6月15日木曜日 吉良小夜子の投開票日の朝
吉良小夜子
清々しい朝。目覚まし時計を見たら5時だったけどスッと目が覚めた。今日は朝のHRで投票でもう選挙運動はない。そして放課後に開票作業が行われる。やれる事はやった。制服追加案への支持は流石に古城さん陣営の度肝をぬく事が出来たし、昨日朝は先手を取れた。あとはなるようになれだ。
そう思ったらスッキリした。ベッドを出て洗面台に行ったら、大学のレポートで徹夜したらしいボサボサ頭な姉と出くわした。この人、普段は鉄壁な装いなのに家だとこれだ。
「あんた、もう起きたの」
肩をすぼめた私。
「目が覚めちゃった」
「今日があんたの審判の日だったっけ?」
「えー。何よ、それ」
「キリスト教とかそういう世界の終わりの日があるのよ。史学の先生が言ってたわ」
「そういう日じゃないけど投開票日なんだ」
「ふーん。そのわりにスッキリしているね。何か得るところあったのなら勝とうが負けようがいいよね。ただ勝った方がもっとうれしいだろうけど」
「そりゃ、そうだけど。やるべき事が見えたからいいよ。どっちでも」
「真面目が取り柄な小夜ちゃんがねえ。変わったね。ま、頑張りな」
「お姉ちゃん、徹夜でレポートって言ったけどできたの?」
姉は思いっきりしかめっ面。やっぱりか。
「……勘が良いねえ。小夜ちゃん。そういうウィークポイント突くのは止めなさい」