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森に住む嫌われ魔女に何か御用でしょうか?今更助けてと言われても助けませんが。  作者: 森ノ こだま


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第1階 神秘郷の魔女

 初めまして。木霊ヨナと申します。

 前々から小説を書きたいと思っており、何もわからず書きだした処女作です。文章など至らないところはあると思うのですが、温かい目で見ていてでけると嬉しく思います。

 この作品は私がもし異世界に行けるのであればこうなりたい、をもとに書いている物語です。一緒に楽しみながら読んでいただけたら幸いです。

 どうぞよろしくお願いします☺️


【エピローグ】


 ある国に幼くもとても優しく優秀な、見る目麗しい一人の魔女がいました。


 彼女はどんな魔法も扱え、天候や地形までも変えてしまう力を持っていました。人々は薬を作ってくれたり、農作業のための豊かな土地を作ってくれたり、時には邪悪な魔物からも助けてくれる彼女のことをとても慕っていました。


 しかし、その国の王や臣下達は国の民から熱い信頼をもらい、絶大な力を持つ彼女のことを煩わしく思っていました。


 また、宮廷魔法使い達は自分たちよりも優れた力・術を持つ彼女のことを鬱陶しく思い、己の地位さえ危ういものにされるのではないかと考えるようになりました。


 やがて心優しき魔女を国の頂点立つ者達からの小さな不安によって、愚かにも人里から追い出してしまいました。


 人々は悲しみ、大地や川は淀み、点は悲しみの雨を降らせました。


 ただ一つ。


 彼女を招き入れようとするものがありました。


 それはとても神秘的で何処までも深く、なぜか寂しげのある樹海でした。


 悲しみに暮れた魔女は、木々達の招きに体を委ね、古から伝わる「神秘郷」という 深い森に一人、姿を消しました。






 「神秘郷」


古から存在する未開拓領域。

迷宮の如き樹海や森林に閉ざされたこの空間は何処までも深く、何処となく神秘的なその森は人々から神秘郷と呼ばれた。

莫大な魔力で覆われている樹林は人の出入りを一切受け入れず、未知の地帯として君臨し続けていた。

未だに謎多き神秘郷にはとある言い伝えがある。



 「その樹海

  神から選ばれしものが求めし刻

  閉ざされし樹海の門

  自ずと開かれるであろう」






 招かれた魔女は森の植物や動物達、精霊達から歓迎されました。


 植物と動物達は食べ物を。

 精霊達は自然のことや新しい魔法を教えてくれました。

 その様子を見ていた大地は、とても穏やかで居心地の良い豊かな土地を森の中心につくりました。

 天もそこへ暖かな陽の光と心地の良い風を吹かせました。

 木々達はその場所にたくさん木材を運び、まるで彼女を祝福しているかのように森が優しく揺れます。


 魔女は森の中心にあるとても大きな木の根元に立派な家を建てました。

 そこを寝床とし、森の住人達と魔女は仲良く暮らしました。





 月日が経ち、心優しく強き魔女は国のもの達から忘れ去られていきました。

 それでも国のもの達の間では言い伝えられていることがあります。



 昔々のとある一人の魔女が神秘郷へと足を踏み入れた。

 その行方を知るものは誰一人としていない、と。

 とあるものは森で行き倒れたのだと。

 とあるものは未だ森の中で彷徨っていると。

 またとあるものは、魔物達を従えて森に今も住まう恐ろしい存在だと。



 魔女は今も尚森に住まい、暮らしています。

 魔女と人間達はこの先どう変わっていくのでしょうか。

 魔女は人々を許すことはできるのでしょうか。

 人々は罪を理解し償うことはできるのでしょうか。

 世の混乱を力を合わせて収めることはできるのでしょうか。



 これは優しき一人の魔女のお話。

 どうぞ最後まで見届けてくださいな。






 【神秘郷の魔女】


 ケルデニル王国。巨大な大陸を領土とする歴史ある王国である。王は代々デュアール王家が即位し国を納めている。暖かな気候により草木や花が豊かに育ち、透き通った美しい水が湧くことからケルデニル王国は“春華の国“と呼ばれた。


 広大な土地と比例した巨大な首都バミーヌ。恵まれた大地とその他数々の華やかな都。他の国の者から見たらさぞ美しく華やかであり、一度は住んでみたいと噂されるほどの素晴らしい国である。


 しかしそれはとうの昔の話。近年のケルデニル王国は華やかな印象とは裏腹に肥えた土地も見かければ川や湖は枯れ果て、作物は不作に陥り人々の活気は何処へやら。

 他国からは、「頼ることにしか脳のない落ちぶれた国」。そう呼ばれた。


だが、そんなケルデニル王国にもこの世で一番美しい領域とされる場所があった。


 その名は「神秘郷」。

 鮮やかな緑が生い茂り食物は豊かに育ち、水は澄み動物は美しくされど強く生きている。とうの昔に見られなくなったと言われる精霊なども住むというものもいる。そんな神秘的な森が神秘郷である。


 まあ、言うまでもなくケルデニル王国は落ちぶれてなどいないではないか!

 と言うものや、こんなにも素晴らしい土地を持ってるのにも関わらずなぜ頼ることしかできないのか!

 こう言うものもいるであろう。


 まあまあ最後まで話を聞きなさいな。

どうしてケルデニル王国は落ちぶれ、美しさを失ってしまっているのか。これには長ーいわけがある。まずはここ、神秘郷ができたわけから話そうかね。

200年ほど前になる、、、


「ミーヤ!みいーーーやーー!!!」


 澄んだ声を大きく響かせ、こちらに近づいてくる足音が一つ。この森に鳴り響いた。どうやら誰かがこちらへ向かってきているようだ。


 おっとっと。これからのお話はまた今度話そうかね。まーそうだね、これだけ言っておくかい。

 今からここに来る娘が大きな理由の一つ、とでも言っておくかい。ふふふ。どうしても続きが気になるのであれば、この娘の行く末を見ていくといい。



 ばんっ!


 どうやらここは建物の中らしい。大きな戸が開く音と共に一人の娘が入ってきた。外の爽やかな風と共に小鳥の囀りが部屋へと転がり込んでくる。先ほどの声と思し声が部屋の中に鳴り響く。


「ミーヤ!やっといた!探したんだからー!」


 そこにいたのは森に鳴り響いていた声の持ち主であった。煌めく白銀の頭髪に星空を落とし込んだかのような瞳。誰もが息を呑む美貌を兼ね備えた18、19の見た目の娘に見える。ふわふわと波打つ腰まで伸びる髪を分けおろし、純白のワンピースを見に纏う彼女は一目見るだけで心惹かれる存在であった。彼女の周りには小さなふわふわと浮かぶ妖精のようなものがいるように見える。その影響か、とても神秘的なものに見えてきた。


「ん?どなたかとお喋り中?」


 娘の問いかけに答えたのは、優しく包み込むかのような声であった。


「いーや、お話を作っていたのさ。長ーい長ーいお話をね」


 その人物はミーヤという一人の女の妖精である。心落ち着く薄緑色の長くまっすぐな髪を持ち、澄んだ水を落とし込んだような瞳にまるメガネをかけていた。彼女は口調こそ老婆のようだが、見た目は25〜27ほどの女性に見える。


「また作っているのね!今度私にも聞かせてちょーだいな!」


 ミーヤの返答に娘はくすくすと心躍らせるような笑いをこぼしながら、「今度はどんな物語かな〜」などと独り言を言っている。まるで自分の要件を忘れているようだ。


「レイラ、何を一人で笑っているんだい。ここに来たってことはまたガビスの子がやらかしたのかい?」


 どうやら娘の名前はレイラというらしい。レイラはミーヤの言葉に夢中になりながら会話を続けた。


「そーなの!!!ガビスがまた幼ない芽を枯らしちゃって、、、。ミーヤお願い、精霊の力で治してあげて欲しいの」


 悲しそうに、縋るような声でレイヤがミーヤにお願いする。どうやらガビスという少年のことでここに来たらしい。急いでいたようだ。彼女の綺麗な髪に何枚かの葉っぱがついている。ミーヤはニコッと微笑み、腰掛けていたミミー種の羊から取れるふわふわの綿毛を使ったソファーから重い腰を持ち上げた。


「しょうがない子だね〜。またたーんとお説教しましょうか」


 にこやかに発せられるミーヤの言葉は、態度と言葉が相反していた。またその言葉を聞いたレイラは、言葉の意味の意味を理解したのか次の途端、パッと顔を上げきらきらした瞳でミーヤを見上げた。感情が表に出やすいのか、反応で思っていることが手に取るように伝わってくる。


「治してくれるのね!ありがとうミーヤ!ガビスのやつ、めいいっぱい叱ってやって!」


 そう言って華奢な腕を前にと突きつけた。おてんばであり、満面の笑みでコロコロと笑う彼女を歳頃の子が見れば、すぐに落ちてしまうに違いない。そう感じさせるほどの目を引く人物であった。


「いいのさ。しかしレイラくらいになれば新芽などすぐに元気にできるだろうに。どうしてわしに?」


 不思議そうにするミーヤを前にレイラはくすくすと可笑しそうに答える。


「だってミーヤに叱ってもらう方がガビスのやつ、反省するんだもの」


 レイラの返答にミーヤもくすくすと笑いながら部屋の扉をゆっくりと開けた。まるで周りの妖精たちもが微笑んでいるように感じる。二人が部屋の外へ踏み出したと同時に、爽やかな風が部屋の中へと流れていった。


「そーいうことかい。賢い子だね〜、レイラは」


 二人はそんな会話を楽しそうに、可笑しそうにしながらガビスという少年の元に向かった。





 ケルデニル王国は、現在九代目国王ルルーシュ・ヴァ・デュアールが収めている。

ルルーシュは先代に続き荒地と化している国土を復興するためあらゆる力を行使し奮闘している。それはそれは数多の手であり、時には軍事勢力を持って他国に圧力を。時には闇魔術さえも手に出したと噂されるものであった。


 その息子ミカエル・ヴァ・デュアールは皇太子として父の力のなろうと励んでいた。学業・魔術は勿論のこと。王家としての品格、さらには彼の二人の弟、ナスタシスとルービルの兄としてもそれはそれは名高い評判であった。誰もが憧れる人物をそのまま写し出してあるかのような者だった。そう、国民皆が支持するかのような完璧な皇子、それがミカエルである。


 ただしかし、一人森に住まう魔女以外は、の話である。


 私はこの王家が嫌い。大嫌いだ。


 自分の過ちに気づかずのうのうと暮らし、挙げ句の果て土地がなぜ荒れ果てているのかすらまだ理解していない。最悪なことに他国にまで危害を加えている。現国王は今までの国王の中でも最も救い難い人物だ。


 しかしその話を置いておいてもなお気づかない前の国王も、その前の前の国王もよく国を収めているな。そんなに気づかないものなのか、自然を敵に回したことは。国ものもそうだ。私がこの人たちのせいで人間の元をさったことも、何もかも忘れている。


 レイラは心の中で叫び続けた。彼女は200年前、当時ケルデニル王国国王ロジネヴァによって人里から追い出された。その怒り哀しみは今もなお彼女を苦しめている。


このケルデニル王国が荒地と化しているのは、レイラが大きな要因だった。

レイラを深く気に入っていた精霊と自然たちは、彼女を追い出したケルデニル王国を酷く恨んだ。レイラがいることから土地に恵みを、川を清くしていた精霊たちは逆に国を荒らし始めたのである。

温厚なレイラに変わって国のものたちに罰を与えた結果が、現在のケルデニル王国である。


 この森神秘郷という場所は、膨大な魔力によって覆われており長寿と謳われる精霊が住み着いていることから、時空間がそれらの影響を受け、時の流れが遅い。森の外ではもう200年という月日が流れているのにも関わらず、森の中では数年前の出来事のような感覚に陥る。身体の影響も同様である。


 レイラのような人間もこの森に来た当初と変わったことと言ったら、少女から女性になった2〜4年程度の成長程度である。不思議なことに精神面の影響は出ないが、それほど時間の流れに差があると言ってもまあ話はうまくいかず、心の傷というものは、時の流れと同じようにはいかないものなのだ。


 私は時々怒りと哀しみに蝕まれ悪夢に襲われる。毎度毎度その度に体調を崩し精霊王サーシャに治療してもらっている。なんでも私の身体、いや魂とでもいうのか、呪いの類がかけられているらしい。この世の誰かがかけたもの等ではなく、人間からしかしかない特有の感情による呪い、“呪禁“。

 これは沢山の人間が特定の人物に対し大量の感情、いわゆる言霊になりうる考えを相手に思うとき、その相手の人物の魂に呪いのような呪縛、呪禁をかけてしまうという。

 私も難しくてよく理解していない。


 この呪いは精霊だけが、その中でも精霊王にしか和らげることが出来ないという。逆に言えば精霊王でさえもこの呪いを解くことはできないということだ。厄介なことにこの呪いは、人間たちから特定の人物に対しての感情だけではなく、その特定の人物すなわちレイラから人間たちに向けての感情の二つ、がリンクした時にのみ発現するものだそう。


 そうなのだ。

 私自身の感情、私にも問題があるらしい。


 だからと言ってあの者達に許しを出せるほど私の心は綺麗ではない。精霊のみんなや動物たちは、森そのものでさえ私のことを聖女だのと祝福してくれた。澄んだ心を持つ少女、清き魔女などというけれど私はそうとは思えない。


 現にケルデニル王国の人々に対して言い難い黒い感情を持ってしまっている。まあその肝心な国のものたちですら私のことを忘れてしまっているから、私がどうこうしたとて意味はないのだけれど。


 それでも皆んなは悪いことではない、持っていても相対して変わらない感情だ、などと言ってくれる。どれだけ優しく慰めてくれても、私もわかってしまうのだ。少なからずこの感情が呪いに関わっていると。皆んなはそれでも私の境遇を理解して歩み寄ってくれている。


 本当に優しい、素敵なものたちだ。

 私はそんなみんなが大好き。


 サーシャもいつもどこかだるそうで、自分の興味のあるものにしか飛びつかない。しかし私の呪いによる症状が出るとすぐ駆けつけて何度も何度も症状を和らげてくれる。皆んなは暖かい家やご飯をくれて、優しい友達になってくれた。私はしてあげれる事がないのにも関わらず。


 私は皆んながいれば平気。

 もうこれ以上何もいらないの。

 この森からも出ないわ。

 この森がありここで暮らす。

 そしてそばには皆んながいる。

 それが私の幸せなの。


 珍しく呪いのことを考えたり、王国のことを考えたり、改めて森のみんなに抱く感情を考えながらいつしか私は深い眠りについた。





 ちゅんちゅんっ。


 小鳥の囀りが聞こえる。


 暗闇の中からだんだんと自分の意識が戻っていく感覚がある。


 レイラはゆっくりと、いつものように目を開けた。いつの間にかベッドに横になっている。


 おかしいなあ。

 ミーヤを探してガビスのところに説教しに行こうとしてたのに、、、。


 どこか暖かな空気を感じながら私は重い首を少し横に傾け、ベッドの横に目を向けてみた。身体もなぜかいつもより重く、動かすのも精一杯だった。


 やっとの思いで見ていると、そこには心配そうにレイラを見つめるミーヤやガビス、イタズラ好きな双子の精霊リリスとララス。いつもなら何にも興味なさそうなダミーもいる。


 そしてずっと感触があった左手には、椅子に腰掛けながら私の手を握るサーシャがいた。私を取り囲むかのようにベッドの周りに皆がへばりついていた。体が重たいのはこのせいかしら?よく見てみると、その中でも一段と顔を曇らせている者がサーシャであった。


 相変わらず綺麗な顔だな〜。

 男のくせしてずるいや。


 輝く星空のような黄金色の瞳に、軽く肩の位置で結んだ深い新緑色の髪。まるでこの神秘的な森を人の形にでもしてみたかの様な目の引く男性である。身につけてある装束も相まって彼の魅力が際立っている様に見えた。


 普通の人間が彼を目にしたら、瞳力やこの溢れ出る色気というやつによって森に引き込まれるぞ。

 その可哀想な犠牲者は森を彷徨い続けるだろうな。

 幻術によって。サーシャならやりかねない。

 いや絶対にやるだろう。


 しかし女々しすぎずきちんと男らしいところもあるこの顔は、本当にどうなっているのか。不思議で仕方がない。


 あまりに私がサーシャを見つめすぎていたのか、皆んなが私に声をかけていることに気が付かなかった。


「レイラ、大丈夫か?もうどこも苦しくないか?」


 やっと聞こえ、聞き取れたのは心配そうなサーシャの声だった。サーシャがいつもとは裏腹に優しく問いかけてきていた。握られていた左手により力が込められる。変な気持ち。どうしてかレイラはそんな言葉にできない感情で胸がいっぱいだった。


「サーシャ、なんだか今日は優しいね。どうして?」


 私が半分意識朦朧としながらサーシャに尋ねると、彼は一瞬驚き安堵したかのような素振りを見せた。私から返答がくるとは想像していなかったんだろう。彼はそのまま少し乱暴にふざけるような、しかし優しくレイラの頭をぽんぽんと手のひらで撫でた。


「今日だけじゃない、いつもだろ?俺が優しいのは。ほんとにお前はやっと起きたかと思えば想像の斜め上をいく小娘だ。くっくっくっ、元気ならそれでいいが」


 サーシャの笑い混じりの言葉にみんなも笑い出した。先ほどの心配する様な声色とは変わった、いつもの調子のサーシャだった。周りもさっきとは空気が変わったかの様だった。


「レイラ大丈夫?もう平気?」

「顔色悪いんだから平気なわけないじゃん」


 いつもの調子でリリスとララスが会話している。


 この二人はよく似ている様で似ていない。見た目は二人とも薄めの金髪のストレートボブに、エメラルドグリーンの瞳の女の子と男の子の精霊で瓜二つだ。でも性格はリリスの方が少しだけ天然なところがある。人間の年齢で言うと11〜13歳ほどだろうか。幼ない子供に見えるからか、私からみると妹と弟みたいなものである。


 精神年齢は遥かに上だけどね。


 二人が言い合っている横でダミーはまだ心配そうに私を見ていた。


「リリスとララスよく分からないけどありがとう。ダミーもそんな顔しないで。私は平気だよ」


 レイラが優しくか細い声で三人に声をかけた。


「本当か?レイラはいつも無理をする。信用ならない」


 ダミーがやっと口を開いてくれた。レイラが大丈夫と言っても、リリスとララスの二人はともかく、その隣のダミーの表情は曇ったままだった。


 ダミーは22〜24ほどの男の精霊だ。サラサラと煌めくシルバーの髪に紅色の瞳。貴公子のような見た目の美男子だが、こう見えて大の人見知りである。そのためかいつも感情とは裏腹に表情がブスッとしている、不器用で可愛い私の頼れるお兄ちゃんだ。この森の誰よりも頭が切れるサーシャの側近である。


 みんなに気を取られていて気がつかなかったが、よく見たら木の飾り窓の外にも沢山の動物たちがこちらを覗いている。私と目が合うとみんな嬉しそうに晴天の自然の中へと駆け出していった。


 どういうことだろう。

 私に何があったの?


 レイラの頭の中には沢山の疑問ばかりが浮かんでいた。


 そう一人で考えていると、不思議そうにしているレイラを見てガビスがやれやれと話し始めた。その様子は心なしかどこか嬉しそうだ。


「お前三日前俺のところにミーヤ様とやって来たんだ。と思った矢先に急にぶっ倒れてさ、ほんとに焦ったぜ〜あん時は」

「ガビス、そんな軽々しくしてるんじゃないよ。あの時はお前さんが一番近くにいたんだからね」

「いやそうだけど流石に何回見ても慣れないぜ。近くにミーヤ様がいてほんと助かったよ。レイラ、お前が倒れたのはいつもの呪いのせいだぞ」


 ニヤニヤと話すガビスの様子は、16〜18の見た目相応の少年の様だった。真っ黒で短髪の髪に、笑った時に見える鋭利な八重歯はガビスの人柄を際立てている様だった。ミーヤに口出しされている様子もガビスらしい。


 そんな彼の話を聞いてレイラは疑問を抱いていた心が晴れた気がした。


 そいうことか。また呪いのせいで倒れたなら、さっきの変な頭の中のことも腑に落ちる。倒れた際の私の頭の中はいつも決まって同じ内容だった。ケルデニル王国についてや呪いそのものについてなぜか深く考えてしまう。


 そしてお決まりなのが、呪いのせいで倒れた時の考えていること、記憶が断片的なものとしてしか私の頭の中に残らない。だから起きた時、誰かから話を聞かないと異常に状況を飲み込めなくなってしまう。非常に厄介な後遺症だ。おまけに記憶が混乱しているせいか、発作で倒れるまでの一定時間の記憶もよく思い出せなくなる。


 今回の場合、ガビスが新芽を枯らせてしまったことまでの記憶しかない。


 私はいつものように一度深呼吸をしてからゆっくりと話し始めた。


「そういうことだったのね毎回毎回迷惑かけてしまってごめんなさい。みんな」


 私はみんなを見渡しながら上体を起こした。

 まだ体が重石のように重たい。それでも精一杯動かした。

 気ずくと背中の位置に誰かの手が優しく添えられた。


 サーシャだった。


 支えられながらもゆっくりと起き上がる私と、何も言わず私のことを支えているサーシャ。私たちの様子を見ている皆んなも、温かく見守ってくれている。


「ほらっ!もうこんなに元気!」


 そう言いながら私は自分の腕をうんと部屋の天井にミケて伸ばしてみせた。


 流石に空元気ってバレちゃってるかな。


 腕を伸ばしながら私は横目でみんなのことを見てみた。


 するとどうだろう。

 「やったー!」と喜んでいるリリスとララス。頭を抱えるガビスにミーヤは微笑んでおり、稀に見る笑顔を浮かべたダミー。そして一際目立つのが、お腹を抱えて笑っているサーシャ。


 さっきから笑ってばっかりだなこの精霊王!

 何もそんなに笑うことある?


 レイラは少し不服そうにサーシャを見ながらクスッと笑った。






 誰もがこんな笑い合える平和が続くように願っていても、災難は起こりうるもので。


 この先何があるかはまだこの皆んなも、私も知らない。


 そう。


 まさか私がこの森から離れることになるとは、誰も知らないのである。





 ここまで読んで下さった貴方様方は私にとっての神様です。実はこの後書き書いてるの二回目でして。ページ戻ったら全部消えてしまいました。結構萎えって感じです。


 まあそんなことは置いといて、今回は登場人物たちの自己紹介フェーズになりました。皆んな1人1人の個性を出すのが楽しくて楽しくて。書きすぎて後から端折ったのはここだけの秘密に。でもこれからどんどん人物増えていきますので、どうぞぜひ最後までついてきてくださると、作者だいぶ喜びます。処女作ですのでお手柔らかに。


 こんな後書きまでも読んでくださるあなた様はきっとついてきてくださることでしょう。ありがとう。大好きです。また次回のこの場所で会えることを楽しみにしています。それではまた会えるその時までお元気で。

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