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夏の失敗、ふたり分 悠斗視点  作者: たい


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18/18

また明日みたいに

このシリーズは、


「大丈夫かな」

「隠さなきゃ」

「迷惑かけたくない」


そんな不安を抱えた三人が、


少しずつ


「安心して一緒にいられる関係」


を見つけていく物語でした。


夜行バス。


雪の日。


温泉旅行。


プール。


海。


色んな場所を通して、三人は少しずつ変わっていきます。


そして最後には、


“失敗しないこと”


より、


“安心して笑えること”


を大切にできるようになっていました。


最終話では、大きな事件は起きません。


でも、


* 一緒にいること

* 普通に笑えること

* 「またね」が自然に言えること


そんな、“当たり前だけど大切な安心感”を描いています。


最後まで、三人の空気を感じてもらえたら嬉しいです。

九月。


夏休みが終わって、少しだけ空気が変わった。


駅前を歩く人たちも、どこか忙しそうに見える。


奈々は改札前でスマホを見ながら、小さく息を吐いた。


「まだ暑いけど、夏終わった感じする。」


「分かる。」


美咲も頷く。


その時。


「あっ!」


聞き慣れた声。


悠斗が手を振りながら走ってきた。


少し汗をかいている。


奈々は吹き出した。


「また走ってる。」


「遅れると思った!」


「まだ五分前。」


悠斗は少し照れながら笑った。


でも、その空気はかなり自然だった。


最初に会った頃みたいな緊張は、もうほとんどない。



三人は駅前のショッピングモールへ入る。


特に目的があるわけじゃない。


ただ、一緒にいるだけだった。


本屋へ寄ったり。


雑貨屋を見たり。


フードコートでジュースを飲んだり。


そんな、普通の休日。


でも。


その“普通”が、三人にとってはかなり特別になっていた。



フードコート。


窓際の席。


外はまだ少し暑そうだった。


奈々はアイスカフェオレを飲みながら笑う。


「最初の頃、めっちゃ気使ってたよね。」


悠斗は一瞬止まる。


それから苦笑いした。


「……うん。」


夜行バス。


雪の日。


温泉旅行。


プール。


海。


色んな場所へ行った。


そのたびに、


「大丈夫かな」


って考えていた気がする。


でも今は違う。


悠斗はストローを回しながら、小さく笑った。


「最近、“まあ大丈夫か”って思える。」


奈々は吹き出した。


「成長してる。」


「安心優先だから。」


その言葉に、美咲も笑う。


もう、その言葉は三人の中でかなり自然になっていた。



少しして。


三人は屋上の休憩スペースへ移動した。


夕方の風が少し涼しい。


夏の終わりの匂いがする。


奈々はベンチへ座りながら空を見上げた。


「なんかさ。」


「ん?」


「最近、“不安になる場所”減った気がする。」


美咲も静かに頷く。


前だったら、


* 長距離移動

* 人混み

* 外出

* 旅行


そういう場所は、“不安”のほうが大きかった。


でも今は違う。


“安心できる準備”がある。


“分かってくれる人”もいる。


そして、


“無理しなくていい”


と思える。


それだけで、景色がかなり変わっていた。



その時。


悠斗が小さく笑った。


「……でもさ。」


「ん?」


「最初に会った時、こんな感じになると思わなかった。」


奈々も笑う。


「夜行バスだもんね。」


最初は偶然。


ただ隣になっただけ。


でも今は、一緒に出かけるのが自然になっている。


悠斗は少し照れながら続けた。


「なんか、ここいると安心する。」


その言葉に、美咲は優しく笑った。


奈々も小さく頷く。


「うん。」



夕方。


空がオレンジ色へ変わっていく。


帰る時間。


でも、不思議と寂しさは少なかった。


また会えると思えるから。


奈々は小さく手を振る。


「じゃあ、またね。」


「うん!」


悠斗も笑顔で手を振り返す。


美咲も静かに微笑んだ。


三人は別々の方向へ歩き出す。


でも、その背中はどこか軽かった。


最初は、


「失敗しないこと」


ばかり考えていた。


でも今は違う。


無理をしない。


安心して笑える。


“分かってくれる人がいる”。


それが、三人にとって一番大きかった。


駅前へ、少し涼しい風が吹く。


夏の終わり。


でも三人の時間は、きっとこれからも続いていく。


“安心できる場所”みたいに。

『安心できる場所』シリーズを最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


このシリーズは、


“失敗”そのものではなく、


「安心できる人や場所があること」


をテーマに描いてきました。


奈々、美咲、悠斗の三人は、最初はみんな、


* 不安

* 恥ずかしさ

* 我慢

* 焦り


を抱えていました。


でも、一緒に時間を過ごして、


少しずつ、


「無理をしなくてもいい」


と思えるようになっていきます。


雪の日のファミレス。


温泉旅行。


プール帰りの電車。


海辺の夕方。


その全部が、三人にとって小さな成長でした。


特に後半では、


「安心優先」


という言葉が自然に出てくるようになっています。


それは、“諦め”ではなく、


「安心して楽しむ方法を知った」


という成長でした。


このシリーズでは、派手な展開よりも、


* 空気感

* 会話

* “ほっとできる瞬間”


を大切にして書いています。


だから最終話も、


「終わり」


というより、


「これからも三人の日常は続いていく」


そんな空気を残したかった回でした。


きっとこの先も、


* またどこかへ出かけて

* 少し疲れて

* 笑って

* 安心して


そんな時間を重ねていくのだと思います。


そして三人にとって、


“安心できる場所”は、


特別な旅館や海ではなく、


「一緒にいられる相手そのもの」


になっていったのかもしれません。


ここまで三人を見守っていただき、本当にありがとうございました。

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