精霊の干渉と恩恵
前話を更新しました。
ストーリーは変わってませんが、説明を多くして、より世界観が解るようにしました。
そのため一部表現も変えてます。
以前に読まれた方は、再度眼を通して頂けると有り難いです。
「ととさん、今日の仕事はどうだった?」
夕食のお皿の準備をしながら、剣の手入れをしているととさんに、私はいつものように訊ねた。私が夕食を作っている時、剣の手入れをするのがととさんの日課だ。
「そうだな、今日はこれといって、なんもなかったかな」
机に置いた剣を片手に持ち、もう片方の手には砥ぎ石を持って、丁寧に剣の刃を研ぎながら、ととさんは答えた。今日は週に一度の研ぎ日。『火の日』だから研ぐには一番精霊の干渉が少なくていい。
ととさんは剣を持ち上げて、刃の状態を確認する。今持っている剣はととさん自慢の、傭兵時代から使っている両刃の剣で、今なお仕事に持参するほど愛用している。
門兵になれば、当然武器も防具も貸し出されるっていうのに。そのことを言ったら、ととさんは「そんな馴れんもん使って護りができるか」と返してきた。
そうはいっても防具は借りてるくせに。私がそう言ったら、ととさんは「防具なんて何でもいいんだよ。何を着たって、どうせ俺には届かないんだから」誰の攻撃もその身に受ける事はない、とニヤリと不敵に笑った。ホントは防具持参するの、手荷物が多くなって面倒だから嫌なだけなくせに。
闘い事が嫌いな精霊は、その武器が自衛目的であったとしても、その物を排除しようとしてくる。そのため、剣であれ、斧であれ、弓であれ、精霊の干渉により劣化させられてしまう。
不思議なことに同じ刃物でも包丁なんかは、自然劣化はするけれど、精霊からの干渉はない。斧や弓であっても、木を切ったり獣を取ったり、生きるために必要で使用している物であれば、精霊は何もしてこない。
木こりの斧と傭兵の斧。二つを一緒に置いておくと、傭兵の斧の方が明らかに早く劣化していく。それは、木こりの斧は『道具』であり、傭兵の斧は『武器』である、と明確に線引きした上で、精霊が干渉してくる事に他ならない。だからもし包丁を食材じゃなく、人を傷つけるために使うようになれば、すぐに精霊の干渉を受けることになるだろう。
国境門を護る門兵を仕事としているととさんの剣は、精霊的には『武器』となるので、精霊の干渉を受けてしまう。なので、週に一度のお手入れがとても大切なのだ。
「じゃあ、今日はお土産なさそうだね」
研ぎ終わった剣に、今度は植物油を浸けた布で油を塗り込んでるととさんに、私は鍋からお椀へとスープを注ぎ入れながら言った。
「あぁ、すまんな」
「うん、いいよ」
作業の手を止め、すまなそうに眉間に皺を寄せるととさんに、私は手を横に振った。だって、ホントにしょうがないんだもの。『土産』はととさんが望んで用意できるもんじゃないんだから。
「今日は人が少なくてなぁ。その上みんな荷物が最小限でな、これといってなんもなかったんだよな」
「そりゃ、旅するんだから、荷物も極力少なくするでしょ。でもまぁ、人が少なけりゃ問題事も起きにくくなるんだから、良いんじゃない?」
「何言ってんだ。なんかあれば、俺が即座に解決だ!」
ニヤリと笑いながら、ととさんは二の腕を見せるように右腕の袖を捲り上げ、ぐっと力こぶを作ってみせる。
「はいはい。解った解った。ご飯運ぶんだから、さっさと机の上片付けて」
むふふふ、と得意げに笑うととさんを袖にして、ミンディは机を布巾で拭き出した。ほらほら、と拭きながら手入れ道具を押しやると、ととさんは急いで机の上を片付け出す。
「さぁ、レミー、それもそうだけど、これもお椀に盛って出してちょうだい」
私がお盆に載せているスープのお椀を指差した後、ミンディはスープ鍋の隣の竈の鍋を指差した。ミンディが作った炒め物だ。
今日の夕食は久し振りにミンディも一緒。仕事場で新しい調理法を聴いたとかで、それを料理してくれたのだ。
ミンディの指示通りスープのお椀を置いた後、炒め物をお椀に盛って、それを机に置いていく。真ん中にはパンと水差し。みんなにカップを配って、ととさんの前に私、私の隣にミンディが座って、準備万端だ。
胸の前で、指が全て手の中に入れるように両手を組んで、眼を閉じた。耳にととさんの祈りが聴こえる。
「この世の全てを統べる精霊王の名の下に」
私達も一緒に言葉を紡ぐ。
「全ての精霊の恩恵を受けて、今この時を過ごせる事に、感謝と敬意の念を、祈りと共に捧げます」
ひと呼吸おいて、手を解いて眼を開ける。
「今日はナラ豆のスープか……これはなんだ?」
ととさんはミンディ作の炒め物に眼を向け訊ねる。
メインとなっているのはラビルの肉だけど、その肉は細長く切られ、同じように細長く切られた野菜と一緒に炒められてるから、何が入っているのかよく解らない。その上アイルで味付けしてあるもんだから、全体的茶色になっていて、全く未知の食べ物だ。
大体アイルはスープの味付用に使う物で、炒め物の味付けに使うなんて、初めての体験。アイル味がするのは解るけど、勿論それ以外での味付けもされているんだから、謎だらけ。
その謎の物体を前に、眉をしかめることも、声をひそめることもなく、努めて明るく訊ねたととさんは、流石ミンディの事が解ってる。だてに六年の付き合いじゃない。
「お店の料理人に教えてもらったのよ。その料理人も、ネルガからやって来た旅芸人に教えてもらったんだって」
「ネルガ?」
聴いた地名に思い当たる所がないのか、ととさんは眉をひそめる。
ネルガ……確かこの国よりずっとずっと東にある、小さな島国だったはず。この間のととさん土産の本にそう書いてあった。
「ふふふ、まぁまぁ、騙されたと思って食べてみて」
ミンディの働く食堂ツゼロンは高級店で、味に定評がある。だから、そこの料理人が教える料理にハズレがあるとは思わない。思わないけど、珍品に手を出すのは少しだけ、ほんの少しだけ勇気がいる。
悪戯げに笑うミンディの前で、ととさんと私は顔を見合わせて、覚悟を決めてその珍品をえいっと口に放り込んだ。
「美味しい!」
「旨い!!」
思わず叫んだ私達に、ミンディはにんまりと笑う。
「そうでしょそうでしょ。解る解る。ゲテモノ料理に見えるもんね」
あえて言わずにいたことを。
「私も初めて見た時ギョッとしたもの。こんな色の食べ物、人間の食べる物じゃないって」
えっと、そこまでは言わないけど。
「それなのに『食べろ』とか言うじゃない?私、新たなイジメかと思ったわよ。嫌がって断わったら、無理矢理食べさせられたし」
え?それってイジメじゃないの?
「それも二人がかりで、一人は私を羽交い締めにして、一人は口を無理矢理開けさせて、捻り込んできたからね」
え?え?それってホントにイジメじゃないの?
「頭にきたから、顔に吐き出してあげようかと思ったんだけど、思いの外美味しかったから、その場で調理法を教えてもらったのよ」
にっこりと笑うミンディに、私は固まってしまった。
無理矢理…羽交い締め…吐き出してあげる…教えてもらう…
わ、私、働けるかなぁ。
仕事ならどんなことも頑張れば出来そうな気がする。でも人付き合いは、ミンディと同じようにできるか自信がない。
う〜んと唸ってる私の横で、ととさんは炒め物のおかわりをしていた。
「コゾンさん、これ気に入ったようね」
「あぁ、旨い。全部独り占めしたいぐらいだ」
自分の作った料理が高評価を得たのに満足したのか、ミンディはうんうん頷いて、自分の食事を取るのに集中しだした。早めに食べないと、折角の料理が冷めてしまうものね。私も料理が冷めない内に食べきろうと、食事に集中した。
食事が終わって、私はミンディと後片付けを始めた。
竈の左横にある洗い場のタライにお椀を入れる。そこに水を入れるため、水の魔方陣が描かれた敷物の上に桶を置く。すると魔方陣がうっすらと光を放ち、桶の底から水が湧き出てきて、徐々に水が溜まっていく。八分目ぐらいまで溜まると、魔方陣の光が消え、水も止まる。それをタライへ注ぎ入れた。
食べ終わったお椀はあらかじめ布で汚れを拭き取ってるから、お椀洗いは簡単にすむ。以前はタライの中で汚れを洗い落としていたから、水をニ、三度変える手間がかかって面倒だった。
でもこのやり方を知って、お椀洗いが凄く楽になった。水の魔具の節約にもなるしね。
情報源はミンディ経由のツゼロンの料理人。教えてもらったと話してくれた時も、今日ほどじゃないけど過激な発言をしていたような。
私もミンディみたいになれるのかなぁ。
働くことに関して、絶対的自信があったけど、それが揺るぎそう。思わず『憶い出しため息』をついてしまった私に、ミンディは怪訝に眉をひそめた。
「どうしたの?」
「ん、なんでもない」
私が洗ったお椀を渡すと、ミンディは布を敷いた籠にお椀を伏せながら入れていく。そのまま放っておけば、次の食事の時には乾いている。うん、とっても合理的。
ツゼロンでは風の魔具の布を籠に敷いてるらしい。風を吹きつけて、早く乾かすためだ。流石高級店、お金が有り余ってる。精霊の力を長い間借りるだなんて、魔具がすぐに駄目になっちゃう。そんなもったいないこと、金持ちじゃなきゃできない。
最後に汚れを拭いた布を洗って、片付け終了。
一度周りを見回して、うんと頷くと、ミンディは玄関の机に置いてあった自分の荷物を手に持った。
「さぁ、片付けも終わったことだし、私は帰るね」
「そうか、今日はありがとな。料理、凄く旨かったよ、ありがとな」
途中になってた剣の手入れを再開していたととさんは、その手を止めて、ミンディにお礼を言った。それを受けて、ミンディは腰に手を当てて、呆れたように眉をひそめる。
「なぁに水臭いこと言ってるのよ。二年前は当たり前だったじゃない」
ミンディが働きだすまで、昼はミンディの家、夜はうちの家でご飯を食べるのが日課だった。昼はととさんが、夜はラミンが、お互いの親が働いていたから、その時家にいる親が二人の面倒をみてくれていた。ミンディが働きに出だして、私も大きくなったから、それはなくなったんだけど。
「ん、まぁ、そうだけど」
ととさんは決まり悪そうに頭を掻いた。
「まぁ、気をつけて帰れよ」
「すぐそこじゃない」
ますます呆れ顔になるミンディに、ととさんもますます決まり悪そうな顔になる。
ミンディにとって、私がいつまでも小さな子なのと一緒で、ととさんにとってもミンディは、いつまでも小さな子なんだろう。
「じゃあね」と手を振って家に帰るミンディを見送ったととさんは、気まずそうな顔を誤魔化すように明るい声で言った。
「レミー、今日はお風呂の日だろ、入ってこいよ」
「うん、解った、そうするね」
私は壁際の燭台をひとつ持って、お風呂場に向かった。お風呂場の中には仕切りの壁があって、右側にはトイレがあって、左側には湯船がある。
湯船そばの台に燭台を置いて、お風呂の準備をする。
湯船に木のヘラで削った石鹸粉を入れ、台の上のお湯の魔具の上に、洗い場よりも一回り大きな桶を置く。魔方陣がうっすらと光り、桶にお湯が溜まっていき、それを湯船の中に注ぎ入れ、空になった桶をまたお湯の魔具の上に置く。湯船にお湯が溜まるまでそれを繰り返す。
お湯が溜まって石鹸粉で泡立ってる湯船に、手早く服を脱いで体を沈める。湯船のお湯は熱めで冬は良いけど、夏の今は長く浸かっているとすぐにのぼせそう。
手桶で湯船のお湯を頭にかけて髪を洗い、乾燥させたヘーマを使って身体を洗う。普段はお湯に浸したタオルで体を拭くだけだから、お湯に浸かって洗うはホント気持ちいい。特に髪は普段は簡単に洗えないので、頭がスッキリする。
毎日入れたらそりゃ良いけど、毎日湯船にお湯を溜めてたら、すぐに魔具が消耗してしまう。お湯の魔具は水と火の魔方陣が二つも描かれた複雑な物で、その分高価な物。頻繁に買い替えれる魔具じゃない。
ある程度洗ったら湯船のお湯を抜き、全部抜けきったら、あらかじめ置いてあった桶のお湯を頭からかぶって湯船を出る。タオルで水気を拭いて、籠に入れてある下着を取って、服と一緒に手早く着た。湯船の中でついでに洗った下着を部屋の上に張った紐に干して、髪を包むように新しいタオルを巻いた。
洗面台の前に立ち、ミミンの葉をすり潰してペースト状にした物を、指に付けて歯を磨く。この葉は私が見つけた香草で、スッとして清涼感がある、ミンディにも好評価をもらった一品なのだ。
燭台を持ってお風呂場を出ると、リビングでととさんが仕事を持ち帰ったようで、机に書簡を広げてなにやら書いていた。
「ととさん、あがったよ」
集中してたみたいで、ととさんは私の声にはっと顔をあげた。
「あまり遅くまで頑張り過ぎないようにね」
朝弱いんだから、と続けた私に、ととさんは苦笑を浮かべた。
「解ってるよ。髪をよく拭いてから寝るんだぞ」
小さな子供にいうように言うんだから。私はもうすぐ十二歳になるんだからね。
「解ってるよ」
プンとほっぺを膨らました私の頭を、ととさんは手でポンポンと軽く叩いた。
「明日は『闇の日』なんだから、明日の朝はゆっくりして良いからな」
ん?それは明日仕事が休みのととさんが朝寝坊したいってこと?
私への気遣いなのか、ととさんの希望なのか、微妙な言葉に私の顔も微妙になっちゃう。喜べばいいのか、咎めればいいのか。
「まぁ、解ったよ。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
ととさんに手をひらひら振って、私は燭台を持って階上に上がり、部屋に入った。部屋に入ると、ベッド脇の机に燭台を置き、鏡の前の椅子に腰を降ろした。
頭に巻いたタオルを解き、丁寧に髪を拭いて、水分を取る。ある程度乾いたら軽く櫛でといで、寝着に着替えてベッドに入った。脇の机に置いてあった本を手に取り、枕を背もたれにして、本を膝の上に広げる。
私の持ってる本は全部ととさんの土産だ。国境の門兵をしているととさんは仕事柄安全を確認するため、門をくぐる人の荷物を確認する。荷物全てを見る事はできないけれど、大まかに検分するその時に、荷物の中に本を見つけると、その人に本の貰えないか頼んでくれるのだ。
ひと昔前、紙が作られる以前は本は貴重な物だったらしいけど、紙が当たり前に出回ってる今、同時に出回った印刷技術のこともあって、本はさほど貴重な物じゃなくなっている。だから、意外と簡単に譲り渡してくれる人が多い。そうやって貰った本を、ととさんは土産として私にくれるのだ。
本の知識は凄い。今迄知らなかった沢山の事を教えてくれる。
『この世は精霊の恩恵で成り立っている』
これは当たり前の事で、だからこそ世の中には精霊の力を借りるための魔方陣が描かれた魔具が溢れ、その恩恵にあやかっている。精霊の力がなければ、人々の生活はここまで発展もしてないし、便利にもなっていない。
人々と精霊の力は切っても切り離せない。生まれた時からそうだし、ずっと変わらない。
だからみんな当然だと思ってる。眼に見えなくとも、この世界に精霊は存在し、だからこそ得られるその力の恩恵に、感謝と敬意の念を捧げる。なんの疑問も持たず、そういうものだと。
だから不思議とも思わない。魔方陣の存在も。魔方陣が単純だろうが複雑だろうが、そのため魔具の値段が変わることも、なんの疑問もない。単純だから安いんだ、複雑だから高いんだ、ただそれだけ。
そんなの、もったいない!
魔方陣は、一つの精霊の力を必要とする時は単純だけど、二つの精霊の力が必要になると、途端複雑になる。単純にそれぞれの魔方陣を一つの物に描けばいいってもんじゃない。ちゃんとお互いの力が絡み合うようにした魔方陣を描かないと魔具は動かない。特に反する性質のものは、より複雑になる。火と水、風と土、とか。
お湯の魔具もそう。水と火の、反する性質の力を必要とする。だから魔方陣は複雑なんだ。
面白いのに…
複雑な理由が解れば面白い。魔方陣の仕組みや詳細な内容までになると、もっと専用の知識が必要だから解らないけれど、魔具はそんなものだと思うだけで終わらすなんて、もったいない。だって知らない事を知るのはこんなにも面白い事なんだから。
曜日だってそう。何故『陽の日』から始まって『闇の日』で終わるのか。何故その『闇の日』が安息日になっているのか。
何も知らなかったミンディや漠然としか知らなったととさんと違って、私はちゃんと知っている。
それも全部本から手に入れた知識だ。
曜日はただそう呼ぶ日じゃない。精霊そのものを表す日だから、その名前が付いた。
洗濯ダルは『水の日』に、お風呂は『火の日』に、決まった曜日にすることが多い。そうするのは、その名前の日に使うと、魔具の消耗を抑えられるだけじゃない、ちゃんとした理由がある。
その精霊の名がつく日は精霊の力が一番強くなる日。だから、魔具を使って精霊の力を借りた時、精霊の力に余裕があるから、消耗が抑えられるんだ。
知識は面白い。『知らない事』を『知っている事』に替えるのは楽しい。きっとみんなそうだと思う。だって実際、私が知った事をととさんやミンディに教えると「へぇ」と興味深そうに話に聴き入るんだもの。
ここら辺の人達は子供も大人も識字率が低い。特に子供は立て札やお店の看板、商品の品名など、必要最低限の言葉しか読めない。地方だし平民ばかりだから仕方ないことで、それに生活する上で困らないから、なおさら無理に憶えようとはしない。だから、本を読むことができないし、識字力を上げて読もうともしない。本から得られる無尽蔵な知識を手に入れようとしない。
私は以前から読む事も書く事も出来たから、当たり前になってたけど、それが違うと知った時、ホントにビックリした。なんでみんなは困らないの?!て。
だって私には、もし識字能力が無くなってしまったら、すごく困るから。例えるなら、精霊の恩恵が受けれなくなるぐらい、凄く!
……それは少し大袈裟だったかも…まぁ、言い過ぎたけど、それぐらい困るから。読めた物が読めなくなるのはホント困る。本を読めなくなるのが一番困る。
だって『知らない事』が増えてくばっかりになるから。『知らない事』を知らないままにするのは、なんだか怖い。だって、そうしたら『知らない事』はずっと『知らない事』で『知ってる事』にならないんだから。『知らない事』はこれ以上増えなくていい。
そうでなくとも、私は『知らない事』が多いのに…
暮れ三つの鐘が聴こえた途端欠伸が出た。私は本を閉じ、脇の机に置いた。燭台の蝋燭カバーの硝子筒を上げ外して、ふっと息を吐いて蝋燭の火を吹き消した。
瞬間、部屋の中は真っ暗になる。その中で私はベッドに身を沈め、静かな眠りについた。
ミンディは凄いです。
綺麗で魅力的なだけじゃないです。
自分で「大人だ大人だ」と言ってる内は子供です。ホントの大人になると「年の割には子供だ」と言うようになるんです。