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王国最強?の男

どうぞご覧下さい。

「ここにガイナスと言う者はいるか? 将軍閣下が御呼びである。 速やかに名乗り出よ」


 兵士の言葉が静まり返った斡旋所の受付広間に響き渡った。 しかし誰も言葉を発しない、動かない、その状況に苛立った兵士がもう一度声を出そうとした時、奥から男が出てくる。 男は40後半頃で片足を引きずっていた。 背は低い物の筋骨隆々の体で鍛えてあるのが分かる。


「何だお前は? まさかお前がガイナスと言うつもりか?」

「そんな訳ねえだろう、俺は一応この斡旋所の責任者でドンゴって者だ。 で、あんた等は何だね?」

「我等は将軍閣下直属部隊の者だ。 ガイナスとやらの実力を測りたいとのお達しだ、それで本人は何処にいる?」


 兵士の言葉に広間中の人々がざわつく。


「隠し立てしてもお前達の為にならんぞ、ガイナスとやらは何処だ」

「別に隠したりしねぇよ、奴さんなら朝から狩りだ」

「なっ何? 狩りだと。 何処に行った?」


 ドンゴが答えると兵士二人は居ない事に慌て出した。


「東の林で剣牙虎サーベルタトーラが出たってんで、今朝向かったよ。 暫くしたら帰って来るさ」

剣牙虎サッサーベルタトーラだと! 馬鹿な、たった一人で向かったのか?」

「奴さんなら一人で十分だよ」


 ドンゴの言葉に周りにいた人達も口々にそうだ、そうだと騒ぎだす。 その雰囲気に兵士二人は戸惑った。 剣牙虎サーベルタトーラと言えば仕留めるのに熟練兵が五人はいるとされている、そんな魔物をたった一人で向かい倒して来る事にこの場の連中は誰も疑っていなかった。


「という訳だ。 出直して来てくれ、仕事の邪魔だ」

「そっそうはいかん。 戻って来るまで待たせてもらおう」

「いやいや、仕事の邪魔だって言っとるだろうが」

「黙れ! 我らは将軍閣下より男を連れて来るよう命を受けておるのだ。 邪魔だてするなら容赦せんぞ」


 兵士の一人がドンゴ槍を突きつける。 その行為に悲鳴を上げる若い娘、咄嗟に身構えようとする男達、だが当のドンゴは平然としていた。 斡旋所に緊張が走った時、扉が開いた。


「戻ったぜ、おやっさん。 ……どういう状況だこりゃ?」


 開いた扉の所に立っていたのは背の高い男だった。 太い腕、厚い胸板など鍛えられているのが一目で分かる。 そしてその背には大きめの両手剣があった。 顔立ちは若いがその目は猛獣の様に鋭かった。 更に目の前の現状のせいでその目は更に鋭くなっていた。


「おお、お帰り。 首尾はどうだった?」

「ん、ああ若いのが一匹だったよ。 表に置いてある、後で買い取り頼むよ」


 何事もないかの様に話す二人に周りの空気も少し和らいだ。 和らいだ所で兵士の一人が槍を構え男に問い詰める。


「貴様、何者だ? この男の関係者か? 邪魔をするなら容赦せんぞ」

「ああ? そっちこそ何だ? おやっさんに手出したら、殺すぞ」

「きっ貴様!」


激高した兵士二人は男に向かって槍を構えた。 しかし男は全く動じずに平然としている。 少しも怯まない男に兵士二人が気後れするとドンゴが声をかける。


「おいおい、兵士さんよ良いのかい? 目の前の男があんた等の探してるガイナスなんだかね」

「なっ何だと」

「それを早く言え」


ドンゴの言葉に慌てて槍を下ろす兵士二人。 それを訝しの目で眺める当のガイナス。 兵士二人は咳払いをしてガイナスの前に立った。


「貴様がガイナスか、剣牙虎サーベルタトーラを退治に行ったと聞いていたが戻って来たのか?」

「何にせよ丁度いい。 我らと一緒に来てもらおう、将軍閣下がお呼びだ」

「はあ? 何言ってんだあんた等。 いきなりそんな事言われてついて行くと思うのか?」


まるで相手にしないガイナスの態度に兵士二人は怒り出す。


「良いから来い! 抵抗するなら捕縛してでも連れて行くぞ」

「はっやれるもんならやってみな」

ようやくガイナス君登場です。 このまま行くと冒頭の場面までまだまだかかりそうだ、自分の事ながらやれやれな心境です。

ここまで読んで頂き有難う御座いました。

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