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草食系男子ですが~高校卒業と同時にTSして女子高生にジョブチェンジしました!  作者: Ciga-R
第二部 学校に行ってみよう!

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演劇部公開審査「備え!」

 

 翌日の昼休み、いつもの六人で席を囲み、お昼ごはんを食べながら放課後に行われる演劇部公開オーディションを話題に、俺たちは大いに盛り上がっていた。


「なっちが絶対に演劇部に入れるよう自分らもバックアップする必要があるっす!」


 うんうん頷く俺だったが、昨日最後に紫月先輩に囁かれた言葉が棘に刺されたかのようチクチクと気になる。


 俺が先だってまで陽一と同化しており、記憶が陽一そのものなんて長年連れあってきた孝じゃあるまいし、まず理解出来ないはず。あの人が言っていたスタンドポイント......まさか何か特殊な力を有しているのだろうか。


 ただし先輩の純粋ともいえる好奇心、そこには微塵も悪意は感じられなかった。


 そのため夜気になってトイレに行けなくなる事態は、辛うじて避けられた......とはいえ不安な気持ちを抑えきれなかった俺は、ママ一緒に寝てとか言ってしぃちゃんに甘えてしまったのですけども。


「おーい! のっち現世に戻って来るっすよ!」


 いおりんの呼び掛けに、どうせ先輩とは明日会うのだから、今は心々菜ちゃんの事にまず集中しなければと思う。


「陽菜乃ちゃんはこのシフト『The ココナッツ大作戦』どう思う?」


 心々菜ちゃんが頬を微かにひきつらせて俺に尋ねる。


 シフト『The ココナッツ大作戦』......。


 とても現役JKの発想とは思えないネーミングセンスだけど、何故ここでココナッツ?


 まさかとは思うが心々菜の語呂合わせ?


 ――ドヤ顔しているのは、やはりというかいーちゃん貴女か!


「えっと、内容はどういったものなのでしょうか」


「今は無いっす、作戦名だけ決めたっす」


 なにそれ、そりゃ心々菜ちゃんもあんまり良い顔しないわけだ。


「取り敢えず、みんなご飯食べ終わったみたいなので、黒板の前に集合するっすよ」

 

 まだ食べてる生徒や食べ終わって寛いでいたり、お喋りしているクラスメートが注目するなか、いおりんは黒板の前に立つとおもむろにチョークを摘み、端からこれまた大きな文字で作戦名を書き、その下に


① 写真撮影 Good

② 入部の意気込み(作文) 問題なし

③ 台詞覚え度 ◎


 そして最後に④とここ一番の気合いを入れて書き連ねる。


 それを目にした瞬間、目が限界一杯、下手すると飛び出すほど開くのを止める事が出来なくなる。


「にゃにゃんですとおおおええっー!?」


④ 水着審査(付き添い一名まで可)


 くはっ! なにこの美味しさ、な、夏を待たずにして心々菜さまのお水着姿を拝見できる? いやいや出来ちゃうというの!?


 たかだか部活に入るのに水着の審査を取り入れるなんてっ!


 きっと菜々子だ。あいつ......いな、あの高貴なお嬢様が少なくとも構想五年を掛けて編み出した、最強最大の企画!


 俺は心の中で菜々子の偉業にGJを十回贈った。


「付き添い一名まで可能なんすけど、誰が行くっすか? ちなみに少しだけ台詞読む必要あるっす」


「はい! はい! はいいっ! ここは片翼たる一ノ宮 陽菜乃以外に誰が、もしかして貴女? いな、いな、いな、俺様しか居ないよね? ここは何があっても譲れないし、一歩も引けないよ」


 心々菜ちゃんの不安な気持ちを和らげる事が出来るのは、片翼の俺だけだ......うん、本気で純粋な気持ちだけなんだ。


 ――けっして間近でマジマジ見たいなんて下心なんてないんだからね。

 

 俺は全員に喧嘩を挑むよう睨みを利かせる。


 意外や安堵した表情をみせる彩帆ちゃん。


「ほら思ったとおり陽菜乃ちゃんなら絶対やるって......心々菜ちゃんよかったね!」


 こちらも心底ホっとした表情を浮かべる俺の片翼心々菜ちゃん。


「よかった! 一人だけで着なきゃって思うと、すっごく不安だったの......体形的に彩帆ちゃんか陽菜乃ちゃんどちらかしか、私のサイズと同じ水着を身に付けれないものね。あっ、もちろん水着は新品を買っているから安心してね!」


 うん。それは安心だ......へ?


「いやはや流石片翼、そして俺様言うだけのことはあるっす! もしかしたら全生徒注目のこの世紀のイベントで、自ら水着になろうとは、もしかして着痩せするタイプっすか!? ......ないっすね」


 うん。着痩せとかしないのです。でもね問題はそこじゃないの。


「あああっー お、お腹が急に痛たたたっ」


 俺はスキル『詐病』を発動するとそのまま床にしゃがみ込む。


 このスキルの難点は一目で仮病とばれるのだが、庇護欲を最大限に発揮するため、意外に本気で心配してもらえる時も極たまにある。


「なっちは、どんなタイプの水着を買ってきたでやんすか」


「えっ......へへっ、実はホルターワイヤーのビキ二を買ったの。ほ、ほらこれなら私ぐらいでも、そこそこの大きさに見えるでしょ? 大きめのリボンと制服に似た色合いのチェック柄で宮女らしさを演出、このお揃いのスカートもヒップが小さい私でも後ろ姿が見目よいかなって、キュートと上品さをコラボしました!」


 心々菜ちゃんが照れ笑いを浮かべている姿が容易に想像できる。


「マイクロビキニでもいいんよ」


 ぼそりと呟くいーちゃん。


「ほほぉー。これまたマニアックっす! 薄く淡い肢体に極めて少ない布切れを恥ずかしげに晒す少女、ふむー絵になるっす!」


「どれどれおっさんが直に調べてやるさ」


 俺の頭上でこいつら本当にJK? とても思えぬ会話が続く。


「えっ? 苺伽ちゃん......ちょ、ちょっと! どこ触ってるの!? キャッアー た、助けて! ......あっん」


 いい加減、完全スルーされているのも疲れた。


 しかも片翼の切羽詰まった、しかし甘い叫び!


 俺が一目散に顔を上げると、そこには心々菜ちゃんの後ろに立ち、制服のリボン下をさわさわとまさぐるいーちゃんの姿が目に飛び込んできた。


 あっこれじゃないと思ったのか首かしげている。


 なんかチッ!て聞こえてきたけど、きっと気のせいだよね......それにしてもいーちゃんから劣化な菜々子臭がすんごくするのだけど。


 顔を上気させ、はぁーううと吐息を漏らす心々菜ちゃんの潤んだ瞳と床に座り込み見上げる俺の視線が絡み合う。


「ねぇ......陽菜乃ちゃんなら私と一緒に水着をきてくれるよね?」


 耽美な甘えるような囁きをこぼし、俺にふわりと手を差しのべてきた。


 その妖美な笑みに堪らず瞳が吸い寄せられる。


 心々菜ちゃんは俺の手を取るとカバンを持ち、手を繋いだまま教室から出て行く。更衣室で着替えよか、呟くような声が呆然としていながらも聞こえてきた。


 全員がぞろぞろ着いてくる。


 更衣室の前に着くと心々菜ちゃんは皆に振り向き


「みんなは、私たちが着替え終るまで部屋の外で待っていてね」

 

 その言葉に含まれたプレッシャーに全員が珍しく素直に頷いた。


「陽菜乃ちゃん......さあ着替えよね」


 心々菜ちゃんは俺と一緒に部屋に入り、後ろ手で扉の鍵をカチャリと閉めた。



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