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種の勇者の異世界転生  作者: カエル♂
第一章「発芽」
3/11

3,神のいたずら

「リーゼちゃん!ようやく見つかったのよ!代わりの人!


わたくしもびっくりしたわ、まさかあの風がわたくしを救っていくださるとは!キセルに送る地球人は西岡博に決定よ!」

「はー?聞いてないですよ!消滅の手続きしていたんじゃないですか?ってか、風って、まさか大神様の?」

「そうよ!きっと大神様が認めてくれたんだわ!」


―説明しよう


女神ヒノカミは感傷に浸っている。新世界“キセル”への地球人選別が完了したからである。

しかし、彼女を喜ばせているのはより大きな理由があった。

彼女が言う“あの風”というのは大神様太陽の神のため息のことである。

その風を浴びた神は現在進行中のものごとが大成するという言い伝えが神界にはある。

女神ヒノカミが喜ぶのも無理はない。


実際、世界創造は大神様太陽の神のみが行うという暗黙のルールがある。

女神ヒノカミはその暗黙ルールを破り、新世界を創造してしまったのだ。

この件で神界中で物議をかもしたのは言うまでもない。


最悪の場合罪に問われる可能性すらあった。

しかし今回大神様太陽の神のため息が吹いたことで状況が大きく変わった。

これはつまり、太陽の神がヒノカミの行動を容認したことに変わりない。

これにより女神ヒノカミの新世界創造が名実ともに認められたことになる。

この一件は神界に大きな衝撃を与えた。

そして新世界“キセル”にも神話として伝わることとなる。―




「ところで、きのう言っていた人って誰ですか?目を離したすきに死んでいたって言っていましたけど。あれって西岡さんのことですか?」

「ああ、あれは地球のことではないわ。死んじゃったのよ、キセルで。」

「誰が死んじゃったんですか?」

「人じゃないわ。あえて言うなら、そうね、木よ。」

「木?」

「そう、世界樹」

「世界樹!?あんた世界樹枯らしたんですか?」

「そうよ。」

「あんた、これで3回目ですよ?大神様にどう説明するつもりですか?」

「あんたあんたって、いちいちうるさいわね。大丈夫よ、今までの2回はちゃんと蘇生できたもの。」

「まあヒノカミ様は人を見る目だけはありますからね。選別された西岡さんも世界樹の素質があるんでしょうね」

「そのとおりだわ。彼はすごいわ。世界樹の一生を終えたら神々の末端に加えるのも検討しているわ」

「そんなすごい方だったなんて。私もうかうかしていられませんね」

「ま、雑談はこれくらいにして、そろそろ西岡さんを転生させようかしら。



何か思い詰めているような顔ね。物思いにふける時間があったら早くこっちの世界に来てちょうだい。」


―転生の儀式が始まった。

神々が見守る中、転生の魔法陣が組みあがっていく。

女神ヒノカミの魔術は神々の中でも一目置かれるものである。彼女は魔術に関して大神様も惚れ惚れするほどの実力の持ち主である。

世界樹の宿主になるにはそれ相応の代償が必要である。

女神ヒノカミはその代償として西岡の記憶を差し出した。まず、神界に地球から西岡の魂が贈られる。

その場であらゆる不純物が取り除かれる。

魂はその後、神界からキセルに送られる。

地球の時間軸でいうところの5時間ほどで儀式は終わる。―



―西岡博さん、あなたはこれから新世界“キセル”の世界樹に転生をしてもらいます。

安心してください、すぐに終わります―


頭に直接語り掛けるその声を俺は知らない。

おい!どうなっているんだ。世界樹ってなんだよ!


驚くことに出そうとしても声が出ない。

周りで光っていた光の粒たちが次第に大きく、明るく輝きだした。

おいおい、どうなってやがる。

体が熱くなっていく。太陽のすぐそばで日光浴をしているような感覚だ。

脳みそがぐわんぐわんと音を立てて回っている。


ボーっという声と甲高い音が耳の奥に勢いよく入ってくる。

もうだめだ、耐えられ…。

意識が遠のいていく。



静寂で目が覚めた。

声?

人がいるのか!

おーい、おーい、おー・・・


「あのう、すみません、リーゼです。」

リーゼ?聞いたことがない名前だな

「女神ヒノカミからの伝言を預かっていまして、そのぉ…。」

なんだ?この声はいったいどこから・・・


「直ちに、世界樹を探す旅に出よ、、、と。」



は?



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