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ゆうかアプローチ  作者: 旭流遊
序章(アプローチ0):初デート
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放課後の一コマ

前回のあらすじ:虹村くんにアニメをおすすめしてもらいました。

 放課後になった。

 授業中はやはり集中できず、ずっと昼休みのことを思い出しながら今後への期待に胸を膨らませていた。勢いで土曜日にデートの約束を取り付けたけど、よくよく考えたら明後日だということにも気がついた。まだまだ先だと思っていたできごとが意外と間近に迫っていると焦りを感じる。

 デートに誘われる側も緊張したけど、誘う側にはまた違った緊張感がある。ドキドキやワクワクといった種類の緊張感もあるけれど、どことなく不安でそわそわと落ち着かない。失敗したらどうしようとかどうしてもそういうネガティブなことを考えてしまう。

「難しそうな顔してるね。優華」

ふと見上げると理沙がいた。生暖かい表情でこちらを見ている。

「おっと、みなまで言うな。私はわかっているのだよ」

妙に道化けた口調で理沙が続ける。

「うっざ」

「ごめんって。で、どうよ、うまくいった?将来を誓いあった私を差し置いて昼休みを過ごしたからにはね」

本当にわかっているらしい。もちろん将来を誓い合ってなどいない。

「デートすることになった。あと連絡先も交換した」

「よかったじゃん。てか、本当に虹村くんだったとはね」

「そんなにわかりやすかった?」

「だってすごい見てたし。バレてないと思ってたの?」

「自覚はしてたけどそこまでとは予想外だったかな」

「で、なんでそんなに難しい顔してたのさ。順風満帆そうじゃん」

「デート失敗したらどうしようって」

「恋する乙女だねぇ。私はそんな心配いらないと思うけど」

「なにかやらかしそうな気がしてしかたがないよぉ。昼休みも緊張してあまりうまく喋れなかったし」

「『ちょっと君に興味があってさ』ってやつ?あれはすごかったね。お昼一緒にしようかと思って来てみたら。魔王が男子口説いてた」

「魔王て……」

「無自覚ならツミだね。あれは魔性のそれだよ。私なら惚れちゃうわ」

「なんじゃそら」

とはいえ、すごく励みになる。発言は非常にテキトーだと思うけど、不安は少し軽くなった気がする。

「ありがとね」

「なーに水臭いこと言ってんの。私と優華の仲じゃん」

「なに言ってんだか」

「じゃあ部活あるからまた明日ね」

「うんまたね」

手を振って別れの言葉を交わす。

 やっぱり理沙はいいやつだ。一緒に入った軽音部はすぐにやめちゃったけどそれでも普通に接してくれる。放課後に少し話すのはよくあることなんだけど、今日は理沙なりに私を元気づけようとしてくれていたんだなぁという感じがする。まあちょっとうざかったけど。

 さて、今日は早めに帰ってすくーるらいふ!でも見てみようかな。

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