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草食系男子ですが~高校卒業と同時にTSして女子高生にジョブチェンジしました!  作者: Ciga-R
第二部 学校に行ってみよう!

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執事喫茶での一刻

 

 梨花オーナーは、俺と都ちゃんを代わるがわる見渡し、ふむむっと唸ると胸がじーんと熱くなったのか、思わず涙が出てきそうな表情を浮かべる。


「MiyakoにSyuriなんだ! まさかリアルで逢えるなんて!」


 目をうるうる潤まして都ちゃんに抱きついた。


 あっ...と小さく声を上げる都ちゃんに構わずに更に力強く抱きしめる。


「Miyaいつも、ありがとうね......」


 考えてみたら、ゲームを始めて既に二年以上、とくに廃プレーヤーのオーナーと都ちゃんは、ずっと一緒にいる時間も長く、この出逢いは、ひとしお嬉しいのだろう。


 俺も陽一だった時分からならギルド入って一年以上経つが、今のキャラを使い別人として参加してからだと、まだ一ヶ月も経っていない。


 ギルド創設から苦楽を共に行動し確かな絆で繋がれている二人を見て、俺は胸に込み上げてくるものがあった。


「マスター......」


 都ちゃんの目からも涙が頬を零れていく。


 ほろりとして皆がおし黙る。


「マスター......?」


 じんわり都ちゃんの頬が紅潮してモジモジしだす。


 よく見ると梨花オーナーは、むぎゅっと抱き締めたまま都ちゃんのお尻あたりを、さわさわと手を忙しなく動かしていた。


「ぶちかわええのぉ」


 目の色を変えて、何処かの方言で捲し立てる。


「ブチごっつ愛しておるけんのー!......うごおおっ?!」


 パァーカンと音がして紫月先輩が丸めた情報誌でオーナーの頭を打ち据える。


「礼節を重んじ、来て頂いたお客様が喜んで過ごせるサービスを......この店のモットーを経営者が守らない......世も末かもね」


 ぐぬぬっと唸り都ちゃんの背後に移動すると


「紫月には、この愛しさ切なさ身も焦がす想いが判らんのか!」


 背中越しに制服の双丘に手をかけ、ウラウラ叫びながら触りまくる。


「ちょっ......マ、マスター」


「どないやー! ウラウラウラ......あひゃあああ!? 」


「だから止めれと......残心」


 次の瞬間、梨花オーナーが後方に凄い勢いでぶっ飛んでいった。


 額には、朱色の丸い綺麗な円が描かれている。


 渚といーちゃんが息を呑む。


「ふわあー! それは見事な突きですぅ 残像しか見えなかった! 紫月先輩ってもしかしてかなりの剣道の有段者だったりします?」


「やりますね...紫月先輩 腰の入った目にも止まらぬ神妙な突き、がしかし、あのオーナーもヒットした瞬間に後ろに頭を反らし、打点をズラしたなんて......二人とも只者じゃないわね」


 今の一瞬の出来事を冷静に分析する渚......貴女も常人の域を軽く超えてるけどね。


 煙が噴くかのような突きを額に食らいながらもヨロヨロと立ち上がり、桐原流雲霞なんか使うんじゃねぇよとボヤく。


「あー ちぃと私も羽目外したねー ごめんね♪」


 顔を上気させながら、はぁはぁ息をつく都ちゃんに向き直り素直に謝る。


「お客様用メイド服でも、なんなら執事服どちらでも好きな方、着てくれていいから......機嫌なおしてね♪」


「おおおー! 憧れの執事服! なによりも着てみたい!」


 盛り上がる渚アンド苺伽ペア。


「それじゃ、陽菜乃と都はメイド服でわたし達は、執事服でいこか!」


 何がそれじゃで何でそう決まったか判らぬまま、先輩に着替えがある部屋まで連れていかれた。


「フフッ 好みなの選んでくれていいからね......では、後ほど」


 案内された部屋には、色とりどりの女性用の洋服やドレスがハンガーに掛けられ、ずらりと並んでいた。


 その中の一角に多種多様なメイド服を並べたコーナーがある。


 メイド服なんて、大して種類があると思ってなかった俺は、これがメイド服? イメージしていた控え目な白黒ツートンの装いとは、あまりにかけ離れたアニメやゲームの中に出てくるようなコスプレ風の衣装に言葉を失う。


 水着? と思われる肌も露なもの、セーラー服をアレンジしたかのような奇抜なもの等々。


「どうなのこれ......都ちゃん着たいのある?」


「とくに......無い」


 だよね。 敢えて着たいと思うような食指がわくものがまるでない。


 フッと目を向けた先には、頭用のアクセサリーもたくさんの種類があり、その中の一つネコ耳のカチューシャを何の気なしに手に取ってみる。

 

 見ているうちに、すんごく都ちゃんに被せてみたい誘惑が芽生えた。


 ぼぉーと服を眺めている都ちゃんの正面に立ち、背後に隠していたネコ耳をカポっと取り付ける。


「はにゃ?」


『か、可愛えええええぇー!!』


 その仕草、表情どれをとっても萌え萌え要素しか見当たらない!


 みんなが虜になるのも納得な愛くるしさ。


「もう......陽菜乃ちゃん!」


 あああ ちょっと拗ねたその物言い......。


 ずっきゅーん 入りました!


 惜しむらくは、例えようもないほどキュートなのに、一点髪形だけが無造作に手入れされていないとこ。


 もっと髪形にも気を遣えば、その類い稀なるスタイルとシナジーを起こして、とんでもないことになるのに......。


 あっ! そうだ!


「ねぇー 明日の日曜、彩帆ちゃんの所に行って髪ととのえて貰う約束してるんだけど、よければ都ちゃんも一緒に行かない?」


 彩帆ちゃん、正しくは夏江さんに新しいヘアースタイル試したいから是非ともモデルしてと頼まれていたんだ

 

「彩帆ちゃんの所......美容院?」


 うん、うん頷く俺に照れ臭そうに


「美容院......行ったことない」


「何事も始めの一歩が肝心だよ! 都ちゃんには絶対、お洒落な髪形似合うって! そうだちょっと、こっち来て」


 俺は都ちゃんの手を引っ張りドレッサーの前に連れて行き、イスに座らせて備え付けのブラシを手に取り、後ろに立つと髪を優しく梳く。


 菜々子やしぃちゃんに櫛を入れてもらうことが結構あるけど、人にしてもらうって思った以上に気持ちが良い、ブラシが髪に絡まないよう丁寧に動かす。


 考えてみたら男の時だったら、とても恥ずかしくって女の子、特に都ちゃんみたいな可愛いらしい子の髪の毛にブラシ掛けするなんて、考えられなかったはず。


 鏡に映る、気持ち良さげな表情で髪を梳かされている都ちゃんと一心にブラシを動かしている楽しそうな女の子。


 俺はしみじみと今ここに女の子として存在している自分を感じた。


「都ちゃんは、どういった髪形が好き?」


 うーん と奥ゆかしい仕草で悩む。


「髪形......よく分からない」


「彩帆ちゃんのマ......お母さん、あの人ヘアーサロンのチーフスタイリストしてるから、きっと素敵な髪形にしてくれると思うな」


 鏡越しに都ちゃんの頬が赤らむのが見えた。


「うん......陽菜乃ちゃん」


「どうしたの都ちゃん?」


 じぃと俺を見つめて都ちゃんは、恥ずかしそうに囁いた。


「ありがとう......」

 

 ありがとう言われるようなこと俺なにもしてませんし、どちらかといえば都ちゃんみたいな素敵な女の子と知り合えて、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいです。



 気恥ずかしいような穏やかな雰囲気を打ち破るように、ドアが大きな音をたてて開かれる。


「やっぱり! 二人とも着替えてないじゃない」


「これは、あれですか! 私たちの趣味と独断で選べというサイン?」


「アハハー! 照れ屋の二人らしい......ナイスな選択」


 自分たちに都合のよい解釈する執事姿の三人。


 身の危険を感じながらもついつい紫月先輩の装いに見入ってしまう。


 抜群のしなやかなスタイルの先輩は言わずもがな渚といーちゃんも執事服をスタイリッシュに着こなし、陰影が浮かぶ濃いめのメイクも決めている。


「さーて、お嬢様のお気に召す衣装を見繕い致しましょうぞ」


 いーちゃんがドヤッと都ちゃんに差し出したメイド服は、うーんなんだろうレースクイーン風?

 

 目を爛々と輝かせるいーちゃんは


「陽菜乃は、ちゃっちゃっと適当に選んどき」


 なんだろう......このぞんざい感は、まるで食玩に入っているガムやチョコ並の扱い。


 ――本当はこっちがメインなんですけどね。


 やるせない想いがよぎる。


 フッと背後に気配を感じ、肩にふわりと優しく手が置かれる。


「フフッ......黄昏ているね、お嬢さん......寂しがることはないよ、君のエスコートはボクがきっちりみるとしよう」


 すっかり都ちゃんの衣装を選ぶのに夢中の二人をチラリと一べつし、俺の耳元で囁く。


『不思議なことに君は男としての記憶を持っているんだね......だとしたらメイド服を着ること、それはとても背徳的なことなのかな......それとも今を受け入れて、可愛く美しい自分に......満足を感じているのかな』


 肩に置かれている指に力がこもる。


「あっ......渚ちゃん」


 都ちゃんの制服を剥ぎ取るように脱がしに掛かる渚と、それを獲物に襲いかかる肉食獣のように目をぎらつかせ見詰めるいーちゃん。


『先輩は、どうして...そんなに、お......私のことを確信があるかのように言い切るんですか』


『フフッ まずその内心では俺って呼称しているのを止めるべきだろうね』


 耳にキスするほどに唇を寄せ囁く。


『ボクのスタンドポイント......この能力は、ちょっとした人の仕草、目、指、足の向き、行動などのすべての事柄を統合し、情報に換えることで心の内を見透かす......君はボクにとっては、手に入れたい自由そのものなんだ』


『けっして君を傷付けたり、嫌な思いをさせることが目的ではないんだ......どうしたらそんな事象が起こりえるのか、純粋な想い......本当にそれだけなんだ』


 真摯な気持ちを込めて言葉を紡ぐ。


『いつか、君の心が落ち着いた時でいい......話を聞かせてくれるかな』


 俺の肩から軽やかに手を離す。


「さあ、そろそろ君も着替えるとしようか......どの衣装がお気に召すかな」

 

 紫月先輩は、いつもの藤の香水を付けていなく、執事服を着ていることも相まり、とても女性には見えないイケメン全開で、ハハハッと豪快な笑い声を朗らかに上げた。



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