第七話 指輪
家族から虐待を受けるウルグ・ハースだったが、ある日突然伝説の勇者として、ギルドに招待された。他の四人の勇者と共に、ウルグは真の敵を倒せるのか!
ヴォイドベースを占領して数日、毎日中の物資を調べてようやく全てを調べ終わった。
重要と言える物資は二つ。一つは次のヴォイドベースへのヒント。もう一つは異常なオーラをまとった指輪。輝く青色の宝石がはまっていた。
「なんですかね?これ。」
「うーん?青色なのにサファイアでも無さそうだし…」
「俺も宝石について調べたことがあるが、こんな種類のもの見たことがないぞ?」
「ま、とりあえずウルグ君がつけてていいよ。多分それなりの価値はあると思うよ。」
どの指に付ければいいか分からなかったので、メイスさんにつけてもらうことにした。するとニヤリと笑った後に左手の薬指にはめてきた。左手薬指ってなんかあるのか?
すると、体の中からオーラが溢れ出すようだった。それと同時に何か技を使えそうだった。
「ちょっと試し打ち。」
そこらに落ちている食べ物に「廃品処分」を発動した。するとみるみる内に燃えていき、遂には灰すらも残らなかった。
「今までは食べ物に出来なかったのに!やったー!」
そこらじゅうの物全てに発動出来るようになった。無事、強化を終えて基地に帰る途中、棚に足をぶつけた。
「………邪魔だな」
何だか自分の中の何かが消えたようだった。
ギルドに戻ると、中は夏のように暑かった。
「おいおい、ランス、エマ。なんでこんなに暑いんだよ!」
「いや、それがイズミさんと私とランスでアイス食べすぎて寒くなったんで温度調節魔法で暑くしたんですよ〜。」
「何?イズミさんが来てるのか?」
「ほら、あそこ。」
エマさんが指さす先にはギルド依頼を張り替えているイズミさんがいた。
「んぁ?んおぉ、メイスとゼノじゃねぇか。あとウルグ。もう慣れたか?」
「はい、おかげで。…あの一つ聞きたいんですが…」
「?」
「僕を勇者にしてもらう時に“ただの勇者じゃない”って言っていたと思うんです。あれって一体なんの事だったんですか?」
「!!」
そう言った瞬間、ギルドの中で緊張が走った。イズミさんは以前落ち着いた顔つきで、近くの椅子に座った。
「イズミさん…ウルグ君に言ったんですか…!?あの事…!」
「それが一番だからな。逆に何故お前らこそ伝えてやらないんだ?」
イズミさんと周りの勇者方で睨み合いが始まった。まずいことを言ってしまったかもしれない。
「あの…やっぱりいいんです。別に言わない方がいいことなら…」
「駄目だ。ウルグ。お前はまだ事の重大さを分かってない。それにお前が“どんな人物”かすら。」
「だとしても本人に言うことないでしょう!俺達の中でどうにかすればいい話だ!」
「あの、何の話なんですか?」
「ウルグ、お前はな…」
「やめろ!イズミさん!」
「ヴォイドの推薦で勇者になったんだ。」
第七話 完
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