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ゆうかアプローチ  作者: 旭流遊
アプローチ1:二人きりの空間
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土曜日も活動

前回のあらすじ:部活の二日め。漫画を読んだりお話ししたりしました。

「おはよう。やっぱり来るの早いね」

「おはよう。まあ、作業あるから」

「にしても、土曜日に学校に来るってなんか新鮮だなあ」

「僕の作業が進んでなくて来てるだけだから休んでもらっててもよかったのに」

「でも、虹村くんから誘ってくれたわけだし。実質週末デートと言っても過言ではないよね」

「いや、過言だよ!」

「寂しかったんでしょ?家でも作業できるのにわざわざ学校まで来てさ」

「と、トラベるがあるからだし……。学校に置いてて家にはないから」

「ツンデレってやつ?」

「デレてない!」

「週末の閑散とした学校。部室には若い男女が二人。熱気に汗もしたたるなか、何も起こらないはずもなく……」

 暑いのでそろそろ脱ぐところまで脱ぐ。

「いや、起こらないからね!」

「はあ、涼しい」

「その満たされた声を聞くと脱ぐなって言えなくなるんだよね。やっぱり暑そうだなって思うし」

「私と付き合ってくれたらもっと満たされるのになぁ……」

「そこは我慢してもらうことにしよう」

「いっそ突き合うっていうのも手だと思うけど」

OKサインに人差し指を通すジェスチャーをして見せる。

「突き合うも何も、突くの僕だけじゃん」

「え、突いてくれるの?」

「突かないよ!」

「んっ、あっ……そんなに激しくツッコまれたらっ」

「……これはまたツッコミを入れたら面倒なことになりそうだね」

「いいよ、キて……」

「もうええわ」

「どうも」

「「ありがとうございました」」

楽しい。すごく打ち解けてる感じがする。虹村くんのこの手の話題に対するはじらいが消えつつあるのが大きいと思う。

「にしても声優さんってすごいね。えっちな声出そうとしてみたけど案外難しかった。やっぱりヘタだった?」

「思ってたけど言わないであげてたのに」

「練習しておこっと」

「がんばれー」

「意外な反応」

「持ってて損なスキルじゃないだろうしね。次に誰かを好きになったときにでも役に立つかもしれない」

「むう。次なんてないもん」

最初で最後の恋なんてことがほとんどないことは知っているけれど、今はそんなこと考えたくもない。

「いいもん。私もお絵描きするもん」

漢字ドリルのなぞり書きとか嫌いだったけど、トレスはなんだか楽しい。全部なぞり終わったあとの完成品を見たときの達成感みたいなののおかげかな?お絵描きのモチベーションは結構高い。さて、今日はどの絵にしよう。


「さて、そろそろお昼だしコンビニ行ってくる」

 気がつけば昼か。言われてみればたしかにお腹すいたな。

「あ、今日はお弁当じゃないんだ」

「うん。代わりに食費用のお小遣いをもらってるんだ」

「なるほどね。私は今日お弁当だけど、ついていっていい?」

「別にかまわないけど先に食べててもいいんだよ」

「いや、一緒に食べたいからついてく」

 部活の帰りもそうだけど、こうして二人で並んで歩くのが好きだ。一緒に歩いているだけでなんだかカップルになったような気分になれるのかもしれない。最近は腕に抱きつきたくなる衝動を抑えるのがたいへんだ。

「そういえば、夏休みも部活あるの?」

「んー。まあやってもいいけど、やりたい?」

「やりたい!」

「一人でも?」

「うーん。迷うけど、学校に来なきゃ紙と鉛筆だしなぁ」

「部活がなくてもお絵描きしようとするとは想像以上にモチベーションが高いね」

「たしかに。言われるまで気づかなかった」

「じゃあ、夏休みも部活やろっか」

「やった。うれしい!」

さて、ここからが本題。

「ところで、夏休みは毎日コンビニに行くの?」

「たぶんそうなるんじゃないかな」

「私がお弁当作ろうか?」

「いや、いいよ。なんか悪いし」

「えー。私、料理はわりとできると思うけど……。それに一人ぶんも二人ぶんもほとんど変わらないよ」

「ラブコメではその文句が常套句だけど実際言われるとタダ飯食らいになるみたいで嫌だな」

「じゃあ食費用のお小遣いを私に横流しすればいいじゃん。つまり、毎日私のお弁当を買うってことだね」

「それコンビニ弁当でよくない?」

「ほら、家で作った方がたくさん作れるし、コンビニ弁当より満足度が高いと思うよ。お金はもらうけど非営利だから」

その代わり胃袋をがっちり掴ませてもらうけどね。胃袋を制するものは恋愛を制するのだ!たぶん。

「たしかに足りないぶんは自分のから出すようにしてるからありがたいかもしれないな……」

いい流れだ。もうひと押し。

「でしょ?私も作る量が多少あったほうが作りやすいし、ね?」

まあ、結局作りやすい量で作るし、余っても他の家族の昼食の一品になるだけなんだけどね。

「そうか……じゃあ、お願いしていい?」

やった。うまくいった。

「もちろん!堂島シェフにおまかせあれ」

 部活で毎日虹村くんに会えるし夏休みも楽しくなりそうだ。企画段階だけどイベントもいろいろ考えてるし、夏休みは充実したものにしてみせるぞ。

本業が充実しつつありなかなか執筆時間をとれないですが、なるべく早く次回を投稿できたらと思います。

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