第四話 妨害
家族から虐待を受けるウルグ・ハースだったが、ある日突然伝説の勇者として、ギルドに招待された。他の四人の勇者と共に、ウルグは真の敵を倒せるのか!
メイスさんに言われた通り、俺はヴォイド・スカルを倒すように努力した。だが、それが叶うことはなかった。
能力を発動させようとして手をかざしても、ヴォイドに攻撃をすることは出来ない。
「ウルグ・ハース…フッ………ハッハッ…ハッハッハッハッハ!」
そう言うとヴォイドは狂ったように笑い続けた。そういえばこんな状況だが、今気づいたことがあった。
ランスさんの先程の氷の嵐は無効化されていない。そんな中ヴォイドが笑いを堪えて話し始めた。
「説明してあげよう。先程勇者達を記憶から消すことで、この世からも消し去るという術を使用した。それが人に対して使用する初めての体験だったんだよ。だから僕の能力は覚醒した。そんな大層なものじゃないけどね。」
そしてヴォイドが目に力を入れメイスさんを見ると、メイスさんは消えて現れてというのを何度も繰り返していた。
「僕の能力は覚醒し、『無知』から『抹消者』へと進化した!目に映る全ての物を消し去ることが出来る!まさしく最凶いや、最高になったのさぁぁ!」
ヴォイドの目はまるで宇宙を映しているような、深淵そのものであった。
「それと俺の魔法が使えないことのなんの関係があるんだ…?」
「クックック…だから面白いんだよ。僕が何もしていないのに君は魔法を使えない。君の魔法は不要な物を消す能力。そう、君はまだ僕のことを不要とすら思っていないとんだあまちゃんなんだよ!」
「!?」
勇者様達が一気にこちらを向いた。そうだ。俺はまだ心の中でヴォイドに期待している。
「当たり前だろ…不要な人間なんて!この世にいるはずないだろ!死を肯定されてたまるか!!」
ランスさんにあらかじめ貰っておいた氷の武器でヴォイドに斬りかかった。腕で止められたものの、打撲程度の痛みはあるはず、それに視界が揺れて武器を視界内に留めることは出来ないはずだ。
ヴォイドの隙をついて攻撃し続ける。だが、目を狙った攻撃は、武器を消された事で防がれた。だがそのまま手を出し続け、指で目を潰した。
「っ…ウルグ・ハアァァァス!!」
激昂したヴォイドが攻撃を繰り出そうとした瞬間、天から巫女のような服装の女が足元の岩を操って舞い降りてきた。
「誰だっ…!?」
ゼノさんが口を開いて声を出した瞬間、ゼノさんは石になって固まった。
「口を慎め、無礼者。…ヴォイド様御時間でございます。」
「ありがとう、ミシキノ…ウルグ・ハース、またどこかで会おうか。」
そう言うとミシキノと呼ばれる巫女はゼノさんにかけた魔法を解き、操っている足元の岩にヴォイドを乗せて飛んで行った。
「追うべきじゃない、ウルグ君。恐らくあの巫女の魔法は音を出した物を石化させるってところだ。そしてその岩を操る。今はまだ敵の魔法への対抗策もない。やめておきな。」
ランスさんの忠告により、一旦全員はギルドに戻ってイズミさんの回復魔法によって回復した。
ヴォイドとの戦に向けて…
第四話 完
この作品が面白いと思ったら是非★やブックマーク、コメントなどお願いします。
また、他の連載作品などもお願いします。