別れを選ぶ勇気は、運命線の先にあった
私は彼と一緒に、少し緊張しながら占い館を訪れた。
「いらっしゃいませ。お二人でのご来店は初めてですか」
先生は私たちを座らせてくれた。
「はい、そうです。今日は手相を見て欲しくて…」
「それと、二人の相性もお願いします」
私は伝えた。
彼は黙って頷いていた。
最近の私たちは会話が減ってきていた。
五年も付き合っているのに。
先生はまず私の手を取った。
「運命線が…途中で二つに分かれてますね」
「それって…」
「選択しなければいけない時期に入っていますね」
次に彼の手を見る。
「あなたの運命線はまっすぐね」
「でもね…お二人の運命線交わってないの」
「え、」
一気に、部屋の空気が静まり返った。
「でも、私たち五年も一緒にいるんです」
私は必死に訴えた。
「一緒にいることと、運命線が交わることは別物なの」
先生は受け止めるよう優しく伝えてくれた。
「…俺も薄々は気づいていました」
彼が初めて口を開いた。
「今でも好きだ。でも、このままじゃ未来が見えない」
そんな彼を見て私は涙が溢れた。
「別れるべきですか」
私は言いたくなかった。でも勇気を出して聞いた。
「これは私が決めることじゃない。ただ…」
先生はもういちど私の手を見た。
「どの選択をしても、あなたはちゃんと幸せになれる」
「どの選択でも…」
私は深呼吸をした。
そして彼に伝えた。
「別れよう」
彼は泣きながら頷いた。
「ありがとう、五年間」
「こちらこそ、ありがとう」
占い館を出る時、私たちは最後に手を繋いだ。
「じゃあね」
「元気でね」
私たちは別々の方向へ歩き出した。
私にはまた次の新しい道が続いている。
「どんな選択をしても私は幸せになれる」
そう心の中で呟いた。
そして別れを選ぶ勇気も、二人の愛の形なんだと気づいた。
明日から私は、一人だ。
だけど怖くはなかった。
運命線の先に、新しい光が見えた気がした。
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