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序章

初めて書いた小説なので見苦しい点等、多々あると思いますが、お楽しみ頂けたら幸いです。

前方に、白い渦が見えた。

「何だ、あれは?」

第三八任務部隊第二任務群司令官ジェラルド・F・ボーガン少将は眉間に皺を寄せながら訝しげな声を上げた。周りに陣取って居る参謀達も顔を見合わせている。ボーガンは直ぐに双眼鏡を取り出し、渦をレンズ越しに観察し始めた。

見たところ、渦はほぼ真円を形成しているようだ。直径は駆逐艦の全長に匹敵しそうだ。

(潜水艦か?いや、それにしては不自然だな...。第一、こんな大艦隊の目の前で浮上するような馬鹿な潜水艦長がいるものか?)

ボーガンがそう思った直後、渦は巨大な飛沫に変わった。

「なっ、何だ!」

参謀の一人が叫ぶのと同時に、飛沫の中から巨大な“何か”が姿を現した。

その“何か”をボーガンは彼自身の目でしっかりと見た。一見すると、“それ”は蛇のようだ。だが、よく見ると“それ”には四本の脚がある。背と尾にはくすんだ黄金色をしたヒレが着いており、“それ”が水棲動物である事を示している。体は鈍く光る青色をしているようだ。頭には角が見受けられ、巨大な口からは鋭い牙が覗いている。

ボーガンは直感的に“それ”が極めて禍々しい存在であると悟った。

「レヴァイアサン...」

参謀の一人が呟くのをボーガンははっきりと聞いた。

(どうする?)

艦隊の全艦が大混乱に陥っている中にあって、ボーガンは比較的冷静だった。目ではしっかりと、空中で海水を滴らせながら体をくねらせる“何か”を捉えながら、

頭の中では盛んに考えを巡らせている。

ボーガンにとっての最大の懸案事項は、第二任務群の擁する戦艦「ニュー・ジャージー」が第三八任務部隊の旗艦であるという事だった。つまり、「ニュー・ジャージー」には第三艦隊司令長官ウィリアム・フレデリック・ハルゼー・ジュニア大将が座乗しているのだ。彼がもし“何か”との戦闘によって戦死するような事になれば、レイテ島の攻略作戦「キングⅡ作戦」は重大な危機に陥るのは確実だ。何としても、引いてはボーガン自身が戦死するような事になったとしても、ハルゼーを守る必要がある。ボーガンはそう考えていた。

1944年10月24日午前7時2分。史上初めて近代海軍と“龍”が遭遇した瞬間だった。

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