初デートはじまります
前回のあらすじ:デートの準備をしました。
十一時二十分、約束の十分前に到着。早くも遅くもなくちょうどいい時間だろう。
改札を出るとそこには虹村くんがいた。
「ごめん。待った?」
「いや、まだ十分前だし。早めに来るのが癖になってるんだよね」
「たしかに学校にも早く来てるよね」
「そうそう。ギリギリだと落ち着かなくて」
どうやら早く来るのは平常運転らしい。服を見ても普通の私服って感じだ。特に意識はされていないと見ていいだろう。
「堂島さん、ボーイッシュな感じの服似合ってるね。女の子って感じのイメージだから意外だったけど、短めの髪とあっていてすごくいいと思う」
服装を褒められた。意外なほどに反応が良くて驚いた。嬉しさとはずかしさが同時にこみ上げてくる。
「ありがとう。照れちゃうね」
「それで、お昼はどうしよう?」
少し間があり、話題が変わった。
「ゆっくりできる喫茶店とかがいいかな。いいところ知ってる?」
「ごめん。喫茶店入ることないから詳しくないんだ」
「大丈夫。昨日ちょっと調べてきたんだ。こことかどう?」
グダグダしないようにちゃんと下調べしてきた。遊び慣れてなさそうだし。スマホで検索して虹村くんに見せる。
「う、うん。そこにしよう」
返事の声が少し震えている。虹村くんの方を見てみると私の肩が虹村くんの腕にあたっていることに気がついた。スマホを見せるために無意識に移動したのだろう。かわいい。相手が緊張していると心の余裕が生まれるのか、私の方は不思議なほどに冷静だ。
「あ、ごめん。近かったね」
「いや、全然大丈夫。じゃあ行こうか」
大丈夫の意味が気になるところだ。好意的にとっていいのかな?でも、さっきの反応からして異性として意識してもらえているみたいで嬉しい。
喫茶店に向かって歩き出す。まだまだデートは始まったばかりだ。精一杯楽しむぞ。