十九話 昼食の物語♦︎
グロや胸糞が苦手な方は、今すぐ前画面に戻り視聴の中断をお勧めします。
グロや胸糞が3度の飯より大好物な方は歓迎いたします。
あんまり得意じゃないけど続きが気になる方はこの話を飛ばして二十話を読んでください。できるだけこの話を読まなくても理解できるように作ります。
「ふむ、やはり鹿肉は雑味がなくていい」
昨日と同じ部屋に連れて来られたカンナが目にしたのは、豪華な椅子に座り美味そうに食事を頬張るジズルドの姿だった。
目の前には贅を尽くした様な豪華な食事、カンナが今まで生きてきた中でも一度の目にしたことが無い程豪華な装飾を施された豪華な食器。ここに並ぶ食器と料理だけで1ヶ月は村中の人の食糧を賄えそうだ。
あまりの光景にカンナは呆気に取られてしまう。自分が想像していたのは、部屋に入った瞬間から天井に吊るされ、昨日と同じ拷問を受けるであろう自分の姿、それが、実際に目に映る光景は、一級品の料理を美味しそうに頬張るジズルドの姿だった、そんなあり得ない光景を見せられ唖然としているカンナにジズルドが言う
「なんだね、そんなところに立っていないでこっちに座ったらどうだい、私だけでは多くてね、君の分も用意してあるんだ」
ーーえ?
今度こそ理解できなかった。ただジズルドは食事をするだけなら理解ができた、それが何か、彼は自分を食事の席に誘った?昨日、嬉々として自分を痛めつけた彼が?カンナが自分の意志で座るろうとしないと、ジズルドは目合わせで召使たちに命令をして、カンナの手錠を外し席に座らせた
ーーえ?え?
目をぱちくりさせ、顔を左右に振り様子を伺う。相変わらず視界がとらえるのは、丁寧な作法で料理に口に運ぶジズルド、彼の側に何も言わず控える表情の無い召使、扉の前に控える剣を持った護衛の兵士。
カンナが右往左往しているうちに料理が運ばれてくる。
運ばれてきたのは先ほどジズルドが言った鹿の肉、完璧に火入れのされた肉は、もはや芸術品の領域。表面だけが香ばしく焼き上げらて、中はルビーと見紛う程の真っ赤なレア、その様子はさながら立派な樹木の断面の様。木の皮一枚剥がせば、その内に広がるのはどこまでも綺麗な景色。その一つとっても料理人の技術が透けて見えるその料理は、鹿人はともかく人間の中でも一部の選ばれた人が感受することのできる芸術の至宝。それがカンナの目前に並ぶ。
カンナはその料理の出来栄えに目を見張る事しかできない。
料理に目を奪われ、手をつけることの無いカンナを見てジズルドが催促する。
「鹿人には、鹿肉を食う習慣はないのかね?やはり同族意識でもあるか、安心したまえ、人間にも馬や熊、挙句の果てには人間まで食うどうしようもない愚か物も存在する。鹿肉は獣肉の中でも雑味が少なくて食べやすい、この料理も、今朝がた絞めた新鮮は鹿肉を屋敷のシェフが丹精込めて薪火で焼き上げたものだ、遠慮せずに頬張るといい」
鹿人自身も、自分の役割を立派に終えた騎鹿を敬意を込めて食すと言う文化は存在する、問題はどう考えても嫌な予感しかしないこの現状である、だがこれ以上料理の手をつけないとジズルドの機嫌を損ねてしまう、そんなことがあれが自分の首を刎ねられかねない、事実カンナの後ろに控える兵士たちは、それが可能だろう、カンナは最前策を探し、料理に手をつける。
丁寧にナイフで鹿肉を切り分け、フォークを使い鼻先まで料理を運ぶと、信じられない程香ばしい匂いが鼻いっぱいに広がる。鹿肉本来の雑味が少ない香りと、薪火で焼かれたことにより、表面に薪の香りが付く。人の食欲を極限まで刺激する香りにカンナは喉を鳴らし、料理に口に運ぶ。
ーーううぇ……
そしてあまりの不味さに思わず吐き気を催す。綺麗な見た目と芳しい香りからは想像もつかない程不味い、ここまで不味い料理はカンナにとって初めてだった。そもそもカンナは食べ物に付いて美味しく無いと言うことはあるけれど、不味いを言うのは初めてだった。美味しく無いと不味い、意味は似ていてもその自体は大きく異なる。美味しく無いとは、食べられることはできるが、良いものでは無いと言うこと、不味いとは、食べれられない程酷い物を言う。例えるなら、美味しく無いパンが、水分の無いパサパサのパンだとして、不味いパンとは、カビが生え人の食べれる状態ではなくなった物。
見た目はよく、香りは腹を空かせ、肉は舌で溶けるような舌触り、なのにひたすらに不味い。
カンナは思わず顔を顰めそうになるが、一歩手前で踏みとどまる。ここで出された料理を吐いたなどあれば、ジズルドの機嫌を損なうのは確実、少なくとも、目の前にジズルドはカンナが不味く感じる鹿肉を、ワインと一緒に美味しそうに頬張っている。人の感情は人それぞれ、吐き気を催しながらも出された料理を頬張るカンナに機嫌をよくしたジズルドがカンナに話しかける
「どうだ、私のシェフの腕前は、たまたま寄った港町で見つけたのだ。こんな美味い料理は今まで食べたことがなかっただろう」
「は、はい」
質問の意図を読めずにいるカンナにジズルドは質問を投げかける。
ーー今まで人間にあったことはあるか
ーー最近まで趣味はあったのか
ーー生まれた村はどんな場所なのか
ー一番好きな食べ物は何か
ーー牢屋の奴隷たちのとは何を話のか
ーーシズクとは君のとってどんな存在か
こちらを探るような質問をするときもあれば、本当に他愛の無い話をすることある。料理を食べながら、ジズルドの質問に答えるカンナだが彼の真意が読めずにいる。
急にこちらに対して友愛の感情が浮かんだのか、いや、ほかの少女たちに話を聞く限りそんなことは考えにくい。
そうこうしていくうちにカンナはとても不味い、目前の料理を必死に食べる、カンナの皿から料理が減っていくにつれて機嫌がよくなるジズルドを不思議に思いながらも目前の料理を完食する。ジズルドはカンナの皿が空になったのを見ると
「実はこの後メインディッシュが残っていてね、君もよかったら食べたまえ」
そう言って扉の奥から持って来させたのは、鹿人の少女の頭部だった。
あまりの出来事に言葉を失うカンナ、最高潮に口角を不気味に投げるジズルド、相変わらず無表有情な召使。思考が感情が停止する、これ以上は考えるなと、己の防衛機能を作動させる。見ては駄目、しかし目を閉じることはできなかった、不気味に香りたつそれに視覚を集中させると、見覚えがあった。
確かあの少女は、カンナが来た日に粗相をし、鞭で打たれ、酸で足を溶かされ、もう一人の少女につれて行かれた少女に似ていた。そう言えば今朝から彼女の姿を見ていない。カンナはずっと不思議に思っていた、重症で本来は一番看病されていなけれあばならない少女の姿が見当たらなかったのだ最初は重症だがら別室で治療されているものだと思っていたが、あの牢屋には医療器具が揃っていた、わざわざ別室でする必要がない。相方の少女は牢屋の中で見かけたのに、本人は見当たらないのが不思議だったが、ここに来て疑問が晴れる。
思考が理解に追いつく。
「お゙ゔぇぇぇぇ………」
次の瞬間、カンナは胃の内容物を盛大に嘔吐する、全てを理解した瞬間、自身の体が全力で拒否反応を示す。
カーペットの床を吐瀉物で、汚し、部屋の中には胃酸の混じった刺激臭が部屋中に満ちる。
「ゲホッ..ゲホッ」
「おやおや、お口に合わなかったのかね、全て吐いてしまうとは勿体無い」
「あ、あなたは、なんてことを….」
床に這いつくばりこちらを睨むジズルドは愉快そうな顔でカンナを見る。
「やれやれ、吐いてしまえばまた腹が空いてしまうではないか、仕方のない娘だ。メインディッシュにシェフ自慢のパイがあるのだ、どれ、私が食わしてやろう」
「いっ、いや!」
ジズルドは兵士たちの命令を下し、抵抗するカンナに手枷を嵌めさせ床に這いつくばせる。そんなカンナに、綺麗に切り分けられたミートパイが運ばれてくる。サクサクに焼かれたパイ生地と、中の鹿肉が香ばしい匂いを発するが、真実を知った後ではとても食欲など湧かない。それを見越してジズルドはカンナに手枷を嵌め兵士たちを使って、床に這いつくばらせた。
パイを持ってくるのは、エプロンに身を包む顔に無数の傷がある若者、少なくともカンナが想像するシェフとはかけ離れた姿。
「彼はジャック、屋敷一番のシェフだ、彼は人食家でね、人間を美味しく食べることに人生を捧げたいかれ野郎だ。たまたま港まちに寄った時に、兵士に捕まり処刑されそうだったのを私が見つけたのだ」
「ええ、ジズルド様には感謝してもしきれません。なんたってこの屋敷には美しい食材に事欠かないのですから」
彼はジズルドの召使の様に虚空な顔だちをしておらず、その嬉々とした表情は屋敷の主、ジズルドのそっくりだった。
「彼が調理する鹿肉は逸品だ、私もすっかり彼の作る料理にすっかり心酔してしまったよ」
「あ、あなた 人を食うのは愚か者って…..!」
「なんだ?もしかして貴様ら鹿人は自分たちのことを人だと思っていたのか、違うな、貴様らみたいな雑種は人では無い、姿が似ているだけのただの獣だ。
だが、そうだな、同族喰らいが愚か者の証であるならだ、貴様はすぐに愚か者の汚名を拝借するのであろうな」
そういうと彼は、ジャックに命じカンナに自身のパイを食べさせるように言う。無論カンナも抵抗するが、手枷を嵌められ兵士に押さえつけられた状態では大した抵抗もできない、せめて口に含まれない様に頑なに口を閉じるが、それを見越していたかのようにジャックはカンナの鼻を摘む。
それだけでカンナは生きる上で必要な空気を摂取できなくなり、口を開かずにはいられなかった。
自身の口内に、少女の肉を使ったミートパイを突っ込まれる。すぐに体が拒否反応を起こしその食べ物を外に吐き出そうとするが、次はジャックが許してくれない、彼は鼻の次に、パイの詰まった小さな口を塞ぐ。カンナの体内にまた酸素が枯渇する、死ぬか生きるかの選択を迫ままれ、カンナは吐き気に苦しみながらも口内の食べ物を飲みこむ。
食べさせられた、食べてしまった、自分と同い年くらいの同胞の少女を。あまりの嫌悪感にもう一度吐き気を催すが、ジャックが口を押さえているので、それが叶わない、口内まで上り詰めた吐瀉物を必死の思いで胃の中に戻し、やっとのことで空気を摂取する。
既にカンナの顔は、涙と、鼻水、そして鼻を伝って外へ流れ出た自身の胃酸で見るも耐えない状態となっていた。
この健気は少女に、同族喰らいの大罪を背負わせる。その背徳感にジズルドとジャックは決起した。
ジャックの方は、少女の生首に近づき、フォークで眼球を突き刺し取り出すとカンナの方へと向ける
「鮪の眼球は、一部の界隈ではご馳走だそうですよ、ならこの少女の眼球も美味かもしれませんよ」
兵士たちに無理やり眼球を咀嚼させられると、とのトロリとした食感と、噛み進めるごとにゴッリと言う歯応えのある食感を不思議に感じる余裕などカンナには無い、咀嚼して飲み込むほどプチプチと形を失う少女の一部にとてつもない懺悔の念を思い起こさせる。
ーーごめんなさい、ごめんなさい
抵抗も許されないカンナはもはや心に中で謝ることしかできない。
自分はシズクたちの元へ戻ったらどんな顔で会えばいいのだろう、今日の朝までシズクから差し出された料理を美味い美味いと食べていたこの口は、既に汚れてしまった、こんな状態で彼女になんて話せばいいのだろうか、自分を治療して面倒までにてくれたオオウメは、きっと足を焼かれた少女のことも実の妹分のように面倒を見ていたはずだ、そんな彼女に、少女は死んでしまったと告げられるだろうか、そして、今の冷たい地下牢で少女の帰りを待つ友人に、自分はどんな顔をして会えばいいのだろうか、彼女の無事を信じて祈る彼女に対して、ジズルドと一緒に彼女を食べたなどとどうして告げられよう。
しかし、そんな懺悔の念すら打ち砕くのがジズルドである。彼はカンナの前でおもむろに洋袴を脱ぎだし、カンナの前で信じられないことを言い放つ。
「酒を飲んでいたら尿意が早くて困るな、お?ここにちょうどいい便器があるではないか」
自身の耳を疑った、彼はなんと言った?顔を蒼白にさせるカンナ、吹き出すジャック。カンナの目の前で下着を脱ぎ捨て、自身の陰茎をカンナへと向けるジズルド。
人としての拒否反応、過去一番抵抗を試みるカンナを兵士たちが必死に押さえつけ、口を開けさせとうとする。必死に首を振り兵士の手から逃れるカンナだったが、ジャックの手により口内に細い針のような物を入れ込まれる。
「おっと、口を閉じるのはうやめた方がいい、あなたの口に入れたのは小さい肉用のピックです、それ以上口を閉じればあなたの頭部を貫きます」
ーー!?
カンナは口内のちくりとした感触に、即座に口を全力で開ける。
その瞬間、カンナに汚臭のする液体が浴びせられる。その塩水のような液体の一部は喉を通りカンナの体の中へと吸い込まれる。
あやゆる不快感を詰め込んだ行為に、カンナは泣くこともできなくなった。この地獄を生き延びるための解決策は“無感情“、心を殺し静かに終わりの時を待つことが、カンナにできる精一杯の抵抗だった。
その後も、ジズルドとジャックは揃いも揃ってカンナを痛めつける。
その中でもカンナにとって最も深い傷を残すことになったのは、少女の生首と接吻させられたことだった。すっかり興が乗ったジズルドとジャックは、どちらがより酷いことができるか勝負を始め、ジャックの方が、カンナと少女の死体を接吻させることを思いついた。カサカサになった彼女に唇がカンナのファーストキスになった。まだ誰にも、それこそシズクにすら開けたことのない乙女の秘所の一つを、この不快な男たちに奪われてしまった。
カンナは本で、キスとは幸せの味がすると書いてあった。が、蓋を開けて見ればどうか、幸せなどただの一寸も無く、あるのは鉄のような鈍い味が残る不快感しかない。頭蓋の後ろからピックを通し死体の舌を巧みに操るジャックに口内を蹂躙されながら、頼むからやめてくれと懇願する。
現実逃避と言う手段をとったカンナだったがこの行為にはさすがに涙を禁じ得ない。
死者への冒涜、初めてを奪われた唇、自身の心まで汚す汚泥。
この地獄が終わる頃には、あらゆる不快を詰め込まれたカンナの腹は、でっぷりと膨らんでいた。この出来事は、これからカンナに一生消えない傷を残すだろう。
既にこの時、カンナの心にははっきりと見えるほどの罅が入っていた。
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