生徒自治会規則とか過去の中央高新聞を読み込んで制服問題やらどういった課題があるのかってずっと考えていた。今のところ私の立候補の意思は学校だと陽子ちゃんと肇くんしか知らない事だ。


 そして家でも話をしないといけない。うちは両親が共働きで妹が生まれてから料理関係を中心に家の事を引き受けるようになっていた。

 母には制服の話をした時にこんな事を言われていた。

「ミフユはどちらかというと外の世界を見に行くタイプだし、それでいい。飛び立つのを見送るのは両親の役割だし。それにお父さんも私も出来ない事を子どもたちにやらせる気はなかったからね。また私たちが分担してやるだけだしミアキもお手伝いはしてくれるだろうから。だから気にせず挑戦して欲しい」

 生徒自治会長への挑戦。これは私の時間がもっと学校に取られるようになる事を意味する。だからお父さんと妹にもこの話はしなければならないと考えていた。そしてその日を5月連休明けの週末の夕食の場に決めた。


 夕食後、みんなで洗い物を済ませるとダイニングテーブルの席に座った。お母さんが入れてくれたコーヒー(ミアキは牛乳に少しだけコーヒーを入れてあげている)を前に話を切り出した。

「みんなに1つ相談というかお願いがあります」

「え、まさか彼氏が出来たの?」

ミアキはまだ小学2年生のくせにませガキ過ぎるっての。

「ミアキ、それは断じて違うから」

テヘッと笑う妹。これは可愛くないって内心溜息。


 部屋に戻りパジャマに着替えると部屋の明かりを落としてベッドに潜り込んだ。枕元のランプを付けて睡魔がくるまで本を読んでいた。京都の高校吹奏楽部ものだ。映画もあるらしいので今度見てみたいな。そんな事を思いながらページをめくる幸せなひと時。そろそろ寝落ちしかねない感じになったので読んでいた本に栞を挟んで閉じるとサイドテーブルに置いて手を伸ばしてランプを消すと暗がりの中、瞼を閉じて夕食後にした話を反芻した。

 まだ生徒自治会長選挙への出馬について話をしてなかったお父さん、ミアキにも何をしようとしているか説明した。お父さんからは応援するし家の事はお父さん、お母さんとミアキで分担するから気にせず挑戦しなさいと言ってくれた。ミアキもそうだ。 

 でも余計な事を言ってくれたのもミアキだった。

「私もお姉ちゃんの挑戦を応援する。もっと家事は手伝えると思うし。彼氏が出来たとかじゃないのはそっちの方が心配だよ!」

 真顔で言うミアキ。この妹って姉に彼氏を作れとうるさいのだ。その心配はいらないから!思わず寝返りをうつと枕に顔を埋めて足をバタバタさせてしまった。ほんと、どこでそういう話を身につけるのやら。


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