6月 6日火曜日 体育館1階学生食堂自販機コーナー 二人の危惧
日向肇
体育館1階の学食にある自販機コーナーで二人でお茶のペットボトルを飲みながら話をしていたら古城から俺たち二人宛にメッセが入った。陽子ちゃんが速攻でリプライを返した。
古城:ラブラブ中の所、悪いけど『事務所』に戻ってきてくれないかな。加美さんは明日の放課後に返事くれるって事で今日は帰ったから。
陽子:了解。別にラブラブなんかしてないけどな。真面目に選挙の話をしていたのに。冬ちゃんのいけず。
俺と陽子ちゃんは北校舎3階の「事務所」に戻ることにした。学食の外へ出ると野球部など運動部の掛け声や金属バットの音が響いている。放課後の校舎内の静けさと部活の微かに響く音を聞きながら2階の渡り廊下へと階段を上がった。
「事務所」へ戻ると古城は何か嬉しそうだった。
「とってもいい子だと思う。肇くんすごい子知ってるね」
ご機嫌な古城を見て微笑む陽子ちゃん。俺も紹介をした甲斐があったというもの。俺は古城に聞いた。
「いけそうか?」
古城は首を縦に振った。
「大丈夫だと思う。手応えはあったから。明日また回答するって事になったから」
みんなで学校を出ての帰り道、古城は買い物をして帰るというので途中で別れて、俺は陽子ちゃんと二人歩道を駅の方へと歩いていた。
「二人の話がどうなるかってちょっと気が気でなかったけど、思った以上に気が合ったのかな。加美が敵に回らずにこちらについてくれれば1年生に働きかけが出来るというのは大変意義がある。うん」
「肇くん、冬ちゃんの事を焦土戦術上等な奴ってよく言うけど、強権上等な猛獣の加美さんと組み合わせたらどうなるの?」
「陽子ちゃん。それは言わないで。心配してない訳じゃないからさ。加美が加わってくれた時、俺たちの仕事の一つはそうならないように手加減させる事だとは思ってるよ」