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草食系男子ですが~高校卒業と同時にTSして女子高生にジョブチェンジしました!  作者: Ciga-R
第三部 部活動に参加しよう!

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『 レ研 』 Bラ部誕生!? 『 code 02 』

 

「やっと放課後になったす......ふわああ 長かったっすわ!」

 

 いおりんのボヤキも今だけは肯ける。


 昨日のお泊り会で普段の姿からは想像できないぐらいのアグレッシブさで切り盛りに励んだ都ちゃんも、ホストの任で相当に疲れがたまっているのだろう、最近ではとんと見なくなった目の下に隈を作ってしまっていた。


「今日は『レ研』も開店休業っすね。紫月先輩も何かとする事があるから真っ直ぐ帰るって言ってたし、自分らも大人しく帰るとしますかっ」


 俺も都ちゃんもその提案に一も二もなく相槌を打ち、帰り支度を始める。


「陽菜乃ちゃん! 次の日曜日15時にお店に四人揃って来てて、ママからの伝言。都ちゃんもヨロシクね!」


 教科書やノートをカバンに詰めていると彩帆ちゃんが声を掛けてきた。昨日『Diapason』から出る際に夏江さんから日曜日に先輩、都ちゃん、白露と俺の四人をヘアーモデルとして撮影させて欲しいと申し込まれていたことを思い出す。


「15時って、また中途半端な時間からするんだね」


「ふふっ その日はプロのスタジオに撮影を依頼したんだよ! それで昼には店を閉じて準備するの」


 うはっ なんか本格的な話になってきたぞ。プロの撮影って......もしかしたら他にも有名どころのモデルさんでも呼んでいるのかな。


 その事を確認すると四人も特上な娘がいるのに、それ以上に人が必要とは思えないよと満面の笑みで言われてしまった。


 ――こりゃ、気合を入れて事に挑まなきゃだわ。


「一ノ宮さん......じゃない! ひ、陽菜乃ちゃん、話が聞こえちゃったのだけど今度ヘアモデルの撮影またするの?」


 栞音(かのん)こと、のんちゃんが目をキラキラさせながら会話に参加してきた。


 俺は今度の日曜日に撮影すること、そして呼ばれているメンバーを告げる。


「うはっ 陽菜乃ちゃんと都ちゃんだけでも豪華な彩りなのに! あの桐原先輩と都ちゃんのお姉さん? えっ しかも双子!? がっ! ゴホっ ごふっ」


 あまりに興奮したのか途中からむせてしまった栞音ちゃんの背中をやんわりと擦ってあげる。


「あ、ありがとう......やっぱり陽菜乃ちゃんって優しいね。女の鏡だよ」

 

 いやいや、栞音ちゃんはなんか勘違いしてるようだけど、こうして女の子の背中に気兼ねなく触れることが出来るなんて、ちょっと前までは思っても考えてもいませんでしたよ。


「みっちゃん、興味があるなら日曜、見学に来る?」


 三成(みつなり) 栞音(かのん)、皆からみっちゃん、のんと呼ばれている彼女は、彩帆ちゃんの提案に喜び一杯に輝くばかりの笑みで応える。


「やった! すごく楽しみだな。 あっ 今日は気分がすこぶる快調! なんでも奢っちゃいたい気分だから寄って帰ろうよ! ねっ!」


 真っ直ぐ帰りたい心境だったけど、天真爛漫に明るく言われると無下にすることも出来ず、一緒に帰るいおりんと都ちゃんに確認する。


 二人とも今日は早く帰りたかったのかも知れないが、嫌な顔を少しも見せずに寄り道することを引き受けた。


 俺たちが了承すると栞音ちゃんはいつも一緒に帰っている友達に別行動することを告げにいく。


 俺たちも今から部活に向かう心々菜ちゃん、彩帆ちゃん、いーちゃんに「バイバイ また明日ね」とお別れを言い、四人連れ立って教室をあとにした。



 ※※※


 やっぱりここは甘いものが食べたいよね。と皆の意見が一致し、特に昨日の労いに都ちゃんのリクエストを尊重してカフェ『Adishin』に行くことにした。


 栞音ちゃんは奢ると言ってくれたけど、都ちゃんに昨日のお礼もしたかったこともあり、すったもんだあった末に最終的には二人で割り勘にすることにした......俺に対する彼女の株がまた上がってしまった気がしなくもない。


「オリジナルプリンアラモード特大盛り......はぁはぁ」


 いつも思うけど、都ちゃんって甘いものを前にすると本当に幸せ一杯の顔をするよな。そんな表情を目の前でされると、こちらも癒され、浮き立つ気持ちにどうしてもなるんだよね。


 栞音ちゃんも都ちゃんが食べてる姿をうっとりと見詰めている。前から思っていたけど彼女ってもしかすると男の子より女の子が好きなタイプなのだろうかと勘ぐってしまう。


 ぬぬっ これは由々しき事態ですよ。


 なんて考えていたら、前に座るいおりんから盛大な溜め息が聞こえてきた。ちなみに席順は俺の横に栞音ちゃんで前にいおりん、都ちゃんと四人掛けのテーブルに向かい合って座っている。


「のっち......前から思ってたけど、本気の天然なんっすね」


 失敬な! いつも思うのだけれども俺の心の中を悟ったように追及してくる。


 ――いったい何を根拠にそう思うわけなんですかね。


 喧々諤々と言い合う俺といおりんを栞音ちゃんは、何故か羨ましそうに眺めている。


「のん......ぶっちゃけで聞くっすけど、のんって男より女が好きなタイプっすよね」


 ぷはっ 栞音ちゃんは飲んでいたアイスラテを軽く噴き出しそうになり、慌てて飲み込み


「い、いおりん......な、なんか直球もいいとこだね。まあそりゃ、粗雑で乱暴な男連中に比べてたら、ふわふわした優しく癒してくれる天使、いやさ女の子の方が好きなのは同性として当たり前じゃない? あたしの考え方ってやっぱり変わってるのかな」


 いや、それは的を得ているとはいえ間違った考え方だと思う。そりゃ荒っぽさやルーズなところはあるけど、自分が持っていない逞しさや意思の強さといった男らしいところに惹かれるからこそ、女は男に興味を示し惚れるのだろう。


「陽菜乃ちゃんも......一緒だよね。心々菜ちゃん見てる時の陽菜乃ちゃん、それは満ち足りた安らかな顔してるもん」


 じぃーと見られながら断言されて返す言葉に詰まる。


 心々菜ちゃんと言葉を交わしているだけで、心が洗われ安らかな気持ちになる事は確かだ。でもそれは、俺が男としての記憶を持っている特殊な境遇だからじゃないのかな。


「ふふっ やっぱり同性と一緒にいる方が安心出来ていいよね。いおりんや多分だけど有馬(いーちゃん)さんもそうでしょう? じゃなきゃ、わざわざ女の子しかいない女子高を選ばないよね」


 話を振られたいおりんも少し考え込む。そう言われてみれば、いおりんってどうして宮女に進学することを選んだのだろうか。


「うーん どうっすかね。自分はそこまで女だから男だからといったこだわりはないっすよ。人が持って生まれた、またこれから花開く才能、性別よりキャラクター性に惚れるってのはあるっすけど」


「そっか......人それぞれか。言われてみれば陽菜乃ちゃんにも素敵な彼氏さんいるんだったね......本当にリア充爆ぜろだよ」


 栞音ちゃんは親指を下に向け、自嘲気味にあははっと笑い飛ばす。


 リア充ねえ、全くそんな事実はないのだけれど皆は孝のことを彼氏と勘違いしている。


 彼氏さんか......孝は来るなって言ってたけど一度くらいはお見舞いに行くべきだよな......気持ち的にはすぐにでも行って会いたい......その姿を見て、そして声を聞きたい。


 少しうわの外になっていたのか、栞音ちゃんの今までにない切羽詰まった声で我に返る。


「そうそう、話し変わるんだけど......知ってる? なんだか最近、クラスの一部どころか上級生の中でもBLがすごい勢いで流行りつつあるらしいよ。失礼しちゃうよね。うちらの敵だよ! あいつらは!」


 敵って、しかもうちらって......何が失礼なのやら、そしていつの間にかGL同盟とかも出来ちゃっているのですか。まさかとは思うけど主催者はあいつか、あいつなのかっ!?


 俺の心配をよそに栞音ちゃんの話は続く。


「部活動の紹介で『乙女ロード開拓ラブ』っていう自主サークルがあったの覚えている? あそこが最近、新入生や今まで公にしていなかった先輩を巻き込んで、すごい勢力になって来ているんだって」


 俺はドヤ顔でそれは熱く腐語りする唯我独尊を絵に描いたような会長を思い出していた。


「それに遂には数学Ⅰの小寺教諭が顧問を引き受ける、引き受けないって話も出てるらしいよ。なんか気真面目な堅苦しい先生だと思っていたけど、まさか正体は腐女子だったなんて......騙された気分だよ」


 いや、人の性癖をなじる権利は、とくに栞音ちゃんには無いと思うんだけどね。そもそも騙すなんて先生が聞いたら気を悪くするよ。


「ゆきほちゃんが腐女子、年齢的に腐レディーっすか? 真面目な面倒みのよい先生だから、ちょっと意外な感じっすね」


 こいつは、また先生のことをちゃん付けで呼んでいるよ。にしても小寺先生の名前、ゆきほっていうんだ、可愛らしい名前だよな。


 ――そういえばさっきから都ちゃん一言も喋ってないけど、まさかBL趣味とかないよね?


「プリン......うまうま」


 目の前のプリンアラモードを食べるのに夢中で、話しを聞いてる気配がない。俺は二口ほどしか食べていないザッハトルテを差し出す。


「ありがとう......大好き」


 ホワワワワーン 

 

 まあ都ちゃんに限ってはBL趣味とかないよね、ヒロキとも良さげな展開だしな。俺はふわふわした気持ちで顔をニヤつけながらそんなことを考えていた。


「そのことで今、なんか理事長と揉めてるらしいのだけど......陽菜乃ちゃん、なんかお母さんから聞いてる?」


 都ちゃんの一言で胸もお腹もいっぱいになっていた俺は、栞音ちゃんの予期せぬ問い掛けに、ニヤついた顔を凍らせて二の句が告げずにいた。




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