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どうぞご覧下さい。

 王都中央軍本部、練兵場。 今そこは只ならぬ空気に包まれていた。 先程までの穏やかな雰囲気は一変し、張り詰めた圧の様なものが場を支配している。 王国軍将軍ジェネガは目の前の光景が信じられなかった。


 将軍はこの試験を幾度となくやってきた、親衛隊の選抜等にだ。 その多くは全く反応出来ず失格、咄嗟に腕で庇い負傷した者が若干名、辛うじて躱して合格出来た者はほんの数人だけだった


 だがガイナスは突き出された短剣の刃の中程を指で掴むや否や、手首の捻りだけで折ってしまいそのまま将軍の喉元に突き付けた。 しかも将軍の足を踏み後ろへ逃げられない様にしていた。


「……みっ見事、ガイナス殿……お見事」

「やれやれ、まさかこれが例の手合わせ……試験なのか将軍?」


 ガイナスは将軍の喉に突きつけた刃と踏みつけた足を少しも緩めず質問する。 野獣の様な巨大な圧が将軍を襲う。 長年戦場で生きてきた将軍ですらピクリとも動けなかった、その額から汗が流れる。


「ガイナス! やり過ぎだ。 もうやめとけ」


 ドンゴが叫ぶ。 その声に応えるかの様に将軍にかつ練兵場に放たれていた圧が収まっていく。 ガイナスはゆっくりと将軍から離れて刃を遠くへ投げ捨てた。 皆が安堵のため息を吐く。 将軍はその場に膝をついてしまった。


「「閣下!?」」

「ご無事ですか将軍」


 慌ててドンゴの友人達が駆け寄る。 将軍は膝をつき息が荒く今にも倒れそうな様子だ。 一方ドンゴはガイナスに近づき手招きをする。 ガイナスは顔をしかめながら頭を下げるとドンゴが一発拳骨を叩きこんだ。


「痛って」

「ったく、お前はいつもやり過ぎだ。 バカたれ」

「でもよおやっさん、不意打ちかつ殺気付きじゃ…………へいへい」


 ガイナスは言い訳をしようとするがドンゴに睨まれて口を閉じる。 すると将軍が部下の肩を借りて二人の方へとやって来た。 将軍の顔は若干やつれていたが生気は失われていなかった。


「ガイナス殿、先程の無礼をお詫びする、ドンゴも済まなかった。 だが見事だった、かつてこの様に切り返してきた者はおらぬ」

「いや、俺もやり過ぎた。 謝るよ」

「将軍このバカは加減を知らんのでこういった事は控えて下さい」

「ハハハ、もう懲りたよ」


 練兵場は一変して和やかな雰囲気に包まれる。 


「ではガイナス殿、儂の部屋まで来て来るか。 そこで依頼内容を話す」

「いいぜ」

「ガイナス、俺はこいつらと話をしたら斡旋所に戻る。 後は自分で帰れるな?」

「ああ、ってそこまでガキじゃねえよおやっさん。 じゃあまた後でな」


 ガイナスと将軍はそろって練兵場を後にした。 ドンゴの周りに友人達が集まりガイナスの事を聞いてきた。 


「ドンゴ! あいつは一体何者だ?」

「あんな男がいたとは聞いてないぞ」

「まさか、お前の息子か?」


 ドンゴは顔をしかめて答える。


「そんな訳あるか! まあガキの頃から色々世話してやってはいるが……」

「ガキの頃って親は?」

「知らん、いつの間にか狩って来た魔物を売りに来てたからな」

「いつの間にかって……何年前だ? それ」

「…………10年近いか……」


 一瞬沈黙が流れる。


「……ちょっと待て、あいつ幾つだ20位だよな?」

「多分そうだと思うぞ。 本人もよく分かって無い様だが」

「本人が分かって無いって、自分の歳だろ」

「そこまで俺が知るか。 兎も角それくらいの頃から付き合いだが詳しくは俺も知らんし興味もない」

「……相も変わらずかお前は、少しは仕事以外に興味を持たんか」

「ふん、大きなお世話だ」

当初は将軍とカンカン打ち合う場面を考えていたのに、書いていると何故か不意打ちを跳ね返す場面になってしまった。 何故だ?

ここまで読んで頂き有難う御座いました。

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