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ゆうかアプローチ  作者: 旭流遊
序章(アプローチ0):初デート
20/43

初デートを振り返って

前回のあらすじ:結局漫画は買いませんでした。

「ふう……」

 はあ、疲れた。もう寝るだけってなったらつい声が出てしまった。やっぱり緊張してたんだなあと思う。本当にいろいろありすぎて今日のデートは一言では言い表せない気がする。楽しかったり、悲しかったり、申し訳なかったり、思い出すだけでも複数の感情が同時に込み上げてきてぐちゃぐちゃになる。

 あ、メッセージだ。そういえば、まだ今日の写真虹村くんに送ってなかったな。

「優華さんや、今日はどうじゃったかの?」

理沙からだ。何から話そうか。まあ、考えながら写真を虹村くんに送っておこう。

「今日はありがとうね!また一緒に遊びにいきたい」

写真にひとこと言葉を添えて、送信完了。いろいろあったけど、なんだかんだ一緒にまた遊びに行きたいなあとは思うから悪くはなかったんだよね、たぶん。まあ、今日レベルの衝撃はそうそう起こらないだろうし、注意深く臨めば予算的に厳しいなんていうケアレスミスは防げる。

 理沙に何を送るかだけど、ふざけたノリにお灸を据えてやりたいし、きつめのをお見舞いしてやろう。

「序盤で告白する前に好きだってバレて、応えられないってフラれた」

事実だ。まあ、チャンスはあるんだけどね。わかるようなわからないような理論だけど、逃す手はない。

「そのわりには元気そうじゃのう……。自分からはメッセージ送ってこなかったようじゃし」

妙に鋭いぞ、この婆さん。いや、同い年だけれども。

「私とはただの友達になりたかったそうなんだけど、ただの友達になれって言うのも酷だからってことでアプローチは続けていいことになった」

こういう言い分だったはずだけど、いまいち理解できてないから変な文に見えてくる。

「え、それって体よくキープされてるだけじゃん!」

まともな反応が返ってきて驚いた。キープ……状況的には似てるかもしれないけど、違う気がする。

「虹村くんはそもそも女の子に興味がないからキープじゃないと思う。私が諦めてただの友達になることを望んでるみたいだった」

あくまでも、虹村くんの思いやりなのだ。ただそれは、考え方によってはキープよりも遠い関係な気がしてきてなんだか寂しくなる。

「まあ、優華が納得してるならいいけどさ」

「にしても、私だけじゃなくて本人にもバレてんじゃんwww」

 ちくしょう、バカにしやがって。しかもふざけたスタンプで追い打ちとはやってくれるじゃないか。余計に面倒くさくなりそうだから漫画が買えなかった話は黙っておこう。

「好きって知られてたほうがアピールしやすいからいいもん」

これからいっぱいアピールしていくもん。

「かわいい」

照れさせようとしてるんだろうけど、その手には乗らない。

「ありがとう。参考にするよ」

「???」

伝わらなかったらしい。

「虹村くんに振り向いてもらうためにどうすればかわいいのかっていうのを研究したいから、その参考に今のを分析するよって意味」

「健気だねえ。でも、優華には向いてないよ、そういうの。狙ってやるより天然の魔性で突き進んだほうがいいと思うね」

「その辺いまいち自分だとわからないんだけど」

「まあ、ありのままが一番ってことさ。がんばらないほうが成果は出るだろうけど、応援してるから。何かあったら連絡しな」

それだとなんの進展もしない気がするから納得はできないけど、理沙なりに私のことを考えてくれてるんだって思うと嬉しい。

「ありがとう!頼りにしてる」

どや顔で親指を立てているスタンプが返ってきた。やりとりはこの辺がやめ時だろう。


 さて、どうしたものか。理沙にはがんばるなって言われたけど、何もしなければ関係は進展しない。何かしらの行動は起こすべきだ。ただ、今の関係はよくわからないからどういうことならセーフなのかっていうのがいまいち判断つかない。さらに、自分の魅力がいまいちわかっていないのも問題がある気がする。いや、探してもあるのか知らないけど。でもきっと十七人も告白してくれたんだから何かしらはあるに違いない。それが理沙のいうところの天然の魔性なんだろうけど、それがわからないと魅力が活きる場面を作り出すことができない。

 そもそも、現実の女の子に興味がないような男の子ってうまくやれば振り向いてくれるものなの?いや、振り向いてくれなきゃ困るんだけども。なんて言うんだっけ、こういうの。草食系……じゃなくてその進化版の。ネットで調べてみるか。

 クリーミー、じゃなくてえっと。あ、いろんな派生があるんだな。んと、これかな?絶食系男子。言われてみればそんなだった気がする。絶食系男子で検索してみよう。

 えっと、あ、ヤバい。簡単には落ちないとは思ってたけど、好意を知られるとさらに絶望的だとは。え、何、詰んでるの?いやいやいや、そんなので割りきれるようならお昼の時点で終わってるから。セオリー通りじゃないだけでまだチャンスあるよね?いや、ある!私が今決めた。

 まあ、たとえ神様が無理だって言っても割りきれないだろうし、手を尽くさないでできないってなるまでは納得もしないないだろう。まずはやる。絶対やる。何かやる。内容は……明日考えよう。

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