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プリオシン海岸  作者: 莉猫。
2/4

白い毒

私はきっと透明なのね

曇り空に照らされた遊歩道を

歩いていても誰も気付いてくれない



黒いダウンジャケット ベージュのコート

この街に住んでいるのか

分からない人が次々通り過ぎる



寒空から音楽が聴こえてきて

ふと見ると路上ライブをするグループが

大勢に囲まれて歌ってた


そこそこ聴いてくれる人がいるようだ



にこにこにこにこしてお辞儀する

ほんの少しほめられただけで

最初は嬉しかったんだ



ひとたび演奏すると「凄いですね」と言われ

納得の行かないものを見てくれる人もいた



もっと頑張ってやろうと思って偉大な演奏家を夢見た

名の知れ渡った作曲者に振り向いてもらいたかった


それなのに何処で間違えた




何もかも信じられん

誰にも頼れず

誰も信じられやしない



昨日の自分と戦ったつもりでいたが

結局はなんだ、ああ数じゃないか



頑張っても数字が命じゃないか

媚び売って手に入れた

数字が価値だと笑わせる



普通に生きるだけでも

難しいだなんて

知りたくなかったんだ


いや知りたくなかったのはきっと







ほら三千円上げるから話聞いてくれよ 

私の事聞いてくれ

酔っ払いの武勇伝だぞ

今なら全部曝け出してやる


私の苦しみを受け止めておくれ



音楽だ芸術だ余裕がない

相手のことを思いやる余裕がない

そんな善良な生き物になれっこない


悲しみを昇華させる技量がない

僻みや劣等感と同居している

大した成果もないのに

夢は少年漫画の主人公のように膨らんで

いつの間にかまた同じ場所に立っている



拍手喝采だ

鶴の一声で大逆転だ

俺の花は一番大きく咲くんだ



そうしている間にも

天地を揺るがす天才は

今芽吹いている


天才の俺が流す血は赤いが

他の者が流す血はどこか黒いと

本気で思っている


そんなのがモチベーションでも

表に出せば批判一直線だが

少なからず持っているのだ




命を削ると言うけど

そのまんま

白い毒を削っている



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