6月10日 模擬演習2
模擬討議:古城ミフユvs.吉良小夜子(秋山菜乃佳)
攻守交代。私は古城さんのアタックを吉良さんになり切ってレシーブしなければいけない。これまでの古城さんの受け答えは絶妙だっただけにどんなボールが叩き込まれてくるかと戦々恐々。でも、受けて立ってみせる。
「秋山さん、行くよ!」
「どうぞ!」
「吉良さんに伺います。学食メニューの見直しを提言されていますが、どのように進められるつもりですか?」
「生徒の皆さんの意見を取りまとめて、学食側に要望書を渡すつもりです」
「吉良さん、学食側に対して相談とかされていますか?」
「そういう事は話が具体化してからでいいと思います。要望を伝える事が大事なのです……って、轟沈するね」
「それが分かったのは秋山さんが聞き出してくれたおかげだからね。ありがとう」
「秋山さんの食い意地がもたらした功績大きいよなあ」
「こら、姫岡。ほんと私の食欲観察するのはやめなさーい」
「いやいや、今のは誉めてるし」
模擬討議:古城ミフユvs.吉良小夜子(姫岡秀幸)
最後は僕だ。古城さんは手強い。でも吉良さんも手強いと思う。その吉良さんとして振舞わなければいけない。
「姫岡くん、いい?」
「どうぞ」
「吉良さんに伺います。ボランティア活動の振興をうたっていますが、ボランティアの言葉の定義、語義を教えて下さい」
「古城さん、ボランティアとは『志願』という意味ですけど」
「であれば強制的な事は『志願』に当らないという事は明らかですよね。生徒自治会での振興というのは適切ではないんじゃないでしょうか?」
「それは当らないと思います。地域のボランティアとの橋渡し、学校で組織して保険など掛けた上で取り組む災害ボランティアなどあくまでも志願する学生を助ける事が目的です。強制には当りません」
ここで日向くんが手を挙げた。
「姫岡、今の回答は向こうが想定している活動だよな?」
「そうだよ。日向」
「じゃあ、こう言ってくれ」
日向くんは僕にある事を耳打ちしてくれた。そして僕の番から再開になった。
「付け加えるとボランティア・センターを特別委員会かクラブ活動として立ち上げるという事も考えています」
古城さんは容赦せず止めの一撃を狙った質問を浴びせかけてきた。
「ではもしボランティア・センターを新組織として立ち上げた場合、その陣容はどうするのですか?」
「トップは私が務めます」
「でも、生徒自治会長との兼務は無理がありませんか?」
僕は手を挙げた。
「松平さんをここに入れてくる可能性はあるかな?」
加美さんが答えた。
「ないと思います。あの人は副会長か監査委員をやったら生徒自治会の本務の中心になるのは見えてますから」
「じゃあ、水野?」
これは古城さんが答えた。
「水野くんはもっとないと思います」
加美さんが頷いた
「私も古城先輩の意見に同感です。想定があるなら名前は出すでしょうけど、なかったら『私が責任を持ってやる』と言って話を打ち切るはずです」
「そうきたら『結局人員構想はないんですね。ありがとうございました』って言って質疑終了に追い込むかなあ」
「古城先輩、結構怖いですね」
「中身のない提案はダメだと思うよ。その事ははっきりさせたいな」
「あまり相手の退路立たないようにはして下さい。恨まれたら後々祟ります」
「気をつける。加美さん」