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依頼

どうぞご覧下さい。

 ガイナスは将軍の執務室で寛いでいた。 ジェネガ将軍は服を着替えると言い部屋を出た後、侍女がお茶を淹れる。 少しして将軍が略式の軍服で戻って来た。


「待たせてしまって済まない。 ん、お茶は飲んどらんのか?」

「どんな時も用心は怠らないんでね」

「ハハハ、参った。 では儂が淹れて飲もう、良いかね?」

「どうぞ」


 将軍は手ずから二人のお茶を淹れ飲んで見せた。 ガイナスはその礼儀としてお茶を一口飲んだ。 将軍はニカっと笑い話始める。


「早速話を始めよう。 ガイナス殿、貴殿に頼みたいのは王子の護衛任務だ」

「王子の護衛? そう言うのは普通軍がするもんだろ」

「確かにそうだ。 だが事情が複雑でな。 ……そうだな最初から話そう」


 将軍は魔王復活の件から勇者の証発現まで話した。 ガイナスは魔王に興味があるのか、珍しく聞き入っていた。 


「と言う訳だ。 事の大きさは理解してくれたかな」

「ああ、魔王の討伐と王子の護衛だな」

「ん? ……いやいや護衛が先だ」

「ん? 魔王を倒せば良いんだろ?」


 将軍はため息を吐きながら言う。


「魔王を倒せるのは選ばれた勇者だけだ」

「ん? 何でそう決まってるんだ?」

「何で……と言われても昔からそうなっておるからな」

「試した事があるのか?」

「そんな無謀な事を試すやつ等おらんよ、魔王が相手だぞ。 それに道中も強力な魔物がいる」


 ガイナスは腑に落ちない顔をしながらも。


「んーまあ良いか。 取り敢えず護衛と討伐だな」

「おお、有難い貴殿の様な強者に護衛して貰えれば王子も大丈夫だ。 よし早速陛下にご報告せねば。 ガイナス殿がすまんがもう暫く待っていてくれ」

「ああ、ごゆっくり」


 将軍は立ち上がり部屋を出て行った。 ガイナスは一人になると腰に下げた携帯袋から干し果物取り出し口に放り込んだ。 ゆっくりと租借しながら頬がゆるむ。


(魔王か、思ったより事がでかいな。 狩りがいがありそうだ)


 魔王が相手と聞いてもこの男は全く動じなかった、そればかりか強い相手と戦える事に楽しみすら感じていた。


 将軍はガイナスの件を伝えに王の執務室にいた。 ガイナスの実力を嬉々として王に話す。 王は静かに耳を傾けていた。


「如何でしょう陛下? 護衛にこれ以上の者はおりません」

「……信用できるのか? 途中で放棄したりはせんだろうな?」

「私はそう思っております。 元部下のドンゴも契約に対しては厳格だと言っております」

「ふむ」


 王は暫し目を閉じ考える、閉じながら呟いた。


「明日その者に会ってみたい」

「陛下?」

「そなたの人物眼を疑う訳ではないが、それほどの強者ならば会って損はあるまい?」

「一見の価値は確かにありますが……市井の者故王族に対する作法は知らぬと思いますが」

「良い、その様な些細な事を気にしても何にもならん。 時刻は真昼とする、よいな」

「はっ畏まりました。 ではその様に申し伝えます」


 将軍は部屋に戻り王の言葉を伝えた。 


「と言う訳だ。 明日真昼前に迎えをやるので宜しく頼む」

「王様ねぇ、堅苦しいのは苦手何だが断れないよな?」


 とんでもない事を言い出すガイナスに将軍は頭を抱える。


「それは勘弁してくれ。 不敬罪になりかねん。 そうなったら貴殿を捕縛せねばならん」

「やれやれ、だけど作法何て知らないぜ。 良いのか?」

「大丈夫だ、"気にしなくて良い"と御言葉を賜っている」

「分かったよ、真昼前だな?」

「ああ」


 ガイナスは確認すると席を立つ、つられて将軍も立った。


「じゃあこれで帰るよ。 お茶ご馳走さん」

「明日また会おう」


 挨拶を交わしガイナスと将軍は別れた。 ガイナスが去った後将軍は深く息を吐き呟く。


「このままうまく事が運んで欲しいものだ」

話が進まない。 ガックリ。

ここまで読んで頂き有難うございました。

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