プロローグ
初めて小説を書きました。
全然、ダメダメでありありな話だと思いますが楽しく読んでいただけると幸いです。
ダメな所とか書いていただけると嬉しいです。
魔王、勇者。
それはある世界、異世界で対極で同等となる人物。
魔王は魔物も引き連れ人間を喰らいつくし《世界征服》という旗を掲げて世界に名を知らせる【悪党】である。
勇者はそれと対極にその魔王の進行を食い止め《世界平和》という名目で魔物を喰らい尽くしていく【正義】である。
そいつらは世界に名を轟かし、一生語り継がれていくことになる産物。
魔王は【悪党】として勇者の仲間達に恐怖という印象を与える。
勇者は【正義】として勇者の仲間達から尊敬されるという印象を与える。
だが、それは一時の事だった。
魔王の名は一生語り継がれたが、恐怖という印象は数年そこらで途絶え、勇者も名だけは語り継がれて、尊敬の眼差しは一向に途絶えた。
なら、なぜ魔王と勇者は悪党と正義を背負う?
名だけは語り継がれてほかは何も残らないと言うのに、その前に魔王と勇者はそれを知っているのか?
だが、そんな事は今関係無い。
そんなの理不尽の何物でもないではないか、だから用意された魔王と勇者の国――
――【異世国】。
それは新しい魔王と勇者の戦う舞台。
だが、今までの勇者と魔王の戦いは見飽きたのではないだろうか?
では新しい世界を提供しよう、その世界は戦い、殺し合いが禁止され全てが知力だけで決まる世界を――
プロローグ
咆哮、轟音、爆風の音が壁のある部屋まで大きく聞こえてくる。
それはまさしく戦争。
外を見ると頭に角が生え牛みたいな動物が剣を人間と交えている、数千もの人間に対してこちらの魔物数は百あるか無いかとみえる。
今見えてる限りではもうすぐこの城の敷地に人間が踏み入れるだろう。
城の壁外の周りには攻めにくい様に水で囲んでそれを突破したとしても大きな柵、見張り塔などのあらゆる仕掛けがあるというのに、それを何らかの手順で次々潰していく人間達はまるで一つの槍みたいに貫通力が高い。
「……そろそろ終わりか」
ポツリと誰もいない部屋の中で呟く。
この世界では戦争が始まっている。
魔王が誕生して悪党になり人々を恐怖に与えて世界征服という旗を掲げて順調に一つ一つの街を潰していった。だが、それはある街でパタッと途絶え逆に反撃されるはめになった。
身体能力も身体も一回り魔物の方が大きかったが一方的に攻められて今は中心部しかなくなったいう訳だ。
そうなったのは途中から戦争に参加した【勇者】と名乗っている人間が見事な策を転じて魔物を嵌めては潰しと地道だが確実にじわじわくるような事をやってのけたからである。
ウオオオォォォォ。という声が爆発音と共に聞こえてくる。
いきなり後ろに気配が感じて後ろを振り返るとドアを開けて男が一人片膝を床に付けてこちらを向く。
「魔王群、数百を切りました! 外に出ている群は一項に連絡が取れずに援軍は望みそうにないです! そして更に勇者群が我が城の敷地内に侵入しました!」
「そうか、じゃあ私も出るとしよう。先に行ってろ」
ハッ。と男は返事をすると駆け足で出て行った。
はっきり言ってこの戦争は魔王群の負けは確定だろう。
魔王の俺が出てったところで斬られてお終いくらいだ。別に魔王と言っても剣が上手いわけでも何でもない、ただ父親が世界征服の指揮官という事で魔王になっただけなのだ。
だから、この戦争は負けていいと思っている。
部屋を出ると音が鳴る方へ足を向けた。
死にに行くようなものだが、俺はある人物を探していた、今現在戦場で奮闘中かもしれない輩だ。俺の首を欲しがっているに決まっている。だから表に出ればすぐ会えることだろう。
「さぁ、いこうではないか」
フフッと笑みをこぼすと魔王らしく黒いフードを着てゆっくりと足を前に出す。
四方八方から人間の怒号が聞こえてくる。
士気を高めているのだろう、もうちょっとで魔王の首が取れると喜んでいるに違いない。
「……ふふっ」
「なにがそんな可笑しいんだ? 魔王よ」
そろそろ外に行く門も潜ろうとしたら美声が後ろから聞こえてきた。
「おお、気が早い事だな。俺はお前の華麗な活躍を見たかったのにな。勇者よ」
「私の活躍を見れなくて残念だったな。私はこれから活躍をするがお前は見えないな…………死んでいるからな」
剣先をこちらに向けると笑みがこぼれていた。
勇者は金髪で碧眼、鎧を身に纏いその鎧からははち切れそうな胸。どこかで奴隷美少女をしてそうな感じで、どことなく弱そうな不陰気だった。
まぁ、それもその筈男じゃなくて女だったのだから。
「女だったとはな。多少驚いたぞ」
「それは光栄、だけど男じゃなくて女に負けた魔王となったら後世の名が廃るわね」
「後世の名ね」
「なにか不満な事でも?」
「俺を殺す前に少し俺の人生相談に乗ってくれないか?」
「なんのぎりがあって?」
と勇者が言うと俺は手を勇者の方に向ける。
勇者は剣を構えると臨戦態勢に入って獣の目でこちらを睨んでくる。
何もしない俺に対して勇者はステップを刻み剣尖を立てて俺に突っ込んでくる。
その剣尖が俺の腹を少し抉る。そして、もうワンステップを踏むと何かのリズムに乗っているみたいに左右に足を振ると同時に剣を薙ぎ払う。
辛うじて避けるとまた隙の無いリズムに合わせて突っ込んできた。
直感でどこかを抉られるような気がしたのでどこをあげるか迷ったがそんなの考えている暇に両肩を二回連続で切り裂かれる。
ポタポタと血が出ているが何の問題も無い、なぜならこの世界で唯一の魔法の使い手なのだから。ブツブツと何かを唱えると地面に落ちている血が戻り何事も無かったように傷が塞がった。
その光景に少し勇者が動揺をみせる。
「どうした? そんな驚いたのか?」
「前から聞いていたがこれが魔王の一族に伝わる魔法という産物なのだな」
「そうだな」
「なら、私を塵にする事もできるというのか?」
「残念ながらできないんだな、俺は魔王族、初の支援系の魔法なんだよ」
「それが本当なら嬉しいことこの限りないな!」
右左と剣を薙ぎ払う。決して力強い斬撃では無かったものの急所だけを狙ってくるので避けるので精いっぱいだ。
俺の息が上がると同時に勇者の息も上がる。
「で? 人生相談をしてくれることになったのか?」
「するわけがないだろう! ふざけるな!」
「それもそうか、勇者がゆっくりと俺の話を聞いてくれるわけないか」
「そういうことだ」
今度は勇者が目をつぶり「……右、左…………」と微かにそう言うと目も見開いて最初とは違うステップのリズムで剣と身体を同時に振るう。右左と剣尖を喉元に突き付けてくる。
それを避けると狙っていたのかのように無防備に前に突進してくると同時に右に持っている剣を左に持ち替えて腹を抉る。
その傷は意外にでかくて今までは少し切り裂いていただけだたったが片膝を付くほどの重症だ。
「少しおかしいな。今での真っ二つのはずだったが?」
「おい、おい。今のは計算して斬っていたという事か?」
「そうだ。ちなみに、最初から計算のうちに入ってる。会話をこんなにするとは思わなかったがな」
「そうだ。人生相談を受けてくれなくてもいいから俺の質問に何個か答えてくれよ」
「いいだろう。だが、お前が生きてられればの話だがな」
そう言うと休むも無くさっきと同じように右左と薙ぎ払い喉元を付いて来た。
避けながら喋るのはきついが俺はある事を言わなければ気が済まないからな。
「お前は、さっき後世の名とか言ったていたが――」
「それがどうした? そんな事を聞くのか?」
「最後まで聞けっていうの、どして女は途中で我慢できなくなるかな? 焦らしプレイとか好きじゃないのかね?」
「バカなのか?」
「……うぉ。で、お前はその後世で何をやるんだ? 俺の名前が廃っても年月が経っていけばお前の存在も忘れられていく」
「…………」
「そんな後世でお前は何をやるんだ? 俺達には住みずらい世界に住んでどうする?」
剣のスピードが上がっていく。感情が高ぶっているのか少し荒い剣筋になっている。こいつは今なにも考えてないだろう。
そうなのだ。
俺が死んでもこいつは年月が経てば一人で死んでいくだけだ。
最高でも魔王を倒した1ヶ月くらいは英雄などと呼ばれるだけだろう。
こいつも気づいている魔王と勇者とは《過去の遺物》になる運命を背負っていることを。
「もう一度聞く、お前はそんな世界でどうする?」
「……さい」
「あぁ? 聞こえない。はっきり言え」
「うるさい! どうする事もできないから今もこうやって生きているんだろうが!」
いきなり叫んだと思うと少し涙目だ。その姿は哀れで悲しい姿だった。
こうやって剣を振り回して戦っていること自体哀れでしょうがないのだが、どうすることもできないのだ。
――なら、どうする?
こうやって戦略家で頭が良い勇者が悩んでもどうやつても結論にはたどり着かない。
「じゃあ、行けばいいじゃないか」
――そうだ。
「は? 意味が分からない」
――そういう世界に行けば良い。
「そろそろ、限界だろう。息が上がってるしな」
はぁはぁと剣を支えて立つ勇者。完全無防備の所で俺がとどめを刺せば俺の勝ちだろう。
戦争は。
だが、それではほかの魔王と同じ道を辿るだけだ。
――そう簡単な話だ!
「異世界、勇者と魔王だけで成り立っている世界に行けば良いじゃないかッ!」
きょとんと俺を見ている勇者だが、その顔には少し希望を持っていた。頭が良いから分かったのだろう。たぶん。勇者と魔王だけで成り立っている世界で第二の人生を始めればいいだけだろう。
剣に寄り掛かるのを止めた勇者が俺に問いかける。
「そんな世界があるのか?」
「ある。そして、その世界は魔王と勇者だけで統治されているらしい」
「ほかには情報が無いのか?」
「ない」
はっきり、ないと言ったので勇者が苦笑すると「ただ、バカだな」と言って来たので「ああ、よく言われる」と言ってやった。
――今までの勇者と魔王の戦いは見飽きたのではないだろうか?
――では新しい世界を提供しよう。
それは魔王と勇者で統治されている世界。
だが、そんな世界も勇者と魔王は争う、だが普通の戦いは見飽きたので新しい戦い方を提供しようではないか。
そんな《後世の遺物》になりかけた勇者と魔王が――
――《生ける遺物》となった伝説の話を。