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二十一話 甘食の物語

鞭の後には飴を、二人のイチャイチャでお茶を濁します。

カンナの柔らかい唇に、そっと接吻をする。


“接吻“、その行為はカンナとシズクの境界線を消し、一つになる為の行為。

 カンナは目を見開き、あたりは静まり返る。


 カンナの視界は白銀色で覆われ、それ以外を何も映さなくなる。視界を失ったカンナが今最も強く感じるのはその唇の感触。

 ふにふにとやわかい物が自分の唇の押し付けられる。それがシズクの唇だと理解するまで数秒。

 シズクの唇だとカンナの脳が理解した瞬間、中枢神経を駆け抜ける溢れんばかりの多幸感。

 その甘い感触に体の機能は、シズクの唇だけを感受することを即座に判断、全神経を唇に集中させ、その他の機能を停止する。

 催促、視界すら不要と判断したカンナは、瞳をも閉じ、暗闇の中に身を浸す。しかしその暗闇の中にあっても確かに感じとれるのは、シズクからの求愛信号。

 唇を通して様々な思いがカンナの中へ送られる、カンナに対する心配、ジズルドに対する恨み、そして、最も大きなカンナへの“愛“。

 慈愛、友愛、奉仕、健心、様々な愛の感情がシズクを通じて送られる。

 楽しかった村の思い出も、ここに連れてこられてきてからの辛い思い出も、自分たちの未来に対する不安も、全てを洗い流し“今“に集中させられる。


 まるでその状況は、豊満な乳房に吸い付く赤子の様、だが乳房では無く唇から受け取るのは、母乳では無くシズクからの愛の感情。

 脳を痺れさせる初めての感情にカンナは夢中になる。難しいことを考えるのを辞めた脳は、省エネモードになり同じ行為をただ繰り返す。


 夢中になった二人を止める物はこの場所には無く、その行為は、二人の酸素がなくなりかける直前まで続けられた。

 脳に送る酸素が無くなり、息も絶え絶えで呼吸を繰り返すカンナとシズク、頭に霧がかかり思考が纏まらない二人は足りない酸素を補充すると、まだ足りないと言わんばかりに、再びお互いの距離を零にする。


 次はカンナの方からシズクを受け入れる。シズクを受け入れやすいように、唇を少し開け、目を閉じる。

 自分の中にシズクが入り込む。お互いの舌を絡ませ合い、唾液を交換する。生暖かく、少し粘着質のあるその液体は、砂糖菓子のような芳醇な甘さをもち、口内を通じ、シズクの濃厚な香りを脳内に染み渡らせる。

 カンナがシズクを感じるように、シズクもカンナをもっと感じたいと行為を強める。自身の舌で、カンナの歯を一つずつ舐め取り、カンナの内側まで把握する。

 瞳から滴り落ちる塩味の雫と相まって、カンナの甘さがより際立つ。お互いの舌で縁結びをし、わずかながらの時間で沢山のことを誓い合う。

 愛のいう行為に言葉はいらない、以心伝心の如く、お互いに誓いの楔を打ち込む。


 またお互いの酸素が無くなり、距離を離す。数秒後、再び距離を零にし、お互いを受け取り合う。

 こうして、一人では飛ぶことのできない片翼少女は、互いの翼を得て比翼少女となり、二人で世界の理から飛び立つ。



  この時の接吻は、あの物語のように確かに幸せの味がした。


しかし、運命の神はなんと残酷なことか

 カンナとシズクの営みを監視する目が二つ、看守は事の顛末をジズルドに密告する。

ただ接吻するだけの描写に、よく千文字も書けたなと自分でも驚いています。

次の話はシズクとカンナが同じ時間軸で進んでいきます、なので無色の物語 雫と、無色の物語 神無、好きな方から読んでいただいて構いません。

テイストとしては、両方とも心を壊されるのは一緒ですが、雫の方は精神的に、カンナの方は肉体的にって感じですね。

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