見極め
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あのドンゴが将軍と知り合いらしい、と聞いたガイナスは”待った方が良い”と言う周りの声を無視して奥の部屋へ向かっていた。 ドンゴの部屋に近づくと笑い声が聞こえてきた。 将軍と知り合いとは人は見掛けによらないなと思いつつガイナスはノックする。
「おやっさん、入るぜ」
ガイナスが返事を待たず中に入るとドンゴと将軍が向かい合って座っていた。 将軍はガイナスの姿を見や否や立ち上り握手を求める。
「そなたがガイナス殿か。 先日は部下が失礼な事をした様だ、申し訳ない」
「あっどうも、しかし本当に将軍自ら来るなんて思わなかったよ」
「ガハハハ、それが儂の取り柄よ」
「直すべき悪癖でしょうが」
すかさず突っ込むドンゴ、更に笑う将軍だった。
「ガイナス紹介しておく、ジェネガ・セ・イイダイ将軍。 俺の元上官だ」
「ジェネガだ、改めて宜しく」
「ガイナスだ、基本魔物狩りで生活してる。 おやっさん軍にいたのか?」
「お前がここに来る前の話さ」
取り敢えず自己紹介を終え三人とも席についた。
「早速で悪いのだがガイナス殿、貴殿に依頼がある。 しかしこの依頼は非常に危険を伴う、そこで貴殿の実力を見極めさせて欲しい」
「依頼ねぇ……おやっさんはどう思う?」
「お前なら大抵の事は問題ないだろ、で依頼の内容は?」
将軍は腕を組み目をつむった。
「済まんがここでは言えん。 非常に重要かつ危険なのだ。 もし実力不足ならこの話は無かった事になる。 秘密を守る為にも実力を見せてもらった後に話す」
その神妙な言葉にガイナスとドンゴは目を合わせる。 ガイナスは頭を掻きつつ息を吐くと。
「まあ何だって良いさ、それで何時試すんだ?」
「これから直ぐ軍の練兵場に来て欲しい。 そこでこちらの選んだ兵と手合わせをして欲しい。 良いかね?」
「俺は何時でも大丈夫だが……おやっさん、急ぎは?」
「いや、ないぞ。 サーベルの件が片付いたばかりだしな」
ポンッと膝を打ち立ち上がるガイナス。
「よし、じゃあ早速行くか」
「ありがたい、宜しく頼む。 儂の馬車で向かおう」
「おやっさんも来るか? 古巣なんだろ?」
「古巣つってもなあ、……まあ懐かしくはあるが」
「ドンゴよ、お主も来い。 皆が喜ぶ」
「……そう言われては断れませんなあ」
三人は共に向かう事になり部屋を出た。 受付広間は未だに騒がしかったが、三人が斡旋所を出る時ドンゴは受付の女性に出掛ける事を伝えて出ていくと更に騒がしくなった。
三人は馬車に乗り込み出発する。 30プ後馬車は練兵場に着いた。 門を通り抜け幾つかの扉を潜ると広場へと出た。 数百人は入れそうな練兵場だった。
「ドンゴ、ガイナス殿。 準備をするので暫く待っていてくれ」
「ああ、良いぜ」
「分かりました」
将軍は言うと去って行った。 ガイナスは物珍しそうに周りを眺めていたが、ドンゴの目には懐かしさが宿っていた。 暫くして将軍が何人か連れて戻って来た。 将軍は正装から動き易そうな服に着替えている。 将軍の後ろにいた何人かがドンゴに気づいた。
「おお、ドンゴか! 懐かしい」
「まだしぶとく生きとったか」
「それはこっちの台詞だ、お前ら」
ドンゴ達はお互い笑いながら悪口を言い合っている。 それを見ていたガイナスに将軍が近づく。
「良い物だな友の再会とは。 そうは思わんかね?」
「んーまあ見てて微笑ましくはあるな」
ガイナスの言葉を聞いて笑う将軍。 が次の瞬間、隠し持っていた短剣でガイナスを襲う。 ドンゴ達の笑い声が僅かな音を消し、和やかな雰囲気が油断を誘う。 正に奇襲。
話が全然進んでないです。 すみません。 ここまで読んで頂き有難う御座いました。