表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆうかアプローチ  作者: 旭流遊
アプローチ3:○○○○
41/43

結論と言い訳

前回のあらすじ:下着選びを振り返りました。

 ……怪しい。どう見ても怪しいよ、これ。

 今日は午後から用事があるからお弁当はいらないと連絡は受けていたけれど、虹村くんのようすが明らかにいつもと違う。いつもは見た目に無頓着に近い感じなのに、なんか見た目に気ぃ遣っちゃってさ。心なしか挙動もそわそわしているし……。

 女か?女なのか?……いや待て、落ち着け。虹村くんが三次元の女に、もとい恋愛自体に興味がなかったはずだ。告白したのは私が初めてだと聞いているし、数週間でそこまで変わるものなんだろうか。

 まあ、もしかしたら私がきっかけでちょっとは興味持ってもらえたらそれはそれで進展なつもりでいたんだけどさ。でも、それって私を好きになってもらうの前提での話じゃん?それで他の女の子が好きになっちゃいました、なんてことになったら皮肉もいいところだよね。

 ただ、あの虹村くんだよ?隣に座っている人にあのってつけるのもなんだかなぁって感じはあるけれど、そんなのは関係なくて……。二次元美少女以外に興味あるの?いや、ないよね?ないはず、なんだけど……。ああっ、もうっ。もやもやする……。

 ちょっと待て。数日前のことを思い出すんだ。下着を買う前、虹村くんは私以外に交遊関係がないみたいなことを言っていた。だから多少嫌なことがあってもすがりつくしかない、と。……なんかちょっと思い出すと悲しくなってくる事実だな。まあ、それはともかく。あれから数日で別の人とそこまで進展するとは思えないし、なんか不自然な気がする。

 じゃあ、私なのか?とはならないよね。第一、お弁当が必要ないと言われた今日限定の現象だし、私のぶんのお弁当について言及されてない時点で期待薄だ。私に接する態度も特に変わりない。現在進行形で観測されている虹村くんのそわそわは別の方向を向いていると考えていいだろう。

 謎は深まるばかりだ。訊く?訊いちゃう?なんて訊けばいいの?誰と会うの、なんて訊くのはお前は虹村くんの何なんだよって感じだし。今日はキメてるね、もなんだかなぁ。

 そもそも、訊かないほうがいいという考え方もなくはない。きっと何か大事な用事なんだろうし、変に詮索して後ろめたさとかで失敗させてしまったら申し訳ない。観測をすることで振る舞いが変わるという物理現象もあるらしいし、これは物理学的に見ても訊くべきではないと示されているも同然だろう。

 まあ、こんな言い訳を自分にしたところで胸の内というのはずっと前から決まっている。尾行したい。それを正当化するためにあれこれ考えるふりをしてきたけれど、結局は最初から決まっていたこの結論に落ち着くのだ。おそらく物理学の現象なんて微塵も関係ない。冷静に考えればストーカー紛い、いやそのものと言っていいか、の行動をとるよりも質問するほうがいいに決まっている。罪悪感を少しでも和らげるための方便を考えていたにすぎないのだ。

 ただ、こと恋愛において私にそういった傾向があること自体、否定できない事実だとも思う。今でこそお絵描きを楽しんで部活をしているものの、入った動機としては虹村くんの存在が多くの割合を占める。我ながら背筋の凍る気持ち悪さだ。心の底からそのように感じはするけれど歯止めが効かないのがまた不便なもので、自己正当化のための言い訳は現在進行形で続いている。

 そういう意味で私は非常に恋愛に不向きなように思える。特に惚れる側だと危険人物だ。生涯独り身を誓って生きるか、惚れられた相手に応えるくらいが妥当な気がする。幸いなことにそれでも機会には困らないくらいのペースで告白されているので、ひとつの手としてアリなのではないだろうかと思うくらいだ。ただそれもまた無駄な考えで、そんなに簡単に今の恋愛を捨てられるならこのような性格にはなっていないだろう。結論というのは頭の中で言葉にするまでもなく出ているのだ。

 受け入れるしか道はない。あるいは罪の意識を抱いて、それに堪えきれなくなるまで続けるか。申し訳なく思うくらいならするなって話だけど。そのうえで私の頭の中だけだけど、やっぱり謝りたい気持ちもあるから言わせてもらいます。

 ごめんなさい。今日私、ついていきます。

二次元だとわりと尾行のハードル低いですよね。

男に惚れて部活に入ってくるのも尾行も二次元コンテンツではありがちなんですが、現実で考えると結構なことやってるなぁと本文を書いているときに思いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ