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アナザーワールド  作者: 直線T
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 こことは違う世界が発見された。そこはこっちの世界と同じなのか全く別モノなのかもはっきり分かっていない。新しい星に飛ぶことが出来るゲートが見つかった。その情報が一般に出回ってからかれこれ五年の月日が経った。それまでずっと調査員である父さんから聞かされていた話は胸踊らされるものばかりであった。

 「ただいま抽選で当選された方々をアナザーアースに御招待!」

 テレビを父さんと二人で見ているとこんなCMが流れていた。ニュースもその事で持ちきりだ。今まで一般にほとんど情報の無かった第二の世界がまるでアトラクションか何かのように取り上げられている。

 「これじゃワクワク感が伝わらないよ。それにアナザーアースだと危険さがまったく感じられない!」

 「誡歩は危険な方が好きなのか?」

 「男だからね!そういえば父さん僕誕生日近いでしょ?」

 父はビクっとした。

 「違うよもう少し貯めておきたいって話、この一般公開から少ししたらあっちの世界のグッズとかが出るからそれが欲しい!あっちの生き物のぬいぐるみとか!」

 「そういうの好きだもんな。もし当たったらどの生き物のぬいぐるみが欲しいか見当しような」

 「うん!」

 「よし、じゃあもう遅いし寝よう。母さんにお休み行ってきな」

 誡歩は母の写真に駆け寄るとペタリと座った。

 「お休みなさい」

 誡歩が寝室に向かうと父はテレビの電源を落とし部屋の電気を消した。

 寝室に向かうと誡歩がまだ目を開けていた。そのまま隣に寝た。

 「父さんはあっちの生き物は好き?」

 「父さんはちっこいのしかあったことないからまぁ今のとこ好きだな」

 「僕はおっきいのに会いたい」

 「父さんも化石にだったら会いたいな」

 「ロマンがないなぁ」

 第二世界の一般見学前日、父と荷物の準備をしていた。

 「当たった時にあたふた用意してもしかたないからな。外れても父さんがキャンプに連れてってあげるから準備だけは怠るなー」

 「はいはい」

 父は準備した荷物を車に入れ始めた。

 「さっ、乗るんだ」

 「えっ、でも・・・」

 早朝に運転を初めてもう暗くなってきた。途中サービスエリアに寄って食事もした。

 「父さんまだ・・?」

 重い瞼をこすりながら聞いた。

 「そら見えてきた」

 山の中腹に光が見える。それからすぐに車は止まった。

 「車で寝ちゃだめだぞーほれっ」

 父に手を引かれ降りるとそこはゲートの調査施設だった。人が忙しなく動いている。その内の一人がこちらに気づいて寄ってきた。

 「富士隊長、明日の準備は大方完了しました」

 「そうか、このまま順調にやってこう」

 「はい!息子さんですか?」

 「ああ、かわいがってやってくれ」

 男は目線を合わせると握手をした。

 「ゆっくり見ていくといいよ。では」

 一通り探検してみたがワクワクよりも眠気が勝りその日は熟睡した。

 朝、目を覚ますと昨日とは違う光で満たされていた。迎える光だ。父と食堂に向かった。

 「あら隊長さんかわいい息子さんね」

 「これでも結構食べるんで一人前用意してやってください。ここのおばちゃんの飯は美味いからな」

 頭を撫でた。

 「まぁうまいこと言うねぇ。隊長さんの大盛りにしてあげちゃう」

 「いやぁありがたい」

 たしかにおいしい朝食だった。料理下手な父の朝食とは別格だ。

 ゲートに集まると自分以外に何人かの子供がいた。当選した親子達だ。

 「本日はお集まりいただき誠に有難うございます。スケジュールといたしましてはこのゲートをくぐりあちらの世界に建造した施設にて二日間、コースを周っていただきます。列になって入って行ってください」

 「父さん・・」

 父の方を見ると優しく頭を撫でた。

 「富士隊長、あなたで最後ですよ」

 誡歩があたふたしているとポケットから紙を取り出した。

 「・・当選・・・ほんとに!」

 「ああ、そうとも!さぁゲートをくぐって」

 誡歩は走ってゲートをくぐって行った。

 「いやー隊長いい父親ですねー」

 「そっか?ハハ、だろ」

 ゲートをくぐると見渡す限りの大自然と巨大な施設が建てられていた。空には見たことない鳥が飛んでいる。ついに来たのだ。

                     -アナザーワールド-

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