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犬の福子

作者: 有里佳

     福子は可愛がられていましたが、自由を求めたのです。

 昔、一人のおじいさんが犬の太郎と、仲良く暮らしていました。

ある日、おじいさんが畑を耕し大根の種をまいていると、

うす汚れやせ細って悲しい目をした犬が一匹とぼとぼさまよい歩いてきました。

可哀そうになっておじいさんは家に連れて帰り、餌と水を与えて寝床も用意して、

「福子」と名前をつけて一緒に暮らすことにしました。


 一緒に暮らしてしばらく経つと、痩せていた福子が見栄え良い身体になってきましたが、太郎がだんだんやせてきました。

畑仕事が一段落したある日、おじいさんは二匹の犬に餌と水を与え、のんびり二匹を見守っていました。

食べ物をよく噛んでゆっくり食べる太郎、福子は飲むようにさっさと食べ、それから太郎の餌を半分あっという間に食べてしまいました。

おじいさんは太郎のどんぶりに餌を継ぎ足してやりました。

 翌日、二匹に餌をやり水をくんで持っていくと、福子が太郎のどんぶりに口を入れ、あっという間に太郎の餌を食べてしまいました。

おじいさんが太郎のどんぶりに餌を入れたら、すぐに福子が餌をほおばったので驚いたおじいさんが「これは太郎のごはんだよ」と言うと、福子はつまらないという目をして自分の犬小屋の前に行き、太郎が食べる様子をじっと見ているのでした。

福子が元気になったのに太郎がしょぼんと元気がないわけを考え、おじいさんは福子を家から追い出してしまいました。


 福子は畑と畑の道を過ぎて、田んぼと田んぼの間の道を歩いて、隣町の大きな家の門前で一休みしているうちにうとうとして眠ってしまいました。

目がさめて広くてきれいなお庭に入りあたりを見ていると、家の中からきれいな服を着た婦人がでてきて、「こちらにきて」と、厚切りハムのかたまりを門前で見せて福子を呼びました。

「これを食べて元気をだして早く他所へ行ってちょうだい」

福子が厚切りハムをくわえると婦人は福子を門の外に出し、いそいそと門を閉めてしまいました。

 「ウーワン、ワン、ワンウー」怖い大声で吠えられ、福子が驚いて振り向くと身体の大きな犬が福子にとびかかろうとしました。福子は驚いてハムを落として走り逃げました。

ハムのかたまりは怖い犬が食べ、老婦人が犬のリードに引っ張られ引きずられながら行ってしまいました。福子は今日は運が悪いとなげきました。


 その後福子は、おなかが空いて町をウロウロしているところを男の人に繋がれ、保健所の人が来て、半年前に届け出のあった迷子犬とわかり、飼い主の元に帰りました。

車に乗せてお買い物に連れて行ったら、駐車場から逃げてしまったそうでした。



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