表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/19

8月25日 電話の助

 パッと目が覚めた。すぐに、憂鬱が襲う。

 ブー、ブー。

 バイブ音が、煩い。渋々、ベッドから起き上がった。

 鞄の中からスマホを取り出す。すると、液晶画面には、「実家」と表示されていた。何の用だろう。一瞬、そう考えた後、通話ボタンを押す。

「美里か?」

大きな声が、頭に響いた。思わずスマホを耳から離した。

 一呼吸置き、また、ゆっくり耳に近付ける。

「○○寺とかも、観たいって話になって。お前の家の近くだろ?」

「うん」

「久し振りに、家族で過ごさないか?」

「えっ」

「お前の部屋に泊まれないか?」

その言葉で、鈍かった頭が、急に、回った。

「無理だよ。予備の布団とかないし」

「そうか。・・・そう言えば、稔君に野菜を送ったんだが、何か言っていたか?」

急に、話が変わり、付いていけない。漸くその事を思い出して言った。

「あぁ、美味しそうだったって」

「そうか。美里は、いらないだろう? そう思ったから、連絡しなかったよ」

「そうなんだ」

素直に納得するのが、賢明だ。食い下がった所で、「いらないのなら、連絡しても、仕方ないじゃないか」となるに、違いないのだから。近しい存在だから、何もかも、分かり合えるというのは、幻想だ。

 その後、少し話すと、通話終了のボタンを押した。スマホを、ガラステーブルの上に置いた。また、ベッドへ倒れ込む。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ