Lvが足りていません
ジャジャジャジャーン♪
効果音が聞こえてきそうな勢いで菜々子が出してきたものを目にするなり、俺は瞬間的に茹で上がった蛸のように顔を赤くした。
「そ、そ、それはっつぅ!」
ちょっと噛んでしまった、だって布地面積が極少の黒透けレースひらひらセクシーアイテム(上下セット超上級者用)をドヤ顔で出してくるんですもの。
「な、な、なんちゅうものを出してくれとですとねん!?」
言葉になりません。
そんな動揺Maxの俺に、菜々子は邪の笑みを浮かべ、あたかも瞬間移動したかのようなスピードで俺の背後に回る。
瞬きする間もない勢いで右手、左手の順に紐みたいな物を通すと、後ろで何かをパチンと止めた。
そしてその勢いのまま、軽く俺の膝に自分の膝をぶつけると俺の両足をすくいあげ、凄い勢いで両足に何かを通し腰を持ち上げそれをキュッと上げる。
乱れてしまった髪をササッと整え、俺をストンと床に降ろした。
その間約二秒。
この人無駄に超絶スキルを駆使しちゃてますよ。
「はひゃ!?」
変な声が洩れる。
――そりゃ鏡の前でこんな格好しちゃったらね。
鏡の中には、ちょっと前まで菜々子の手のなかにあった上下セット超上級者用を身に付けた少女が呆然と佇む。
『俺......Lv1なのにこんな高Lvの着用したら呪われ確定ですやん』
思考が停止し何故か胡散臭い関西風言葉になってしまう。
そこには身体全体を桜色に染め、少しサイズがあっていない紐状のものを、肩甲骨から廃退的に垂れ下げてしまい、またそこが妙に蠱惑的な魅力を前面に醸し出した下着姿の少女がアンニュイな表情で俺を見ていた。
しかし幼い感じが残る女の子には、その背徳性も相まってどこか痛々しさを感じる姿にみえる。
『うぅっお婿に往けない......』
その少女が今の俺だと気が付いた途端、なんだか本気で悲しくなってきて、気が付けば両目から涙がポロポロ零れ自然と泣きじゃくっていた。
そんな俺を得意満面の顔でドヤッと見ていた菜々子も、俺がしくしく泣き出したことで慌てる。
「ご、ゴメン! ちょっと度が過ぎちゃった......よね」
「本当にごめんなさい、悪気はないのちょっとふざけ過ぎたね」
菜々子はオロオロしながら謝る。
こんな自信なさそうな菜々子を見るなんて......。
「勝負下着なのに勝負に負けちゃったね..負が三つで『ふふふっ』なんてテヘー☆」
おい! 菜々子!! 普段の俺とかにそんな下らないこと言うぐらいなら切腹するだろ絶対!
キャラクター変わり過ぎちゃいますか......。
俺はまじまじと菜々子を見上げ、次の瞬間には『プッ』と吹き出し
「ふふふっ」
思わず声を上げ笑ってしまった。
そんな俺を見て、菜々子もすごく楽しそうに笑う。
「今度こそ、あなたに似合うの出すからね」
再びタンスの中から新たなアイテムを嬉しそうに取り出す菜々子。
「!!!」
またもや俺の目は極限まで見開かれることとなった。
ノリと勢いだけで書いてます(汗)