第五話 ヴォイドベース
家族から虐待を受けるウルグ・ハースだったが、ある日突然伝説の勇者として、ギルドに招待された。他の四人の勇者と共に、ウルグは真の敵を倒せるのか!
ヴォイドとの戦いの次の日。一行は…
有り得ないほどのんびりしていた。
ギルドにやってくる戦士たちにクエストを紹介するイズミさんの姿を眺めながらガリガリ君を食べるだけの生活。(お気に入りは白いサワーだ。)
退屈しているところに、風邪が治ったメイスさんがやってきた。
「『超重要クエスト』がやってきた。それも戦士には到底難しいものだ。」
「え?なになに見せて。」
隣でガリガリ君の梨を食べていたエマさんが、メイスさんの持っているクエスト説明用紙を見に行った。俺もついて行くと、その内容はまるで仕組まれたかのようなものだった。
「ヴォイドの基地、『ヴォイドベース』に攻め込むというものだ。だが残念なことにヴォイド自体はいないらしい。幹部の討伐や、重要資料の調査が目的だ。」
「このゼノ・ブラックが行くとしよう。」
「じゃ、じゃあ俺も行きます!」
「ランスとエマはここでアイス食ってるぞ〜。」
「冬のアイスが一番だからね〜。」
ということでメイスさん、ゼノさん、俺の三人でヴォイドの基地であるヴォイドベースに向かうことに決まった。ギルド付近は結界により、温度や天候などがいい感じに固定されているが、結界から出ると極寒の地だった。大雪が降り続け、雪が腰あたりまで積もっているせいで、『簡易魔法』を使用しないと、身動きも取れないほどだ。
ちなみに『簡易魔法』とは、誰でも習得できる魔法のことで、一人一つ与えられる『個体別魔法』よりも性能は劣る。
今使用していたのは、『微熱』という、少し暖かくなる魔法だ。(これで雪を溶かしていたのだ。)
やっとの思いでヴォイドベースに着くと、その姿は意外なものだった。採掘場のように、地面から少し掘り下げられた地下に基地があった。階段から中に入っていくと、弱い部下がざっと数百名ほど居た。
「なんだァ?てめェ......」
「部外者だな!?」
「メイス、任せろ。」
そう言うとゼノさんは『暗闇』を使用して、基地内を真っ暗にした。
敵の三下が騒いでいる中でゼノさんが小声で話した。
「俺のスキルを恐れて、ヴォイドはこの基地を手放していたんだろう。このスキルを使われればヴォイドの『抹消者』は効果を発揮しない。まぁウルグ君のおかげでどちらにしろヴォイドは戦えなくなったけどね。」
奥まで辿り着いたので、ゼノさんは能力を解除した。すると数秒後背後から空手家のような装いの男が、ゼノさんの背中に飛び蹴りをかました。
「くぁっはっぁ!勇者一行、発見ん!ヴォイド様に首を持ち帰るとしようかぁっ!」
第五話 完
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