表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

悪の組織は何するの?

 早速心が折れかける俺……ん?


 俺だが、所属し給料が貰えるならば、精一杯頑張る所存だ。


 いや、やっぱり手を抜くかも。


「いいか、ちびっ子共。悪の組織はこれまでの凝り固まった思考を吹き飛ばすための組織だ」


 すると、バルドさんはある端末を取り出す。


「と言っても俺が説明するには限界がある。何をするかは大体これに載ってる」


 そう言って動画が再生された。


『初めまして、悪の組織へようこそ』

「あ、ルナさん」


 画面にはルナさんが映り込む。


「賢さ、それと画面映りもいいという理由で一発採用だった」


 バルドさんが横から説明をくれる。


「凄いですね」

「ああ。ルナ様はあの方の娘であり、俺たちのアイドルみたいなもんだからな」

「ルナさんなら世界のアイドルでも目指せそうですけどね」

「違ぇねぇ」


 バルドさんは嬉しそうに笑い、後ろで酒を飲み始めた。


『私達悪の組織は、これまでの制度、環境、世界に対して不満を持った人が集まります』

「あ」


 画面が切り替わる。


 ルナさんの顔が映らないのは少し残念だ。


『私達は世界中を飛び回り、貧困の国や、機械が無く、多くの自然災害が起きてる土地の解決を目指します』


 ここだけ聞くと完全に正義の味方って感じだ。


『そして私達はそれと同時に、世界に仇なす者でもあります。政治家達の汚職による行動の遅れや、表向きでは取り締まれない犯罪集団などの撃退などを行います』


 ……そうなってくると


『そうなってくると当然、国は私達に対して抑止力を行使してきます。それが』


 切り替わる。


『私達が正義の味方と呼ぶ組織です』


 画面にはカレンさんの姿。


『奴らは今のままの平和で満足し、このままゆっくりと平和を目指していくという考えですが、それでは遅すぎます』


 最後の方に、少しだけルナさんの言葉尻が強くなった気がした。


『正義の味方と接触した際は速やかに撤退、もしくは戦闘を行い撃退して下さい。ご安心を、向こうも私達と同じく半分不死身ですので、殺す気で行って下さい』


 ルナさんはニッコリと笑うが、そこには愛らしさなどは一ミリも存在しなかった。


『それでは、細かい指示は各部隊の責任者にお聞きください』


 そして画面は消えた。


「ま、なんとなく分かったか?」

「はい」


 少し顔が赤くなってるバルドさんが端末を回収する。


 ちょっと欲しかった。


「ん?あー、お前も俺くらいになれば自然と貰えるさ」

「そうですかね?」


 バルドさんは俺らの前に立ち


「俺らの仕事はさっきも言ったが戦闘だ。奴らにアジトを攻められた時や、道端で見つかった奴らの援護に入り、足止め、または撃退する」


 なるほど。


 だけど


「やっぱりどうして俺がこのチームに?」


 二人はどう考えても強いだろう。


 そんな中に適合率50%の俺がいても足手まといでは?


「お前には二つの役割がある。一つはこの二人の世話係だ。知っての通りここの連中にまともなのはいない。出来るだけ見てやってくれ」


 心の問題ってことか。


 二人を見る:


 片方はどこか諦めたような目。


 もう片方はまるで心が過去に囚われてしまってるような。


「俺の精一杯を」

「いい心掛けだ」


 肩を叩かれる。


「俺は歳を食い過ぎた。若いもんは若いもんでつるむ方がいい」


 小さく耳元で伝えられた。


「ガッハッハ、それでもう一つだが」

「うるさ!!」


 つい本音が出る。


「お前はルナ様の隣に立つんだろ?なら、チンケな場所で足踏みしてる暇はねぇだろ?」

「全く」


 この人は


「やってやりますよ」

「は!!いい目だ餓鬼」


 バルドさんは奥の扉を指す。


「早速訓練だ。ビビって漏らすなよ」

「大丈夫です。トイレにはもう行きました」


 こうして俺は初めてこの不思議な力を体験することになる。


 ーーーーーーー


「welcome hell」

「すげー」


 そこは一面に広がるコロッセオのような情景。


「地下にこんなのがあるなんて、なんかまだ現実って気がしません」

「俺も最初はそうだったが、まぁ人間どんなものでもすぐ慣れる」


 バルドさんは中央に進む。


「実際はここも闇の力で作られている。これは本当に幅広ぇ」


 ブワンと音を立て、バルドさんの手に斧のような物が出てくる。


「何ですか!!今の!!」

「闇の力の一つだ。頭の中で想像した武器がそのまんま形となる。まぁお前らもやってみろ。才能が有れば一発だ」


 なんか今までは現実味が湧かなかったが、こうして見ると本当に俺は不思議な世界に来たんだな。


「えーと、とりあえずやってみよーー」


 隣を見る。


 花ちゃんが小さなナイフを握りしめていた。


「ほぉ、やっぱり適合率が高いと才能もスゲェんだな」


 バルドさんも関心の声を上げる。


 その目線は花ちゃんと


「獅子王君も?」

「出来たみたいです」


 手には禍々しい見た目をした日本刀。


「ハッハッハ、おい陸。このままじゃ年下共に舐められるぞ」

「なんかもう舐められた方が早い気がしますけど」


 俺はため息を吐き、頭の中で想像する。


 武器か……


 生まれてこの方戦いに出ることなんて想像もしたことが無かったからな。


 うーん


 真っ暗な頭の中を覗いていると


「ん?」


 光


「神秘的だなぁ」


 なんてバカなことを考えてると


「武ーー」


 光の奥から飛んできた何かによって俺の頭は斬り裂かれた。


「な……んだ……」


 汗が止まらない。


 痛みはないが、妙なリアリティをはらんでいた。


 バルドさんに肩を叩かれ、落ち着きを取り戻す。


「惜しかったな。一瞬何かが出来そうだったんだが、まぁ才能がないわけじゃない。普通って感じだな」

「そ、そうですか」


 なんかここに来て普通ばっか連呼されてる気がする。


「まぁ最初から出来る方が異常だ。まずは自分の力を確かめる訓練からだ。まずはこれの練習だ」


 バルドさんの手に黒い物体が浮かぶ。


 カレンさんの光のやつの闇版かな?


「これは基礎中の基礎、『夜光』ってんだ」


 なんか悪の組織と正義の味方が混じったような名前だな。


「これはあの方とカレンとかいうゲボが一緒にいた頃に考えたものだそうだ」


 なるほど。


 通りでというものと、思ったより険悪な関係なんだな。


「これのやり方は簡単だ。胸の中にある変な感じを手にガッ!!とすれば出来る」


 あっ(察し)


 とりあえず俺も試そうとする。


 だけどその前に


「やっぱり」


 隣の花ちゃんはメチャクチャデカい闇の塊を作り上げていた。


「し、獅子王君凄いね」

「どうも」


 獅子王君のは大きくはないが、何故か獣のような形を成し、周りの地面を食い破っている。


「バルドさん」

「なんだ」

「心が折れそうです」

「大丈夫だ。唾つけとけば治る」


 泣く泣く俺は自分に目を向ける。


 胸の方に意識を集中する


(なんか嫌な予感が)


 胸が一瞬熱くなるが、それはすぐに右手に移動し


「おお!!」


 俺の右手に僅かな黒い……


「黒いかな?これ」

「こんな色は俺も初めて見るな」


 バルドさんが不思議そうに眺める。


 俺の右手には透明の球体が浮かんでいた。


「闇の力でも光の力でもこんなの見たことねぇ。もしかしたら新しい何かかもな」


 バルドさんは何か納得するように


「俺みたいなバカが考えてもしょうがねぇ。今度向こうの連中に聞いとくか」


 そう言って少し携帯を触った後


「おし、取り敢えず今日はそれを長く出し続けるのが課題だ。俺はちょっと飲みに行ってくる。帰りたくなったらいつでも帰っていいからな」


 そう言ってバルドさんは不似合いなスキップを踏んで外に出た。


「えっと、獅子王君はどうする?」

「僕はこのまま続けます」

「そっかー、じゃあ花ちゃんは?」

「……」


 無言で黒い物体を眺めている。


「そうだよねー」


 俺は自分が色んな意味で場違いじゃないかと思いながら、透明な球体を出し続けた。


 ーーーーーーー


 何時間経っただろうか。


「キツイなこれ」


 俺は汗だくで倒れていた。


 最初はなんともなかったが、徐々に体力が奪われていき、集中力が散漫、結果俺は一瞬気を失ってしまった。


「二人は凄いな」


 獅子王君は最初暴れるあれを制御するのに苦労していたが、今では自身の手足のように地面を掘ったり、砂で高い塔を作ったりと凄まじい成長を見せていた。


 花ちゃんの方は黒い物体がドンドン大きくなり、今では明るかった天井?が暗く染まっている。


 それに二人とも汗を流してはいるが、まだまだいけるといった様子。


「やっぱ俺才能ないのかもなー」


 少し心が寂しくなる。


 別にこれくらいで辞めようとは思わないが、なんか純粋に気分が滅入る。


「はぁ」


 大きなため息を吐く。


 ピタリ


「冷た!!」


 突然頬に冷気


「お疲れ様」


 俺の横には天使が立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ