第二話
俺は八雲澄香の後方へ視線を向けると、小柄なそして人とは異なる肌色の生物が立っていた。
青白く光る肌、頭頂部から突き出た皿のようなもの、そして手足には鋭い爪が生えている。間違いなくそれは河童だった。
「おい、こいつが悪さをしているって奴か?」
俺は八雲澄香に確認する。
「その通り。名前は肌が青いから青ブルマだ。こいつが最近の怪事件を引き起こしている張本人だ。ただし、普通の河童とは少々違うようでな。格闘技にも精通しているらしいから油断は禁物だ」
「なるほど、面白そうだな」
と言葉にするも顔に表情はださず俺はキックボクシングのオーソドックスと呼ばれる利き足を一歩分後ろに引いた構えを取った。
青ブルマは俺を見据え、鋭い目つきで笑みを浮かべる。
「人間、俺を倒せるか?」
俺は無言で軽いフットワークで間合いをつめる、まずはジャブを繰り出す。
だが青ブルマは素早く反応し、俺の手首を掴んで投げ飛ばそうとした。
しかし、俺はそれに反応し投げの力がかかり切る前に強引に引き抜く。
「なかなかやるじゃないか」
と青ブルマが言う。
俺はそれに答えず、次に肘打ちを狙ったが、青ブルマは身をかわし、俺の背後に回り込む。
そこで俺は素早く足払いを仕掛けるも、青ブルマはその動きを読んでいたかのように跳躍し、俺の頭上から降りてきた。
俺はその勢いを受けて転がりながら立ち上がり、次は組み技を試みる。
青ブルマの体は確かに人間とは異なり、筋肉の配置や骨格も違う感触があった。
しかし、俺はその違いを感じ取ることで次の一手を読む。
青ブルマの動きを封じるように体を沈め、腰をひねって青ブルマを地面に叩きつけた。
「ぐっ」と青ブルマが呻くが、すぐに立ち上がる。
その瞬間、俺は一気に距離を詰め、連続の突きと蹴りを繰り出す。
しかし、青ブルマもまた格闘技の達人らしく、俺の攻撃を次々と受け止め、反撃に出る。
「この程度か?」と青ブルマが嘲笑うが、俺はそれに答えず、再度の組み技に移行。
青ブルマの動きを封じるために首に腕を回し、絞め技を試みる。
しかし、青ブルマはその腕を掴み、自分の力で俺を引き寄せ、頭突きを食らわせた。
痛みに顔をしかめながらも、俺はすぐに体勢を立て直し、青ブルマの動きを読む。
そして、青ブルマが再び攻撃を仕掛けてくる瞬間を見計らい、体重をかけてタックルを決めた。青ブルマはその衝撃で後ろに吹っ飛び、地面に倒れる。
「まだまだだ」と青ブルマが立ち上がるが、俺は青ブルマの態勢がととのいきらない隙を突いて、連続のジャブを浴びせる。
青ブルマの動きが鈍ったところで、俺は全力の前蹴りを鳩尾へと繰り出した。青ブルマはそれを受けてようやく倒れ、動かなくなった。
「やるな」と八雲澄香が感心したように言う。
「時給の話だが、もちろん出る。君の実力には大満足だ。今日から正式に雇おう」
俺は息を整えながら、「悪くないアルバイトだな」と答えた。
そして、この不可思議な世界での新たな生活が始まる予感を感じていた。
「ちなみにだが今の青ブルマが1番厄介な奴で暴れてる河童がもう3体ほどいるから探し出して全てトラウマが残るレベルでボコボコだ。」
「やっぱり悪いアルバイトだったか…?」