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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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女は冷たく笑う

作者: 空花玲奈
掲載日:2026/06/12

その笑みは安らぎかー

白いカーテンが風で揺れる。

窓から漏れる柔らかな光が顔を照らす。


ジャジャジャジャーン。


ベートーベンの運命が頭の横のスマートフォンから鳴り響く。


(ごっつい、変な夢、見たなぁ、、、。)


両手を顔に当てると、うーんと背を伸ばし、足を白いベッドからおろす。

立ち上がり寝室のドアを開けると、リビングから漂う暖かいコーヒーの香り。

眠い目を擦り、リビングに入ると黒い髪を後ろにまとめた妻が朝食を作っている。

木製の椅子に手をかけテーブルから引き抜くと、妻が俺を見てニコリと笑う。


「おはよう、徹さん。」


椅子に座り、たっぷりバターの塗られたパンを口にすると妻と話す。


「もの凄い、変な夢見たわ。」


今朝、見た酷い夢の話を始める徹ー


右手で女の頬を叩くと、嫌がる女を男の力強い両腕で抑える。


「嫌や、止めて!!」


黒く長い髪を振り乱し抵抗する女の口に手がかかる。

カチンと地面に落ちる銀縁の眼鏡。

はぁはぁと肩で息をする徹。

目を開き動かない女。

女の異変に気付き、女の顔に耳を近づける徹。

女の息がない。

慌てて、その場を立ち去る徹ー


話を聞くとケラケラと妻が笑う。


「変な夢を見たんやね。」


「ホンマや。代議士の俺がそんなことする訳ないやん。」


ズズッとコーヒーを啜ると、コーヒーカップをテーブルに置き立ち上がる徹。

壁に掛かったネイビーの高級なスーツを手に取ると、妻が無言で徹を見つめ話す。 









   「あなた、代議士じゃないわよ。」



   妻の美奈が冷たく言い放つー


窓からの光が徹の顔を照らす。

薄汚れたベッドから体を起こし立ち上がると、一人用の小さな冷蔵庫を開ける。

冷えた缶コーヒーを取り出すとゴクゴクと飲み干す徹。

床に置かれたベージュの作業着に着替え、玄関のドアを開ける。


カシャ、カシャ。


徹の顔に浴びせられる大量のカメラのフラッシュ。

黒い髪を後ろにまとめ、銀縁の眼鏡をかけた女性記者が徹にマイクを向ける。


「事件についての質問ですが、、、。」


何の話か分からず混乱する徹。

徹の周りを大量の記者が囲んだ、その瞬間ー


グサッ。


鈍い音と共に、徹の腹部に激痛が走る。

膝から崩れ落ちるように倒れる徹。


(また、変な夢か。そもそも俺は代議士、いや、、、。)








    痛い、夢やないー

  

       俺は死ぬんかー


徹の目に映る女性記者が銀縁の眼鏡を取り、後ろでまとめた髪を下ろし冷たく笑う。








  そんな、美奈ー


   徹の意識が遠のいてゆくー


    フラッシュの光が徹を照らすー

読んで頂きありがとうございます。



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