表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/106

第42話

「うおおお、本物のDora-Oji!

 KeyfaにKanaもKawaiiのだ!!」


 ぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねるタリアと名乗った少女。

 背中には大きなブーメランを背負い、防具らしき革製の胸当てをしているところから、探索者だと思われる。


「にしし! 後でSign下さい!」


 愛嬌のある童顔から幼く見えるが、スタイルは良くカナと同じくらいの年齢だろう。

 黒いショートパンツからすらりと伸びる脚が眩しい。


「ああ、そんなのいくらでも書くぜ」


「キーファも書く!」


「わ、わたしも……(またまたライバル出現!?)」


「わお! ありがとうなのだ!!」


 俺たちが彼女のブーメランにサインをしてやると、もっと飛び跳ねて喜ぶタリア。

 サインのしがいがある子だ。


「……紹介が遅れましたね」


 元気いっぱいなタリアの様子に笑顔の桜下さん。


「彼女の名前はタリア・レヌルス。

 この島に住む部族のおさの娘で……UGランクダンジョン探索の案内役になります」


「そして……Kentoたちの大ファン!!

 会えてうれしいよ~っ!!」


 ぴょん!


「「「わわわっ!?」」」


 感極まって飛びついてきたタリアを、慌てて受け止める俺たちなのだった。



 ***  ***


「……ということで、目的のダンジョン仮称:UG-0001は、本島から10㎞程離れた小島に出現しました」


 ヴンッ


「おお~」


 スノウデルさんから事前に情報は貰っていたが、先遣隊が周辺調査を進めていたらしい。

 島の詳細な立体映像をテレビに映してくれる桜下さん。


「おっきい!」


 映像を見て、歓声を上げるキーファ。


「こ、これは特徴的な見た目だね、ケントおにいちゃん」


「だな……」


 カナの言葉に100%同意する。


 島自体は周囲1㎞ほどの大きさだろう。

 だが、その中央部には高さ数十~数百メートルはある巨大な石柱群が螺旋階段のようにそびえたっている。


「げーむの世界みたいだね、ぱぱ」


「ああ!

 ダンジョンはここか……?」


 石柱群の中腹に、ぽっかりとダンジョンの入り口が開いている。


「通常、ダンジョンは地表より下に出現する事が多く、今回のように山の中腹に出現するタイプは非常に珍しいです」


「濃度の高いマナは空気より重く、地下に溜まりやすいから……という説が有力なんですよね」


「ふふ、さすがカナさん」


「へ~」


「ほへ~、ぱぱ、勉強になるね!」


「だな、さすカナ!!」


「いやいや、けっこー常識ですよ?」


 ぺしん


 相変わらずな俺たちの反応に、思わずツッコミを入れるカナ。


「……この島は、タリアたちの部族の聖地。

 長老たちの中には邪悪なダンジョンを消し去れ、という人もいるけど……タリア、このダンジョンは部族のみんなの役に立つと思うのだ!」


 にぱっと笑うタリア。


「なるほど」


 今やダンジョン探索は世界的な一大産業だ。

 魅力的な素材が採取できるダンジョンが出現したとなれば、探索者も集まるし素材の取引代金の一部は地域に還元されるルールもある。


「超高ランクのダンジョンが存在すると、観光客の足が鈍りますからね。

 オーストラリアのダンジョン協会は、地域振興も兼ねて沢山の探索者を呼び込みたいようです」


 桜下さんがテレビを地元の放送局に切り替える。


『……レヌール島に出現したUGランクダンジョンに対し、国際的な調査団が派遣されることになりました。

 世界各国から、次々と著名な探索者が到着しています!』


 テレビの映像は、本島の港に切り替わる。


『あっ!! いま降りてきたのは、SNSのトレンドを席巻……わが国でもファンを増やし続けているDora-OjiことKento Ohyaですっ!!』


 おおおおっ!


 俺がスノウデルさんと握手をするシーンが大写しになる。


『サウザンドのスノウデルも認めるその実力……さっそくインタビューしてみましょう!!

 Mr.Ohya!! 今回のUGダンジョン、何日で攻略できると思いますか?』


 ビッ


 カメラの前で、Vサインをする俺。

 ……これってこんなことを聞いてたのか。

 上手く聞き取れなかったから、とっさに適当なポーズを取っちゃったぜ。


『ふ、二日!? 僅か二日での攻略宣言です!!』


『キーファのぱぱはスゴイんだから!』

『ケントおにぃ……ケントさんなら当然です!』


『日本トップクラスの探索者、Kana Hijouも認めるその実力!

 島全体が熱く盛り上がっています!!』


 わああああああっ


 歓声を上げる住民たち。


 本島のあちらこちらには俺とキーファ、カナのポスターが貼られ、土産物屋で公式グッズが売られる様子が映る。


「……マジか、こんなことになってんのか」


「キーファたち、大人気だね!!」


「は、恥ずかしい……」


「Dora-Ojiなら当然なのだ!」


 誇らしげに胸を張るタリア。


「せっかくなので、本島に行ってみます?」


 桜下さんの言葉に従い本島にメシを食いに行った俺たちは、沢山のファンに囲まれる事になるのだった。


 ……もちろん、ダンジョンポイントを貰えるようアピールした。

 オージー産のダンジョンポイント、うまうまだったぜ!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版1巻の立ち読みができるようになっています! エモエモなケントとキーファの挿絵も見れますのでぜひっ!
https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=9784824009722&vid=&cat=NVL&swrd=
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ