市場と孤児院
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王都ミリューミッテ中央市場、食料品や日用品、飲食店など様々な店が建ち並び大勢の人々が集まる地域である。 ガイナスは軍本部の帰りに市場へ寄っていた。
「さてと、何か食ってから、彼処に寄って帰るか」
市場の屋台街へ足を運び色々物色していく。 ガイナスは串焼きなどを買っては頬張っていく。 ある程度腹を満たすと食料品店の方へ足を向けた。
「おばちゃん、久しぶり」
「おやまあ、何日ぶりだいガイナス? 元気そうだね」
「20日振りくらいかな、この通りピンピンしてるよ」
「で、いつもので良いのかい?」
「ああ、頼むよ」
「あいよ、ちょっと待ってな」
店の女性は慣れた手つきで渡されたガイナスの携帯袋に商品を詰めて行く。
「あいよ、お待ち。 干し果物の詰め合わせ」
「どうも、じゃあまたなおばちゃん」
「毎度有り、またおいで」
ガイナスは代金を払い店を後にし、肉屋に向かう。
「おいちゃん、しばらく」
「おう、ガイナス。 今日は何だ? いつものか?」
「ああ、今回は二つ頼むよ」
「おう、毎度」
肉屋の男性は抱える程の肉を細縄で縛り二つガイナスに渡す。
「どうも、またなおいちゃん」
「おう、また来いよ」
代金を払い店を後にしたガイナスはある場所に向かった。 20プ後、そこは王都外れにある孤児院だった。 孤児院は国や修道会の援助と国民の寄付によって運営されているが、現状は厳しい物だった。 その為ガイナスは時折食料等を差し入れに来ていた。
「ばあちゃん久しぶり」
ガイナスは孤児院の玄関周りを掃いていた年老いた女性に声をかける。 女性は顔を上げガイナスに気付くと満面の笑みを浮かべた。
「おやおや誰かと思えば、ガイ坊やかい。 暫くだね」
「ばあちゃん、いい加減坊やは勘弁してくれよ」
「私にとっちゃあんたは坊やのままさね、昔からちっとも成長してないからね」
「ちぇー。 それはそうと肉持って来たぜ」
「それは有り難いね、何時も感謝してるよ。 おや? 二つもかい?」
何時もは一つの肉が二つあり女性は驚く。
「ああ、近々遠出するかも知れないから多めに持って来た」
女性は顔を曇らせる。
「あんたが強いのは十分知ってるけどね、余り周りを心配させるんじゃないよ」
「分かってるって、じゃあ肉は奥に持って行くぜ」
「頼んだよ、晩の下拵えでサリーが居るはずだから渡しておくれ」
ガイナスは手で答えながら、孤児院の奥へと入って行く。 奥へ向かう途中子供達に肉を見せては歓声があがる。 そうこうする内奥の厨房に辿り着くと、少女が野菜の下拵えをしていた。
「よお、サリー精が出るな」
「ガイナスさん、帰ってたんですか? お久しぶりです」
声を掛けられた少女、修道女見習いサリー、先の年老いた女性アーマダと共に修道会より派遣された孤児院の世話係だ。 ガイナスは二つの肉を作業台に置いた。
「肉持って来たぜ」
「何時も有難うございます。 二つもですか?」
「ばあちゃんにも言われたよ、ちょっと遠出の予定なんでな」
「はあ、大変ですね」
「そうでもないさ、まあ面倒では有るけどな。 それじゃ後は任せたぜ、サリー」
「はい、お任せ下さい」
ガイナスは肉を少女に預けると厨房を出ていった。 サリーは野菜の下拵えを中断し肉を手に取る。
「さて、二つもあるし一つは干し肉かな。 ムフ、お・に・く・お・に・く」
小躍りするサリーであった。
「じゃあなばあちゃん、生きてたらまた来るよ」
「縁起でもない事言うんじゃないよ全く。 必ずまたおいで」
ガイナスはアーマダに手を振り、帰って行った。
話を進めようとすると別の話が割り込んでくる。 うーん。 早く旅立たんか主人公。
ここまで読んで頂き有難う御座いました。