チュートリアル(2)
前回のあらすじ:デジタルイラスト入門しました。
「今日はトレス、つまりなぞり描きをしてもらおうかな。注意点として、これは単なる練習だし、完成しても作業した人の作品ではないからインターネットで不特定多数の人に公開しないこと。いい?」
「わかった。肝に命じる」
「何か描きたいキャラとかいる?なるべくプロが描いたのがいいから僕のっていうのはナシね」
虹村くんのを描くっていうのは発想になかったけど、釘を刺される。
「じゃあ、すくーるらいふ!の静ちゃんにしようかな」
無難なラインでいく。
「いいね。じゃあネットで画像検索していい感じのを探そう」
ブラウザを開き、検索窓に作品名とキャラ名を入れる。すると私の知る静ちゃんの画像がたくさん出てきた。
「公式というか権利者以外がネット上にあげてる画像も多いからあまりこういうのは好ましくないんだけどね」
虹村くんが少し悔しそうにつぶやく。
「じゃあこれ」
静ちゃんが壁越しに覗きこんでいる画像を選んだ。ちょっと上目づかいであざとい感じがかわいい。でも、静ちゃんは別にそれを狙っているわけではなくて……。
「あ!これか!」
「びっくりした、どうかした?」
「いや、こっちの話」
理沙の言っていた天然の魔性がわかった気がして、つい声を出してしまった。
「そう、じゃあ続けるね。その画像をダウンロードして、この絵を描くソフトで開いてみよう」
言われた通りにやってみる。画像はドラッグ&ドロップで開けた。
「さて、これをなぞってもらうわけだけど、いくつか難しいことがあるね。まず、どこをなぞったのかなぞっていないのかすごくわかりにくい。あと、間違えたときに消しゴム機能を使うと元の絵も消えてしまう。やり直しでもできるけど、今回はレイヤー機能を使って両方を解決するよ」
虹村くんがマウスを手に取り説明する。
「レイヤーっていうのは日本語でいうと層、オゾン層とかの層だね。お絵描きソフトの場合はセロファンとかラップみたいな透明な板をイメージしてもらえるといいかな。今回やってもらうのはこの絵の上にそのレイヤーを重ねてそのレイヤーにペンで描く作業になる」
「ごめん、途中から少しわからなくなってきた」
「まあ、やってみればわかってくるよ」
虹村くんがマウスを操作する。
「ここを押すとレイヤーが増やせるんだ。押してみて」
ペンでタッチしてみるとその下の部分で変化があったのがわかった。
「今、レイヤーが増えたけど絵のほうは特に変化がないよね?」
たしかにない。
「うん」
「じゃあ、この状態で適当に線を引いてみて」
とりあえず指示通りやってみる。
「やったよ」
「じゃあ、ここを押してみて」
目のようなマークを指して虹村くんが言う。押してみると静ちゃんの画像が消えて、自分が描いた線だけが残った。
「消えた」
「うん、今、このキャンバスには開いた画像のレイヤーとさっき作ったレイヤーの二つがあって、さっきのところを押したことで見えなくしたんだ。もう一回押すと戻るよ」
「ほんとだ」
「これでなぞったあとは堂島さんが描いた線だけを残すことができるね。今度はここを押してレイヤーを画像のほうに切り替えよう」
クリックすると注目するレイヤーが変わるような変化が見てとれた。
「作業しやすいようにこのレイヤーだけを薄くすることができて、この不透明度ってところを調整することでどれだけ透けて見えるかを調整できるんだ。このソフトは背景が白で表示されるからいい具合に薄くなると思うよ」
「すごい!私の描いた線はそのままで画像だけが薄くなってる」
なるほどわかってきた気がする。
「じゃあ、最後にさっきのレイヤーに切り替えて消しゴムツールでさっきの線を消してみよう」
レイヤーを切り替え、消しゴムツールを使うと先ほど描いた線だけが消える。
「なるほど。だいたいわかったよ。つまり今日はこのレイヤーでなぞったり消したりすればいいんだね!」
「そういうこと。覚えが早いね」
「いやいや、先生の教え方がいいんですよぉ」
お互いを誉め合う。なんだか照れくさい。
「じゃあ、あとは一人でできると思うから僕も作業に戻るね。わからないところがあったら言ってね」
「おっけー。おっぱいの絵の続きだね!」
「いや、まあ、そうなんだけど、言葉にされるとなんだかはずかしいなあ」
「いいじゃん、オープンにいこうよ。オープンに!さっきの絵にあったやつ、もし必要ならどれでも協力するから遠慮なく言ってね。はずかしいけど……あれくらいなら嫌じゃないしがんばるから」
おちんちん挟むのはまだちょっと足りないかもしれないけど。
「あ、うん。ありがとう……検討しておくよ……」
これはたぶん検討すらしないだろうなって感じがする返事だ。
さて、作業にとりかかるか。
すみません
続きを書いているのですが、うまくまとまらないのでまだかかるかもしれません




