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ゆうかアプローチ  作者: 旭流遊
序章(アプローチ0):初デート
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予定通りに続行

前回のあらすじ:諦めなくてもいいことになりました。

 少し落ち着いたところで店員さんが料理を持ってきた。席まで案内してくれたお姉さんだ。

「たいへんお待たせいたしました。ほうれん草とキノコのスパゲッティ、アールグレイ、クラブハウスサンド、アメリカンコーヒーでございます。ご注文の品はお揃いでしょうか?」

「はい、ありがとうございます」

 時計を見ると十三時前になっていた。注文してから一時間近くが経とうとしているけれど、その大半は気まずい状況だったからさぞ持って来づらかったことだろう。申し訳ない気持ちになる。

 とはいえ、修羅場を越えて安心したせいもあってか、料理を見ると空腹感に襲われる。

「私すごくお腹すいちゃった。じゃあ食べようか」

「うん。いただきます」

「いただきます」

 フォークとスプーンを手に取る。本当はフォークだけで食べるものらしいけど、嫌な音が出てしまうので今日はスプーンも使う。まずはほうれん草とマッシュルームを口に運ぶ。

「美味しい!」

 バターの塩味……だけじゃないな、焦がしバター醤油にマッシュルームの旨味が滲み出しており、口のなかで調和している。ほうれん草も味がよく浸透していて表面だけに濃い味がついているときのような嫌な感じがしない。

 次は麺だ。少量引っかけて巻きつけ、口に運ぶ。思いの外さっぱりしている。梅干しっぽいな。これがあることで全体的に油っぽくてくどい印象になるのを防いでいる。今度家でも真似してみたい。

「食べ終わったらどうする?」

半分ほど食べ進めたところで虹村くんが訊いてくる。いろいろあったから気遣ってくれているのだろう。

「私は予定通り漫画選びに付き合ってもらえるとうれしいな」

「よかった。このまま終わったら気まずいなぁと思ってたんだ」

「おもしろいのお願いしますよ、先生」

「プレッシャーだなぁ」

 お腹が空いていたのとパスタが食べやすかったのもあってか、すぐに平らげてしまった。ちょっとはしたなかったかな?まあ、虹村くんよりは遅かったしセーフセーフ。


 食べ終わってすぐに店を出た。駅の方に戻っているようだ。

「いいお店だったね。また来たいなぁ」

 雰囲気も料理もよかったし、価格も高校生の財布に優しい店だった。

「すごい美味しそうに食べてたね。今度頼んでみようかな」

食べるのに夢中でほとんど会話しなかったくらいだ。

「うん。また一緒に来ようね」

今度は平穏無事に終わるといいけど。

「ところで、書店とアニメショップのどっちがいい?この辺だとそこまで品揃えは変わらないと思うけど」

「アニメショップにも漫画売ってるんだね」

「うん。アニメは漫画原作で作られているものも多いからアニメ化した作品はもちろん同じ出版社とか雑誌の漫画が置いてあるんだ」

「なるほど……じゃあアニメショップにしようかな。行ったことないし、せっかくだからね」

「わかった。じゃあこっちだね」

 思わぬアクシデントはあったけど、ここまで結果的に見れば悪くはないような気がする。絶望的な状況ではあるけれど、それが発覚したのも大きな収穫だ。何より、好意を伝えたことでアプローチがしやすくなった。意味深で遠回りなやり方だけではなく、ストレートに攻めることもできる。この強みを活かしたいところではあるけれど、今日はちょっと疲れた。あまり深く考えずに一緒に過ごせるこの時間を楽しもう。

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