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ゆうかアプローチ  作者: 旭流遊
序章(アプローチ0):初デート
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アニメショップ(1)

前回のあらすじ:アニメショップへの道中、初デートの記念撮影をしました。

「ほら、ここだよ」

 再び歩き出して数分、どうやらたどり着いたらしい。三階建てのビルだ。

「このビル全部アニメショップなの?」

「そうだよ」

「大きいんだね」

「まあ、漫画だけじゃなくてアニメのBDやDVD、グッズ、資料集、音楽のCD、雑誌、小説とかいろいろ置いてるからね。あとは画材やイラストの指南書なんかもあったっけ?」

「小説とかもあるんだね」

「うん。すくーるらいふ!も原作は小説なんだ」

「へえ、そうなんだ。早く中に入ろっ」

暑いし。


「はーっ、涼しいっ」

 クーラーがよく効いた店内だ。自動ドア越しにも見えていたが、ザ・オタクって感じの雰囲気だ。目の前の小説コーナーっぽいところにはアニメキャラっぽい女の子や男の子の絵が表紙になった本が平積みされており、棚にも鮮やかな背表紙の小説が立ち並んでいる。

「漫画の前にお店の中を見てまわっていい?」

今まで見たことないような不思議な空間なので興味が湧いてきた。

「もちろん。そのつもりで提案したくらいだし」

「ありがとう!じゃあまずは……こっちかな」

 入り口横あたりの雑誌コーナーが目に留まったので移動してみる。

「あれ?アニメキャラだけじゃなくて、人間も写ってるんだね」

表紙を眺めていると着飾った女の人や男の人が写ったものが目に入った。

「写ってる人たちはキャラに声をあてる声優さんだね。いうほど最近でもないけど、最近は顔出しする機会も多くて、ヴィジュアルも重視されてるみたいなんだ。ぼくは見た目に興味はないけど」

「たしかに興味なさそう」

「そういうわけで声優を扱った雑誌も結構あるんだ」

「なるほど……。あ、漫画雑誌もいろいろあるんだね」

アニメとはまた雰囲気の違うカラーイラストの表紙を見つけた。見たことあるのからないのまでいろいろなものが置いてある。

「そうそう。ほとんど女の子しか出てこないような四コマ漫画の雑誌もいくつかあるんだ」

「それはすごいね」

そんな限定的なジャンルにいくつも雑誌があるのか。

「じゃあ、次はこっち」

 さっきの小説コーナーに戻ってきた。アニメショップに小説ってピンと来なかったけど、実際見てみたら本屋でこんな感じの本を目にした記憶があることを思い出した。

「普通の書店にも専用のコーナーがあるよね、何て言うんだっけ?こういう小説」

「ライトノベル、略してラノベだね。中高生が読みやすいような気軽に読める小説って感じかな。最近は小説サイトのものを文庫化したものがあったりしてアニメ化も結構されてるんだ」

「ふむふむ……あっ」

見たことあるキャラクターがいた。だいぶ雰囲気は違うけどすくーるらいふ!の愛佳ちゃんだ。

「愛佳ちゃんだ。結構雰囲気違うね」

「アニメはアニメにしやすくするためにキャラクターのデザインや塗りかたを変えるからね。こっちはある程度時間がかけられるからイラストレーターの人が力をいれて描いてるんだ。でも、アニメのほうのデザインしか知らないのにちゃんとわかるでしょ?こういうところって結構すごいと思うんだ。特徴を捉えてるというか」

「先生、語るねぇ。漫画とか描いたりするからわかるの?そういうの」

「たぶんそうだね。やってみるとなかなか難しくてうまくいかないんだよ」

「なるほどね。じゃあ次は……えっとあそこは漫画コーナーか。漫画コーナーは最後でいいかな」

「そうだね。とりあえず他を見てまわろうか。このフロアはあと設定資料集と画材かな。どうする?」

設定資料集はとりあえずいいや。

「うーん、画材見てみようかな」

「じゃあこっちだね」

 店の奥の方に案内される。色とりどりのペンや引き出しが並んでいて、店内でも変わった雰囲気を醸し出している。

「へえ、こういうの使って漫画を描くんだ」

「プロとかは紙とペンで描く人が多いって聞くね。僕はパソコンで描くから使わないけど」

「あ、そうなんだ。じゃあいいかな」

「はは、現金だね」

「居座っても仕方がないし、次行こう次!」

優華ちゃんを二次元コンテンツに馴染ませる必要があるのでしばらくお付き合いください。

語り手が用語をある程度知らないと言い回しが変になるのでちょっと勉強してもらいます。

次回で二~三階を制圧して漫画まで選ばせたいところ。

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