男の力
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仕事の斡旋所はちょっとしたトラブルが起きていた。 ガイナスを探しに来たと言う兵士が二人、その探していたガイナスに対して槍を構えている。
「どうした? ぼさっと突っ立ってないで、掛かって来い」
「おのれ! 調子に乗りおって」
「大人しくついてこれば良い物を」
兵士二人は目配せをすると一斉にガイナスに向けて槍を突いて来た。 連れて行く事を目的としているためか足を狙っていた。 槍がガイナスの足に刺さると皆が息をのんだ、がその前にガイナスが消えた。 兵士二人が驚いた瞬間、兵士二人がガイナス頭を掴まれて床に叩きつけられていた。
「あがが……」
「……かは」
何が起こったのか周りの人達は分からなかった、唯一ドンゴを除いて。 ガイナスは手を叩きながら立ち上がる。 兵士二人はうめき声を上げるが全く動けなかった。 そこへドンゴが近寄ってきた。
「全く、外でやれバカたれ。 建物が傷むだろうが」
「ははっ悪いおやっさん」
普段通りの会話をする二人に少し空気が和む、が兵士二人が喚き出した。
「きっきさま、こんな、事をして……タダで済むと思って……るのか」
「そうだ。 我らは……ゴホッ……将軍閣下直属の……兵だぞ」
「そんなの知るか。 だったらその将軍閣下が頼みに来い、それならついて行ってやる」
「何と不敬な事を」
「おのれ、グゥ……頭がふらついて動けぬ」
「無理するな、当分動けん。 まあ何はともあれご退室願おうか」
ガイナスは動けない兵士二人の襟を掴むと出口へ引きずって行く。 喉が締まり暴れる兵士二人だったが、ガイナスは意に介さず扉をくぐり兵士二人を外に放り投げた。
「ぐわぁぁぁ」
「ぎゃぁぁぁ」
「じゃあな、二度と来るなよ」
ガイナスは言い放つと斡旋場所の中へ入って行った。 投げられた兵士二人はふらつきながら痛む体を擦っていた。
「おっおのれー、こうなったら捕縛の為の増……」
「ああ、目にもの見せてくれる。 ん、どうした?」
腕を擦っていた兵士は相方が急に黙ったのでそちらを見た。
「……うお!」
そこには大の大人より一回り大きな剣牙虎が足を縛られ横たわっていた。 胸元に致命傷と思われる傷があり既に絶命していた。
「あっあの男本当に剣牙虎をたった一人で退治したのか?」
「しっ信じられん、しかも傷が胸元の一つしかないぞ。 まさかたった一太刀で?」
ガイナスと言う男の異常な強さに慄いていたら、斡旋所の扉が開きそのガイナスが出てきた。
「何だ、あんたらまだ居たのか。 まあ丁度良いか、ほらよ忘れもんだ」
言いながらガイナスが放ってきたのは二人が持っていた槍だった。 兵士二人が辛うじて受け取るとガイナスは斡旋所の中に引っ込んだ。 二人は暫し茫然として動けなかった。
「……はっいかん、このまま呆けている訳には。 おい、一旦戻るぞ」
「ああ、そうだな。 戻って上官に報告しよう」
兵士二人は若干ふらつきながら用意していた馬車に乗り込み軍本部へと帰って行った。
戦いの場面は表現が難しい。 まあ今回は戦いと言える様な場面ではないですが、今後が不安
ここまで読んで頂き有難うございました。