季節は簡単に引けるが、足すのはとても難しい
白と黒。
光と影。
なんにでも二面性があるように、春もまた陽気な季節という単純なものではないですよね。
メンタルがやられがち。歳を重ねるごとに春の闇を実感します。
皆さんはどうですか? 体調は大丈夫ですか?
自分は不調を感じつつも、のらりくらりと日常の波に揺られ、たまの強波に跳ね上がったり少し沈んだりしています。
現在(2023/05/02)更新している『薫風の一輪草』も舞台は春。
書いている間(冬)にずっと思っていたことがあるのですが
【季節】というものは、なかなか想像を超えてこないものですね。
春夏秋冬。イメージカラーもあるほどの個性的な区切り。
逆に凝り固まってしまったものでもあるということです。
ここからタイトルにもなっている本題に入りますが、
『季節は簡単に引けるが、足すのはとても難しい』ということに触れていきたいと思います。
春を奪われ、ずっと冬の世界。
なんともよく聞く設定ですよね。
古くから伝わるおとぎ話から現在のアニメまで、世代どころか時代を超えて使われているものです。
夏でも秋でも、季節を奪われるというのは設定も広げやすく使いやすいと思っています。
奪ったのは誰かと考えると悪役が生まれますし、季節という個性はわかりやすく読者に伝わります。
季節によってキャラクターを考えると、名前や性格など反映されていきますし、個々の物語に対する関係もおぼろげに思い浮かんでくると思います。
真っ白な物語が動き出す瞬間です。
ここで冒頭の『二面性』という言葉に戻ります。
動き出すということは――止まる。そもそも動いてないということもありえるのです。
先程は季節を引きましたが、今度は足してみましょう。
少しだけ考えてください。
春夏秋冬の間に入ろうとする図々しい季節です。
さて、なにを足しましたか?
自分はなにも足せませんでした。
いくら考えても、どれかの季節に引っ張られてしまいます。
そして、思い浮かんだいくつかの言葉は『晩夏』や『初春』など、既に絶妙な言葉のチョイスと繊細な季節の動きを合わせた言葉が存在しているのです。
小説は書くより考える時間が楽しいものですが、考えるだけ無駄なこともたくさんあります。
ここから少し話を現実的に壮大にします。
足す引くという話は、ブームというものにも関係しています。
現在流行っているジャンルというのは、最初に引いてから徐々に足されていく(満たされていく)という転生・チートといったものが多く目に付くようになりましたよね。
人間は基本的に満たされていないものを選ぶものですから、そう考えると流行りの裏にある闇は徐々に広がっているように思えますね。
これもブームの二面性。
広がる闇と言えば。おや……聞き覚えがあるワードですね。
自分の書いてる小説は――闇に呑まれるという現象を光で晴らすという――ファンタジー小説でして――
なんて宣伝でこの話題を締める下心もまた二面性。