知らせ
どうぞご覧下さい。
南の大国サーウクル王国、その王都ミリューミッテ。 国王のキングス・ドワ・サーウクルは何時もの様に執務に精を出していたが、何故か今日に限って集中を欠いていた。 書類を二、三枚処理すると手が止まり、溜め息を吐く。 処理しては溜め息を吐くを朝から繰り返していた。
「陛下、御加減でも悪いのですか?」
「いや、すまぬ。 何処も悪くはないのだ」
王の溜め息の多さに宰相が尋ねるが、何処も悪くはない、と言う王は昨日とは明らかに違う。 重ねて宰相が尋ねようとすると王は溜め息混じりに話す。
「只な、……今朝から胸騒ぎがして落ち着かんのだ」
「胸騒ぎですか、何か御懸念でも?」
「いや、具体的な何かがある訳ではないのだ」
「左様ですか。 ……陛下一旦休憩に致しましょう」
「いや、気を使う必要はない」
「いいえ、このままでは終わる物も終わりません。 ですから気分を換えましょう」
宰相は傍にあったベルを鳴らす。 隣の部屋から侍女が入って来た。
「小休止だ。 陛下にお茶を」
「畏まりました」
3プ後、王と宰相はお茶飲み一息ついていた。 お茶の爽やかな香りが自身の心を僅かながら解きほぐすのを王は感じていた。
「僅かだが気持ちが楽になったよ、礼を言う」
「いいえ、これも宰相の務めですから」
お互いに軽く笑っていると、控えの間から入室の伺いがあり、許可を出すと近衛兵が一名入って来た。 手には文書を携えている。 宰相の前まで来ると一礼し文書を差し出す。
「失礼致します、ノースハイより早馬が参りました。 可及的速やかに御覧頂きたいとの事です」
「ノースハイから? ふむ、ご苦労下がれ」
「はっ」
近衛兵が出て行くと宰相は文書を受け取ると王へと差し出す。 王は受け取ると早速中身を確認する。 すると王の目が大きく開き文書を持つ手が震え出した。 尋常ならざる様子に宰相は慌てて王に尋ねた。
「陛下! 如何なさいました? ノースハイのノースハイド卿から何か? もしや他国の侵略ですか?」
「その程度ならまだ良かったのだがな、そなたも読め」
王は顔を片手で覆いながら文書を宰相に渡す。 受け取った宰相は書いてある文を読むと、王と同じ様に目を開き手を震わす。
「へっ陛下、これは……」
「ああ今朝からの胸騒ぎはこの事を感じ取っていたのだろう。 魔王復活の証、三つの現象が起こった事を」
二人は暫し無言だった。 これから起こり得る事を考えるとやむを得ないだろう。 魔王復活により魔物達の活発化、天候不順、それらの原因によって大勢の死者、不作等考える事は幾らでもあった。 そして意を決した様に王は机を叩き立ち上がる。
「こうして居ても埒が明かぬ。 至急皆を集めよ、対策を練らねば」
「はっ陛下」
急ぎ足で出て行く宰相を見ながら王は願う。
「勇者よ早く現れてくれ。 人々のために」
話が進んでないような……
ここまで読んで頂き有難う御座いました。