第十一話 紅の指輪
家族から虐待を受けるウルグ・ハースだったが、ある日突然伝説の勇者として、ギルドに招待された。他の四人の勇者と共に、ウルグは真の敵を倒せるのか!
指輪をはめるたと同時に、サイクロプスも攻撃をしてきた。それも、物理攻撃ではなく、召喚術であった。
サイクロプスは『召喚』をすると、自身の子分を大量に呼び出した。その内の二匹が、サイクロプスに飛ばされて気絶した蟲羴猋の足と腕を持って運んでいた。
「なんて持ち方してんだ!」
そんなツッコミはさておき、目の前のサイクロプスの子分を見た。子分はそこらの木などに噛みつき、歯で簡単な棍棒を作っていた。
【キギャアッ!!】
子分が、奇妙な雄叫びを上げながら襲いかかってきた。その時、反発的に近づいてきた子分の腹に触れてしまった。
すると突然子分の体が、触れた部分から灰になって消えてしまった。
「な…なんだこれ…?」
他の子分が怖がって自分から離れた。なんだよ?何が怖いんだ?というか、自分から離れた、と言うよりもこの指輪から離れたようだった。
指輪を子分に近づけると、スッと離れていく。先程まで血の気の多かった子分たちが別の生物になったかのように、ビクビクと震えていた。
「これが『廃品処理』の第二の能力…?」
第一の能力『無生物の処理』、第二の能力『人外の処理』。指輪が自分に力をくれた。そう思うと自分がなんでも出来るかのように思えてきた。
ランスさんとエマさんも、子分に苦戦している。そんな中暇そうにしているサイクロプスに対して俺は叫んだ。
「サイクロプス!!」
【…ゥン?】
鼻から人差し指を出しサイクロプスは立ち上がった。先程火傷した足が痛むらしく、片足に重心を乗せて立ち上がっていた。
だがそんなことはどうでもいい。さっさと能力を試したいという気持ちでいっぱいだった。
「ウルグ君!何か作戦はあるのか!?」
そうランスが質問するも、ウルグは何も答えなかった。ランスはそんなウルグに少し恐怖を感じた。
一方のウルグは、サイクロプスの膝に触れて、先程のようにボロボロと足を崩していった。異常に気がついたサイクロプスが少し離れようとしたが、気がついた時には足は使い物にならなく、倒れた。そんなサイクロプスの顔面に向かってウルグは走り出し、鼻部分に触れた。
「死ね、サイクロプス!」
笑みを浮かべながらウルグはサイクロプスの頭部を崩した。流れる血液すらも灰に変わって、最後には灰の山になった。
「やったのか…!ウルグ君!」
そうして怪我を負いつつも全員、命は無事でギルドに戻ることが出来た。手当を受けてまた次の戦いに備えることが出来たのだった…
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