予想外の返答
前回のあらすじ:ちょっとよくわかりません。
現実の女の子なら付き合いたいと思わない……?
「え?どういうこと……?」
「創作の女の子って現実の女の子をモデルにはしているんだけど、デザイン的にはデフォルメされてる部分が多くてなんだかんだ違うんだよね」
「え、あ、うん……」
予想外の返答に上手い返しが思いつかない。
「ご、ごめん。女の子の前で言うことじゃなかった。あ、あくまで僕の価値観だから。それに友達なら男女問わずほしいと思ってるし……」
「いいよ、気にしなくて……」
とは言ったものの今にも泣きそう。
「虹村くんのっ……好みだもんね……」
一個人の意見ではあるんだけど、ほかの誰でもなくあなたの価値観だからこそ私は……。
「仕方ないよ……謝ったって変わることじゃないし」
ほんと、一人で舞い上がってバカみたい……。質問する覚悟もなく、勝手に楽観視して期待して。
「ごめんね、空気悪くしちゃって……ちょっと席を外すね」
戻ってくる頃には笑顔にならないと。せっかく付き合ってくれてる虹村くんに悪い。いや、今でも十分悪いことしてるか。
「待って!」
席を立ってトイレに向かうところで虹村くんに手首を掴まれる。
「ちょっと、待ってくれるかな……?」
手首を掴む力が弱まる。真剣な目だ。
「聞いてほしい話があるんだ」
虹村くんは掴んでいた手首から手を離し、私に席に戻るよう促す。本当は見えないところで泣きたくて仕方がない。止めどなく溢れるぐちゃぐちゃの感情をひとつひとつ整理したい。そういう時間がほしい。ただ、そんなことをすればその間虹村くんはきっと私の身勝手な行動に対して少なからず責任を感じることだろう。
「ごめん、じゃあ聞かせてくれるかな……」
聞いたところで今さらどうこうなるとも思えないけれど、私は虹村くんの話を聞いてみることにした。まあ、高望みはしないほうがいいよね。




