表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/70

6月 6日火曜日 陽子と洋子

加美洋子


 5限目の授業を聞きながら日向先輩からのオファーを考えていた。


 中学1年生の時、不合理な校則がまかり通っていた。私はその事に不満で生徒会活動に顔を突っ込んでいた。日向先輩とはその時に知り合ったのだった。

 頭の良い人でやる気を出せば私の手足になってくれそうと思って10月の会長選への立候補を猛烈プッシュして振られた。仕方ないので1年生の間は雌伏して情報を集め計画を立てた後、2年生の時に会長選に立候補して学校側のお気に入りの秀才を蹴散らして会長職を奪取した。


 生徒会長になってから学校側に「何故こうなったんですか?」と確認するようにした。すると先生方はあたふたする。結局慣行となっているだけで規則になった時の経緯なんて引き継がれてないのだ。この質問を形を変えながら繰り返していき徐々に生徒全体の疑問として認識をするように仕掛けていく事で、説明の付かない慣行と化していた規則の見直しを実現した。


 選挙公報の発行は9日。現時点では古城先輩がどんな公約を掲げているか不明。ただ日向先輩がこうやって私に声を掛けてきた事を考えると全く話が合わないような内容ではないと思っていると見て間違いないだろう。

 放課後の面談でこの点は説明があるだろうし、ないなら関わらなきゃいいだけだ。場合によってはもう一方の陣営に直接押しかけたっていいだろうし。そう思うと楽しくなってきた。


 終礼のHRが終わると北校舎3階の物理化学準備室へと向かった。

廊下では2年生らしい男女が待っていた。一人は日向先輩でもう一人は2年生女子。日向先輩と親しく付き合っているというのは1年生男子のやっかみになっていてそれは耳に入っていた。

 その人は前髪を揃え後ろ髪は肩の下あたりまで伸ばしたきれいな黒髪の人だった。遠目に見てもすごい美人なのだ。男子どもが騒ぐのも無理はないか。


 頭を少し下げて挨拶するとその女性は

「あなたが加美さんね。私は三重陽子です。よろしく。古城さんはもう中にいます。私達はしばらく他に行ってますから前向きな検討をよろしく」

と言った。そして日向先輩と三重先輩は二人連れだって準備室から離れて階段の方へと歩いて行った。


 私は軽く息を吸い込んでからドアをノックした。

「加美さん?どうぞ、中に入って」

そういう声が中から聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ