蛙の田中(仮)の人生
田中(仮)は、「井の中の蛙になりたくない!」と言って出ていった池田さん(仮)の後を追って、隣の田んぼに行こうか迷いますが…
さて。考えれば考えるほど、私の人生(?)ってつまらなかったんだと痛感しています、はい。
数多の兄弟姉妹とともに産まれ、危険をかいくぐってきたものの、危険はあちら側からしかやって来ない事に気づきました。
朝日と共に土に潜り、夕日に照らされながら起床。
食事(主に虫(人間はそう呼んでいる)たまに小魚(人間は…略))をし、仲間と共に合唱し、朝日と共にまた眠る…
なんと安穏とした1日でしょうか。
「田中(仮)よ、それでいいのか?」と叫ぶ、池田さん(仮)の声が聞こえる気がします。
巷では「他の田には、美女(美蛙)がいる」とも言いますし、ここらで一肌脱ぐ(脱皮はしない)必要が…
あるかもしれませんが、危険です…
あぁ、私はどうしたら…
悩んでいるところに、私の田んぼ随一の美女(美蛙?)である、美田さん(仮)が跳ねてきました。
「ねぇ、田中さん(仮)?私…田中さん(仮)となら、番になってもいいわよ…?」
あぁ、なんて事を言うのでしょう…このアマ蛙は…(アマ…?)
私の一念発起を、甘い誘惑で誘います。
美田さん(仮)は、確かに美女(美蛙)です。
ふくよかな身体つき、足腰が強く、一目で「遺伝子が強い」と感じさせます…
あ、実は私も中々の遺伝子の持ち主でして、田んぼアワードに輝くほどのイケメン(イケ蛙)なんです、はい。
この世に生を受けてから、まだ日は浅いのですが、「番になりたいイケメン(イケ蛙)No.2」の座も、私の田んぼでは獲得してまして…(No.1は10m先の縄張りの剛田さん(仮)です。)
「ねぇ、田中さん(仮)、私の話、聞いてる?」
あぁ、美田さん(仮)を放置しておりました…
確かに、美田さん(仮)は素敵です。
彼女と番になったら、田んぼアワードどころか、「番になりたいイケメン(イケ蛙)」を獲得する我が子もでるでしょう。
「幸せな番アワード」も受賞するかもしれません。
しかし…池田さん(仮)の「井の中の蛙」が頭をよぎります…
あぁ、私はどうしたら…
お読みいただきありがとうございます。
さて、池田さん(仮)を追うか迷っていた田中(仮)ですが、美女(美蛙)の出現で、揺れ動いております。
私自身もよくわからない展開になってきましたが、田中(仮)はどうするのか?
お楽しみ(?)に!